ラストダンジョン[異能者の苦悩]
2007/07/29 Sunday


「……こうなった以上、やむを得ません」
 剣を向けられているとは思えないほど落ち着いた口調で言いながら、リーブは懐に手を入れる。銃でも取り出すのかと身構えたクラウドだったが、その予測は一部外れた。
 彼が取り出したのは銃ではなかったからだ。
「銃とはあまり相性が良くないんです。かといって剣を振るえる訳でもありませんからね」
 僅かだが変化した表情からクラウドの内心を察し、彼の疑問に答えるようにしてリーブが告げる。その右手には白く細長い物体が握られていた。形状だけで言えば、ハリセンのようにも見えた。どこからどう見ても、ハリセンにしか見えない。しかし実際はどうあれ、この状況で取り出された事を考えれば間違いなくハリセンではなく武器としての用途を果たす物だと判断――したかった。
(これはリーブの仕掛けた心理戦なのか?)
 動揺する自分を悟られまいと、クラウドは目の前に佇んでいたリーブを睨み付けていた。しかし否が応でも視線は握られたハリセンに釘付けになってしまう。
「みなさんにお披露目するのは、今回が初めてになりますね。そう考えると少し緊張もしますが――」
 固定されたハリセンの柄の部分を握り直すと、後は無造作に手を離すとばらり、とそれが開かれた
(ハリセンか?)
 身近にハリセン使いこそいなかった、と言うよりもハリセンという武器自体が珍しい――武器として成立するのかすら疑問なほど――だった。ただ、それをリーブが扱うというのが意外にもしっくり来るので驚いた。と言うよりも、リーブの存在自体に違和感があったいう方が大きいのかも知れない。
 さすが、異能者と呼ばれるだけあって放たれる違和感の迫力が違う。
「では、時間も迫っていますので始めましょう」
 律儀にも宣言してからリーブは小さく右手を動かす。応じるようにしてクラウドも大剣を構えた。

「次で……ボケてください」


<終>

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# 未だかつて見たことがないほど、どうしようもなくクダラナイな……。
# 元ネタはラストダンジョン第120回[地下交戦]より。
# ま、リーブが「ボケとツッコミだったらどちらに回るか?」と問われたら
# 間違いなくツッコミ役に回りたがるんだろうなと思います。
# ツッコミだという本人の自覚に反して、どちらかというと周囲の認識はボケなんですが。

# ウソです。『ラストダンジョン』ではこういったお笑い要素が皆無なのでふざけてみたかった。

 
[REBOOT]