第173夜 まさにクソゲー革命や〜!「いっき」

参考リンク:「いっき」


 今となっては、「伝説のクソゲー」として有名な、この「いっき」なのですが、当時はそれなりに期待されていたソフトだったのです。「アーケードゲームからの移植!」「2人同時プレイのアクション!」って言われただけで、「これは凄いゲームにちがいない!」って、ユーザーが勝手に勘違いする時代でもありましたし。

 この「いっき」は、「百姓一揆」をモチーフにしているらしいのですが、なぜか「いっき」を起こしているのは、主人公「権べ」1人(2プレイヤーのキャラ「田吾」を含めても2人)だけで、しかも彼らがやっているのは、「悪代官を倒す」のではなくて、単にステージ内の8枚の小判を延々と集め続けるだけなのです。当時の僕は、これは「一揆」ではなくて、単に、権べが私腹を肥やしているだけなのではないか?と、大いに疑問でした。
 まあ、革命なんてそんなもんだと言われれば、なんとなく頷けるような気もしなくはありませんけど。

 このゲームには、「田園」「町」「代官屋敷の外」「代官屋敷」という4つのステージがあるのですけど、僕が絶対に、「代官屋敷」の次には、「悪代官との対決」のシーンがあるものだと信じていたのです。でも、4ステージ目の「代官屋敷」のなかで小判を集めると、5ステージ目は、また「田園」ステージ。いや、最初は、「何か秘密のアイテムでも取ったら、あるいは2周したら『代官対決ステージ』に行けるのではないかと期待していたのです。でも、やってもやっても、「ボスとの対決」は訪れず……
 結局、このわずか4ステージを延々と繰り返すだけという、当時としても、あまりにもボリューム不足のゲームだったのです。
 これはまさに、「絶対にクッパが出てこないスーパーマリオ」(とか書いたら、スーパーマリオにすごく失礼ですね)みたいなものだなあ、と。

 武器が「自動照準」のカマだったのはけっこう新鮮だったものの、スペシャルアイテムのはずの「竹槍」は目の前(というか、画面での真上の至近)の敵しか攻撃できないというダメ武器だし、捕まると一定時間動けなくなる「腰元」や、取り付かれると地蔵に触れるまでカマを投げられなくなる「妖怪」、あまりに平板なグラフィックのため、背景だと思い込んでいたら、いきなり撃ってくる「鉄砲隊」など、かなり不快感を増幅するシステム満載、そして、2人同時プレイでも、スクロールが速過ぎると「味方が背景に挟まれて死ぬ」という設定。確かに、「2人同時プレイ」ができるというのはメリットではあったのですが……

 ちなみに、このゲーム、当時は100万本以上売れる大ヒットとなり(本当です!)、多くの人を失望の淵に叩き込み、SUNSOFTのクソゲーメーカーとしての地位を確立したのです。そして、その「クソゲー」という言葉をみうらじゅんさんが作ったのは、このゲームをやったときだった、という「伝説」も残されています。