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やぶれっ!住基ネット情報ファイル

住基ネット個人選択制関連情報の目次


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凡例〔 〕内は引用者註


2010年6月2日

総務大臣 原口 一博 様

やぶれっ!住基ネット市民行動
代表 〔名前省略〕〔註1〕

住基ネット「選択制」検討についての質問書

私たちは、住民基本台帳ネットワーク・システム(住基ネット)が国民管理の強化をもたらすことを危惧し、住基法改定時より導入に反対をしてきました。とりわけ、住民票コードが汎用的に共通番号として使用されることにより個人情報の照合・結合が容易・迅速になり、住基カードが国民必携のICカードとして社会生活の様々な場面で使用されることによって個人の行動が追跡可能となることを問題としてきました。

この立場から2005年に総務大臣に以下3点の質問を行い、回答をいただきました

(1)総務省が本人確認書類としての住民基本台帳カード利用の周知・徹底を自治体に求める法的根拠はあるか

(2)本人確認情報の利用拡大の際に、自治体からの意見聴取や調査委員会での協議は行っているか

(3)国民年金事務における住基ネットの利用について、20歳到達者情報の一括提供や年金未加入者把握のためのデータマッチング利用は、本人確認情報は申請、届出、請求等を行った者の情報が正確であるかどうかの照合を行うために都道府県から提供されると説明してきたことに反しないか

また2007年11月には総務省行政評価局長に対し、年金記録問題検証委員会が検証にあたり住基ネットとの照合を行ったことは、住基法別表に規定されていない行政機関および事務に住基ネットを利用したものではないか、との質問書を提出し回答を受けました。

さて鳩山政権になって以降、税と社会保障の共通番号制度導入の検討が進められ、住基ネットの利用が有力と報道されています。

住基ネットについて原口総務大臣は、2009年12月24日の毎日新聞のインタビューで、以下の考えを示しています。

『住基ネット(の住民票コード)は、中央政府が国民を管理するために必要な番号。だから反発が出た。番号は人から付けられるものでも、強制されるものでもない。出入り自由が大事だ。(自民党)前政権が作った住基ネットが私の考え方とずれているのは明らかで、自らの利便性の面から、自らが権利行使する番号に変えていくのが一つの解決方法だ。(住民基本台帳法の)法改正も含めた議論が必要と思っている。

(住基ネットに入りたいと思う人は入り、入りたくない人は入らないという選択肢を設ける?)そうだ。入らなければいろんなサービスから漏れることは我慢しますね、ということになる。』

また2010年1月15日の閣議後記者会見では、「住民票コードを納税者番号に当てるという考え方について検討したこともないし、今考えてもいない」「(住基ネットの選択性について)今まで私たち民主党で言ってきた、人に番号を付けるなということ、それから約束したものと別のことに使ってはならない、そういう議論を踏まえた上で、住基ネットについてのしっかりとした検討を進めていきたい。」と述べています。

この原口総務大臣の見解は、私たちが住基ネットの問題点として指摘してきたことと一致する点も多く、検討に期待をしておりました。

しかしその後2010年1月19日の政務三役会議では、「住基ネットを新たな国民が自らの情報をセキュリティも含めた自らの情報をコントロールする権利のための番号」として衣替えして活用する考えを示され、2010年2月23日の政務三役会議では「番号に関する原口5原則(註2)が示され「税・社保共通番号制」に住基ネットの活用を検討する考えが示されました。

この「番号に関する原口5原則」は、以下のように説明されています。

1.権利保障の原則
国民の権利を守るための番号であること
2.自己情報コントロールの原則
自らの情報を不正に利用・ストックされず、確認・修正が可能な仕組み
3.プライバシー保護の原則
利用される範囲が明確な番号で、プライバシー保護が徹底された仕組み
4.最大効率化の原則
費用が最小で、確実かつ効率的な仕組み
5.国・地方協力の原則
国と地方が協力しながら進める

しかしこの「5原則」による番号の具体的仕組みは明らかではなく、なぜ「中央政府が国民を管理する」のではない番号になるのか、理解できません。

私たちは、「税・社保共通番号制」に住基ネットを活用することは、まさに住基ネット導入時に危惧された国民総背番号制につながるものであり、「国民総背番号制ではない」と総務省が再三説明してきたことにも反し、許されないと考えています。住基ネット訴訟判決でも、住民票コードをキーにして個人情報を一元的に管理することになれば、基本的人権を侵害する危険があることは認めています。

以上をふまえ、以下の事項をうかがいますので、文書でご回答をいただくとともに、質疑応答の場を設けていただくようお願いいたします。

【質問事項】

1.

住基ネットを「中央政府が国民を管理するために必要な番号」から「自らの情報をコントロールするための番号」「自らの利便性の面から、自らが権利行使する番号」に変えると表明されましたが、具体的にどのように変えるのか、明らかにしてください。

2.

税と社会保障の共通番号制度」に住基ネットを利用するためには法改定が不可欠ですが、住基法を改定する予定があるか、明らかにしてください。

3.「番号に関する原口5原則」について

(1)権利保障の原則について

住基ネットを「中央政府が国民を管理するために必要な番号」から「自らの情報をコントロールするための番号」「自らの利便性の面から、自らが権利行使する番号」に変えるためには、原口総務大臣も言及されているように、付番は強制されず出入り自由の選択制とすることは最低限の条件です。しかし「5原則」では「重複なく、漏れなく正確かつ安全に付番」するとされています。「選択制」をどのように実施していくのか、明らかにしてください。

(2)自己情報コントロールの原則について

「不正な利用・ストック」や「確認・修正」しかあげられていませんが、もっとも重要である番号の付番・利用に関する「オプト・イン、オプト・アウト」の保障についてどのように考えているか、明らかにしてください。

(3)プライバシー保護の原則について

「利用目的の明確化」「分野をまたがる情報の名寄せを防ぐ」としながら、汎用的に使用し名寄せを目的とした「税・社保共通番号」を認め、住基ネットの利用を想定しているのはなぜか、明らかにしてください。

(4)最大効率化の原則について

「既存インフラの有効活用」として住基ネットの活用を想定していますが、住基ネットは国民の理解と支持がないまま導入された結果、普及が進まず「電子政府化促進のボトルネックとなっている」とまで評されています。そのような住基ネットを活用することが、「最大効率化」になるのか、明らかにしてください。

(5)国・地方協力の原則について

住基ネットは多くの自治体から制度設計に疑問が示されながらも実施が強行され、不参加自治体が出ています。この原則は番号の利用についての自治体の意思を尊重するものと理解してよいか、明らかにしてください。

(連絡先)〔省略〕

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引用者註

〔註1〕代表 〔名前省略〕

「やぶれっ!住基ネット市民行動」は代表を置かない集まりです。質問書に対する回答を求める都合上、連絡先として便宜的に「代表」を記したものです。

〔註2〕番号に関する原口5原則

2010年2月23日の総務省政務三役会議「会議資料(PDF)」(2.11メガバイト、全16ページ)から2ページないし8ページを抜粋しました。

原典について


Copyright(C) 2010 やぶれっ!住基ネット市民行動
初版:2010年12月12日
http://www5f.biglobe.ne.jp/~yabure/juki-net/sentakusei/shitsumon100602.html