第48夜 実は人間ダビスタかもしれない…「俺の屍を越えてゆけ」


 「花〜花〜どんな花〜」という、かなり印象的なテーマ曲とともに始まるこのゲーム、
ゲーム雑誌などでは絶賛されていたものの、グラフィックはPCエンジンに毛が生えた程度で、「ほんとに面白いのこれ?」という印象でした。

 作者が、カルトゲーム「リンダキューブ」(滅亡する世界から、いろんな動物を助け出すというゲームなんですが、とにかく個性的なゲームだったんです)の桝田省治氏ということで、期待と不安が入り混じりながら、ゲームスタート。

 最初は、「何これ?」という感じ。一昔前のPRGのような戦闘シーンと、なかなか成長しない自分のキャラ。しかし、このゲームの最大の特徴は、「配合」にあったのです。
 このゲームでは、主人公の一族は、「短命」(十数年しか生きられない、でも、そのかわりに成長が早い)と人間との間に子供が作れないという呪いをかけられています。

 でも、それをかわいそうに思った神々から、神と交合して子孫を残すことができるという能力を与えられているのです。この神々も、さまざまな能力に秀でた者がいて、ある者は体力にすぐれ、あるものは魔力、火とか水とかの属性もあります。この神々と主人公の英雄一族を掛け合わせて行くことによって、ゲームは進んでいくのです。
 当然、主人公一族は、次から次へと寿命を迎え、命を落としていきます。
 でも、その子孫たちは次第に能力の高い神々と「交合」していけるため、一族全体が少しずつレベルアップしていくのです。

 また、能力がとくに高かった者は、神として交合相手に加わることもあります。
 こうして、少しずつレベルアップをしながら、いろんなポイントの敵の中ボスを倒していき、最後の敵を目指すというシステムなのです。ちなみに、最初の方のキャラでちょっとでも奥のほうに行こうものなら、あっという間に即死。

  さて、このゲーム、何かに似てますよね。
 何かというと、もろに「ダービースタリオン」なんです。

 ダビスタフリークなら、一度は、これは人間でやったら、どうなるんだろう?とか、子供たちをみて「これは全兄弟だな」とか思ったことがあると思うのですが「俺屍」では、その禁断の想像を微妙な設定で、見事に実現してくれます。
 一族の者は馬、神は種牡馬(女性もいますが)、神になった一族は種牡馬入り。

 

 このゲームは、主人公が死ぬことが前提になってつくられていて、そういう意味でも、異質。まさに先祖の屍を越えて、一族は強化されていくのです。

 人間の血の流れ、みたいなものをちょっとだけ考えさせられるゲームです。

 エンディングも感動的で、見かけは地味ですが、ほんとにおすすめ。

 ダビスタ好きの方はとくに一度は遊んでみてもらいたいなあ。