直接、痛みに効く! アイシング療法

 患部に直接氷を当てるアイシングには、痛みを抑える効果があります。体の痛む部分を冷やすと、痛覚の伝導を遅らせたり、炎症を抑えたりする作用があります。リウマチ、痛風、五十肩、腰痛や膝の痛みなど、『痛み』全般に効果を発揮します。多くの方が冷やすことに抵抗をもたれていますが、『冷える』と『冷やす』は違います。カイロなどで皮膚表面を温めることは、基本的には良くありません。そのため、当治療室では、痛みを緩和するため、患部や痛みの根本的な原因となる部分をアイシングすることを勧めています。
 体の痛みは、なかなか回復しないものです。それは、一度痛みが起きると、体にとって悪い『痛みの悪循環』という状態が出来上がるためです。
 体に痛みが起きると、まず交感神経が興奮して筋肉が緊張します。筋肉が緊張した状態が長く続くと、血液の循環が阻害され、乳酸という老廃物が体の中に蓄積されます。体がこのような状態になると、発痛物質であるブラジキニンなどが出て、さらに痛みが増します。この悪循環がずっと続いていくことになります。
 アイシングは、痛覚を鈍くし、『痛みの悪循環』を断ち切り、損傷した組織の回復の為の時間的余裕を与えます。
 またアイシングは、機能が低下した副腎にストレスを与えます。ただし、このストレスは心地良いと感じるタイプのものなので、副腎は働きを亢進し、副腎皮質ホルモンを活発に分泌するようになり、抗炎症作用や抗アレルギー作用が期待できるのです。

 0℃の氷を使って、患部を直接冷やす。
 アイシングには、痛みの要因となる歪みの部分を冷やす方法と、痛む部分を直接冷やすという方法があります。
 前者の歪みの部分は、後頭環椎関節や仙腸関節などに多く見られます。ただし、根本的な原因となる場所は、病気・症状によって様々に別れますので、ここでは患部に直接氷を当てるという方法のみを紹介します。

 アイシングは、氷を氷嚢、またはビニール袋に入れて痛む部分の皮膚に直接当てるという簡単な方法ですが、ここで注意してほしいのは、0℃の氷を使うことです。 多くの場合、冷却した氷はマイナスの温度になっています。水割りなどを作ると、氷がビシッという音をたてるのを開いたことがあるのではないでしょうか。このような氷は、密度が高くて0℃以下のものです。 氷を作る、または買ったら、必ずボールに水をはって、その中に一度氷をくぐらせて下さい。そうすれば、密度の低い0℃の氷になります。 十分に水気を切ってから、氷のみを氷嚢かビニール袋に入れて下さい。
 痛みが軽い場合は、一日10分間、1〜2回患部に当てます。痛みがひどい場合には、一日に何度やってもかまいません。ただし、必ず30分〜1時間の間隔をあけるように注意して下さい。 アイシングを始めたばかりの3〜5分は、病みやしびれ感がありますが、そのうち無感覚になります。ただし、高齢の方や体温の低い方は入浴するなど、一度体を温めてから行うようにして下さい。
 病気を癒すには、医者だけに頼らず、自分で「病気を治そう」という主体性を持つことが大切です。自分なりに良くなるために努力すること。その極めて簡単な方法として、アイシングを是非取り入れていってほしいと思います。