第190夜 犬の命か友達の人生か?『タイムホロウ 奪われた過去を求めて』


『タイムホロウ』公式サイト(体験版もあり)


時尾歩郎は両親と共に暮らす高校生。17歳の誕生日の前日、父は歩郎に「明日は大事な話がある。」と告げる。その夜歩郎は夢を見る。あたりは火の海、子供の歩郎は両親とはぐれてしまう。目覚めた歩郎は、愛猫フォ郎から謎のホロウペンを受け取る。そして奇妙なことに、世界は「両親が12年前失踪した状態」に変わってしまっていた。なぜ世界は一変してしまったのか。歩郎は、ホロウペンの力で事件を解決していく。奪われた過去を求めて――。

システム
   
何者かによって過去が変えられたことにより、起きるはずのなかった事件が発生します。主人公時尾歩郎は「いつ」「どこで」過去が変えられたのかを調べ、その過程を修正することで事件を解決していきます。

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 僕はマイコンゲーマー時代からの「アドベンチャーゲーム好き」なので、この『タイムホロウ』も、「とりあえず何時間か楽しい時間を過ごせればいいや」と思って買いました。

 それで、実際に遊んでクリアしてみた感想なのですが、まあ、可もなく不可もなく、といったところです。ただ、最近の僕のゲーム選びは、「そんなに時間がかからないもの」を評価する傾向にあるので、限られた小遣いで「長く楽しめるゲーム」を求めている人にとっては、「終わるの早すぎ!」と言いたくなるのではないかと思われます(たぶん6〜7時間くらいでクリアできるので)。

ストーリーはなかなか興味深いですし、システムも、始めるまでは「なんだかちょっと難しそう」な印象だったのですが、実際にやってみるとけっこう感覚的に操作できます。謎解きも基本的には「総当りでフラグを立てていく」タイプで、あまり迷うところはありません。それが逆に「緊張感のなさ」につながっている面もありますけど。

しかし、「フラッシュバック」で見えた過去の一部を変えることによって未来を改善するというシステムはなかなか興味深いのですが、実際にこのゲームで遊んでみると、正直、どんどん「でも……これって堂々巡りなんじゃないの?」あるいは「結局のところ、『未来を取り戻す』というよりは、『主人公にとって都合の良い未来につくりかえている』だけなんじゃないの?」という気がしてくるんですよね。悪者がそれなりに悪そうなヤツなのと、5000円近くを払って買ったゲームだということでなんとか最後まで頑張れましたが、「こんな凄い力を持っているのに、身近な人にしか干渉しない主人公一族」って、いったい何なのだろうなあ、とも感じましたし。その力、もっと世界を良くするために使えないのか? あるいは、もうちょっと自分たちが幸福になるための使おうと思わないのか?

友達の人生が変わってしまっても、犬の命を助けるべきか、なんていうのは、ある意味「究極の選択」かもしれません。

 最後のほうは、自分でも何やってるのかよくわからないし、もうちょっとマシな解決法があるだろ!と登場人物にツッコミたくなるなど、いろいろストーリー的には言いたいところもあるのですが、最近のDSのアドベンチャーゲームのなかでは、「DSの特徴を生かした悪質な謎解き」もなく、比較的遊びやすい作品だと思います。