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やぶれっ!住基ネット情報ファイル

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2008年6月20日

世田谷区長 熊本哲之様

「なくそう婚外子差別 つくれ住民票」賛同アピール賛同者一同
6・19「なくそう婚外子差別つくれ住民票」世田谷集会参加者一同

「嫡出か否か」の記載に関わらず、子どもの住民票作成を求める要望書

世田谷区在住の菅原さんらが、子の出生届の続柄欄に「嫡出でない子」との差別的記載をこばんだため出生届が不受理となり、それを理由に世田谷区は子の住民票作成を拒否しました。

菅原さんは裁判をおこし、2007年5月31日東京地裁は、世田谷区に対して住民票作成を命じる判決を出しました。住民票がないことによる「日常の社会生活の様々な場面における不利益の累積は、市民生活上看過できない負担」であり、将来的に選挙権の行使にかかわる重大な問題と指摘し、居住の確認ができるのに住民票を作成しなかったのは違法だとする、当然の判決でした。

しかし世田谷区は控訴し、東京高裁はたった1回の口頭弁論で、2007年11月5日逆転敗訴を言渡しました。「嫡出でない子」との記載を拒むことは「父母の個人的な信条」にすぎず、それによる不利益は親の責任だ、と非難する不当な判決でした。菅原さんらはこの不当判決を許さず、最高裁に上告しています。

「嫡出子か否か」の記載を求めることは出生による子の差別だ、と日本は国際的に非難されています。世界人権宣言や国際人権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約など、いずれも出生による差別を禁止しています。これらの条約により設置された国際機関から日本は「婚外子差別」の撤廃を勧告されています。

さる6月4日には、結婚の有無により子の国籍を認めない国籍法の規定は憲法14条に反し違憲だ、とする最高裁判決がありました。判決は、諸外国では非嫡出子に対する差別的取扱いを解消する方向にあり、日本も批准した条約に児童が出生によっていかなる差別も受けないとする規定があることを指摘し、嫡出か否かの差別的取扱いにより子の被る不利益は看過し難いと認め、国籍法の規定は合理的な理由のない差別であると明確に述べています。この判決を受けた報道も、一様に婚外子差別の法制度の是正を求めています。

世田谷区は子ども条例で「子どもは、いかなる差別もなくその尊厳と権利が尊重されます」とうたっています。その世田谷区が「嫡出か否か」だけを理由に、他の自治体では人道的配慮で行っている住民票作成を、頑に拒んでいることは納得できません。世田谷区に住み、働き、関わる私たちは、このような世田谷区の姿勢を大変残念に思います。

東京高裁判決でも、出生届がなくとも自治体の判断で住民票を作ることは禁じてはいません。子は日々生活し、成長します。司法の判断を待つことなく、出生による子の差別をなくしていくため、すみやかに自治的判断で住民票を作ることを、世田谷区に求めます。


原典について


Copyright(C)2008 やぶれっ!住基ネット市民行動
初版:2008年06月22日
http://www5f.biglobe.ne.jp/~yabure/setagaya/jumin-hyo/yobosho080620.html