第106夜 面白さに、異議なし!「逆転裁判」


 ゲームボーイアドバンス(以下GBA)でアドベンチャーゲームなんて、面白いの?
やたらと評判が良かったこのゲームに対する僕の第一印象は、そんな感じでした。
 だって、画面は小さいし、PS2やゲームキューブのような、
綺麗なグラフィックやリアルなサウンドは期待できないし。
 まあ、それでもとりあえず、という感じでやってみたのですが。

 しかし、実際に遊び始めてみると、このゲーム、すごく面白い!
 プレイヤーは、無実なのに罪をなすりつけられた被告(客観的には、
絶対的に不利な状況)を弁護することになった、
新米弁護士・成歩堂(なるほどう)になって、
証拠集めをする「捜査パート」と法廷で証人の証言に対して矛盾をつきつける
「法廷パート」を繰り返して事実を明らかにしていきます。
 基本的に、何かを「調べる」ことによって得た証拠品を証人につきつけるのですが、
その証言の「矛盾」を見つける作業というのが、
非常によく練られていて面白いのです。
 まさに、絶妙の難易度。
 これ以上難しかったら攻略サイトでも見ないとなかなか解けないし、
これ以上簡単だと子供騙しという感じ。
 昔「古畑任三郎」で見たな、これ…
というようなトリックもあったりしますが、まあ、パクリというより、
定番のトリックなのでしょうし。
 登場するキャラクターも、みんな個性的で魅力的です。
「どうしてコイツの周りには、こんなに事件に巻き込まれる人が多いんだ?」
というのは、こういう推理モノの「お約束」だろうし。

 そして、このゲームで特記すべきことは、そのテンポの良さ。
法廷での「異議あり!」という検事との丁々発止のやりとりなど、
本当に「これしかない!」というスムースなもので、思わず引き込まれてしまいます。
 本当の裁判で、こんなに証人の証言の端々まで「ゆさぶる」をやるような弁護士は、
いないとは思うのですが(まあ、あんなに怪しい証人ばっかりじゃないとも思うし)
 さらに、このゲーム、5回ミスをすれば「敗訴」となりゲームオーバーなんですが、
携帯機らしくどこでもセーブできるので、
実際はゲームオーバーにはほとんどなりません。
そういった「親切設計」というのは、ゲームバランスを壊しがちなのですが、
このゲームの場合は、たぶん、制作側も自信があったんでしょうね。
「いつでもセーブできる」と思うと、かえって「もう少し…」と
ゲームを止めるタイミングが難しくなってしまうのは困りものですが。

 ほんと、ゲームはグラフィックの綺麗さやサウンドの豪華さだけじゃない。
 そういう豪華な演出に頼らずに、操作性やテンポ、ストーリーを重視して
このゲームを創りあげた制作陣に敬意を表させていただきます。

それにしても、「逆転裁判」の困ったところは、
GBAだからどこにでも持って行きたくなることですね…
仕事場に持っていきたい衝動に駆られてしまう。
 まあ、本物の裁判がこんなにアバウトな証拠を根拠に有罪になってたら、
ちょっと怖いですけど。