年金改革と住基ネットについて社会保険庁長官に質問

１．質問経過

• 2006年５月１日、社会保険庁総務部総務課に出向き、「年金改革と住基ネットについての質問書」を手渡しました。
• 社会保険庁運営部企画課から、2006年６月８日付けの「年金改革と住基ネットについての質問書に対する回答書」が郵便で届きました。回答書・（７）オによると、住基ネットの本人確認情報（住民票コード）と、社会保険庁システムの年金受給者情報（基礎年金番号）とをデータマッチングすることが判明しました。
• 2006年７月６日、社会保険庁に出向き、「年金改革と住基ネットについての再質問書」を手渡しました。
  併せて、住基ネット利用について社会保険庁と地方自治情報センターが取り交わしている「協定書」を情報公開請求しました。これは、2006年６月８日付けの回答で「セキュリティ確保の観点から提示は困難です」とされていたものです。
• 本人確認情報の提供に関して社会保険庁と財団法人地方自治情報センターが取り交わした2006年４月３日付け「協定書」について、８月４日、地方自治情報センターの印影を除き、開示決定されました（pdfファイルにした「協定書」（885KB）を掲載しています）。
• 社会保険庁運営部企画課から、2006年９月25日付けの「年金改革と住基ネットについての再質問書に対する回答」が郵便で届きました。再回答書・（７）によると、2006年４月から半年程度かけて順次、社会保険庁から全受給者の個人情報（氏名、性別、生年月日、住所）を住基ネットに照会し、住基ネットの情報とデータマッチングしていたことが判明。前回の「回答書・（７）」では「本人特定ができたものについては住民票コードを受給者情報に収録」するとしています。

---

２．年金改革と住基ネットをめぐる動き

• 社会保険庁は、2006年、住基ネット利用による年金現況届の廃止を12月生まれの年金受給者から順次実施していますが、住基ネットの本人確認情報とのデータマッチングに失敗して従来どおり現況届の提出が必要になる受給者が、全体の２割にあたる約600万人にのぼることが明らかになりました（2006年11月１日付け産經新聞第８面（経済面）「600万人、年金現況届なお必要 受給者２割…住基ネット不一致」）。
  • 横浜市が住基ネット全員参加を決めた背景として、年金現況届廃止をめぐる総務省の誤報が指摘されていますが、今回、現況届を廃止できないとされた600万人は、横浜市の人口360万人をはるかに超えるものとなりました。
  • またこれより先、社会保険庁は、年金現況届のはがきとともに「来年以降、現況届の提出が原則不要となります」というチラシを年金受給者に送付していました。
  • 社会保険庁は、住基ネットで照合できなかった年金受給者に対して、現況届のはがきに住民票コードの記載欄を設け、記入を求めています（裏を返せば、これは住基ネットを利用させない恰好のチャンスかもしれません）。
• 社会保険庁が導入する新システムの落札業者が決定。基盤ソフトウエアの基本設計を落札したのは、日本版US-VISIT（生体認証を取り入れた出入国管理システム）の実証実験を10万円で落札したアクセンチュア社でした。
  • 日経ITpro：
    • 「社会保険庁のレガシー刷新、落札ベンダーが決定」2006-08-23
    • 「社会保険庁のオンラインシステム、残り一つは沖電気工業が落札」2006-09-15
  • 保坂展人のどこどこ日記：
    • 「US-VISITとJAPAN-VISITを結ぶ入管生体情報」
    • 「JAPAN-VISIT実証実験「10万円入札」を問う」

---

３．パンフレット「社会保険庁改革で増大する住基ネットの危険」

• 公開質問と情報公開によって明らかになった、社会保険庁における住基ネットの利用実態と増大する危険についてまとめたパンフレット「社会保険庁改革で増大する住基ネットの危険」をダウンロードできます（テキスト付きpdf,152KB,A4判８ページ、2007年１月24日第１版）。 New!