サイマティックス・セラピー

 1809年、ドイツの科学者エルンスト・クラドニは、砂を薄くまいた皿のそばでバイオリンを弾き、砂が複雑な幾何学模様を描くことで、『音波は物体を動かす』ということを証明しました。
 スイスの科学者ハンス・イェニーは、クラドニの実験の追試を行ないました。イェニーは、砂、鉄紛、プラスティックの微粒子、水銀などの色々な素材を紙の上に置き、周波数の異なる音を下からあて、音の周波数や増幅の度合い、素材の違いなどによって、三次元的な奥行きや独特の質感をともなった複雑な模様を描く様子を、『トノスコープ』と言う装置を使って映像化しました。イェニーはさらに、細胞には独自の周波数(肝臓には肝臓独自の、腎臓には腎臓独自の周波数がある)があることを発見しました。
 1981年代、国立フランス科学研究センターの生物学者エレーヌ・グリマルとフランスの作曲家で生体エネルギーの研究家ファヴィアン・ママンは、低周波(30〜40デシベル)の音が人間の細胞におよぼす影響を顕微鏡下で観察しました。彼らは、正常な細胞とガン細胞に色々な音を聞かせて、その反応を調べました。その結果、ある可聴域の音が、ガン細胞を死滅させることを発見しました。

 イギリスの医師ピーター・ガイ・マナーズは、イェニーやグリマルとママンの理論をさらに研究し、人間の各組織の周波数の乱れが体の不調を引き起こし、病気を引き起こす という仮説を立て、周波数の乱れた組織へ正常な周波数(音)をあて、本来の組織の周波数に調律すれば、体の調子を整えられる のではないかと考えました。マナーズは、彼の仮説を実証するため、サイマティック装置を開発しました。この装置は、細胞や臓器の周波数ばかりでなく、生命活動に関係する様々な波動を含む約450の音を出すことが出来ます。各音は、五種類の可聴音域の合成音からなり、この合成音をアンジュレータと言う振動子で振動に代えて、患部または鍼灸のツボに直接接触させて治療したり、トランスミッターと呼ばれる装置で、音を電気信号に変換して手首から流すことで治療します。この装置を使った治療法を、 サイマティックス・セラピー(音響励振療法Cymatics Therapy)と言います。

 21世紀は、『波動医学の時代』と言われています。その中でも特に注目を集めているのが、サイマティクス・セラピーです。残念なことに、日本でのサイマティクス・セラピーの歴史は浅く、サイマティック装置もあまり普及されていないため、あまり知られていません。しかし、アメリカやヨーロッパでは研究が進んでおり、イギリスのBBC放送で紹介されたり、インターネットで国際的なネットワークが作られつつあります。