第114夜 銀河の歴史は、クソゲーの歴史?「銀河英雄伝説・ファミコン版」


 ゲームの「銀河英雄伝説」といえば、ボーステックがシリーズ化していたパソコン版が有名なのですが、今回はファミコン版をとりあげてみます。
 シャープX1→X68000と歩んできた僕にとっては、大ファンだった「銀英伝」のゲームは、遊びたくても遊べない状況、そんな中発売されたのが、「銀河英雄伝説・ファミコン版」だったのです。
 しかし、当時の僕たちにとっては、「ケムコ」というのは、「サンソフト」「徳間書店」などと並んで「伝ジャラス・メーカー」だったので、正直なところ不安ではあったのですが。これらのメーカーは、発売本数が多い割にはどこかで見たことがあるゲームの劣化コピーっぽい感じだったり、ゲームバランスが極悪だったりで、正直なところ「できちゃって、もったいないからとりあえず発売してるだけなんじゃないの?」とクレームをつけたくなるような代物も多かったのです。
 ケムコといえば、あの「スパイvsスパイ」なんてのも出してますから、そういう意味ではアバンギャルドなメーカーではあったんですけどねえ…

 しかしながら「銀英伝マニア」としては、買わないわけにはいかなのです。期待と不安と抱えつつ説明書を読んでいたら、なんとこのゲーム、ラインハルト率いる帝国軍側でしか、プレイできないのです。これにはかなりガッカリしたのは、言うまでもありません。
 僕はヤン・ウェンリー提督の大ファンだったので、劣勢の同盟軍を率いて、ヤンの無念を晴らす、というのが楽しみだったのに。
 このゲームでは、プレイヤーは強力な帝国軍を率いて、弱い同盟軍をナブリモノにするという、ゲーマーからしたら、なんだかやるの出しようが無い設定になっています。帝国軍には優秀な提督たちが揃っているのに、相手の同盟軍はものすごく強いヤン提督と何人かの普通の提督たち以外は、無能な連中ばかりで、「ヤンも大変だなあ…」なんて思わず同情してしまいます。おまけにその最大の敵であるはずのヤン提督も、思考ルーチンが今ひとつのためか、強いことは強いものの、いきなり無謀にも単騎でこちらの主力に突っ込んできて玉砕とかいうパターンも多くて、虚しくなってしまうのです。
 このゲーム、要するに「シンプルになって、『銀河英雄伝説』のキャラクターの絵が出て、惑星攻略のアクションシーンが無くなったディーヴァ」みたいなものなのですけどね。
(この説明で理解できる人は、すでに相当なマニアなのかもしれない…)

 僕も何度かクリアしましたが、正直勝ってもあんまり爽快感はありません。蜀ファンが、「三國志」の三国鼎立時代のシナリオで魏でプレイして勝つようなものです。
いつか同盟軍でもプレイできる「銀河英雄伝説」が出ないかなあ、と思っていたのですが、結局、ファミコンでは実現しなかったなあ。

 本当に、ファンとしては「悔しい」ゲームだったことをよく覚えています。
 敵なのに、ヤン提督が出てくると、つい応援してみたり…
 それでも、その気になれば遊べてしまうところが、キャラものの強みではあるのかもしれませんけどね…