第176夜 名人は本当にクリアできるのか…?「高橋名人の冒険島」


 1986年に発売されたこのゲーム、一見するとあの「スーパーマリオブラザーズ」の亜流ともいうべき横スクロール型アクションゲームなのです。まあ、当時は「スーパーマリオ」以降はこんなゲームばっかりだったので、このゲームがとくに目立っていた、というわけじゃないんですけどね。

 「16連射!」で、一躍子供たちのヒーローになった高橋名人がゲームになる、ということで大変話題になった(「コロコロコミック」とかでも派手に宣伝していましたし)このゲームなのですが、実は、元ネタはセガの「ワンダーボーイ」というゲームです。それで、当時のセガマニアたちは、「よりによって、主人公がファミコンの象徴であり、セガの天敵の高橋名人になってしまうなんて、セガは何を考えてるんだ!」と憤っていたものでした。後には「ファンタジーゾーン」などもファミコンに移植されていますから(デキのほうはかなり厳しいものではありましたが)、セガとしても、いろいろと「オトナの事情」があったのだろうとは思いますけど。

 この「高橋名人の冒険島」は、非常に難しいゲームで、あの頃は現役ゲーマーだった僕たちにとっても、あまりの手ごわさに高橋名人に対して、「お前はこんなのクリアできるのかよ!」と因縁をつけたくなるくらいでした。最初の頃は、スケボーに乗って爽快に進んでいく、なんていうシーンもあるのですが、後のほうの面に行くと、スケボーに乗ってしまうと自動的に前に進んでいって操作がしにくくなり転落死とか、ドット単位でのジャンプを繰り返していかなければならない虫のシーンとか、イヤな方向にばかり飛ばされる「オット岩」とか、本当にストレスがたまりまくるトラップの連続。そもそも、名人の必殺技の「連射」なんて、ボス戦くらいでしか役に立ちません。「冒険島」じゃなくて「獄門島」なのではないかとみんなボヤいていたものです。

 しかし、プレイヤーがミスするたびに「あっ、名人死んだ!」「名人弱い!」とか全国で言われているのですから、ゲームの題材になるっていうのは、けっこう大変なことですよね。なんだか寿命が縮まりそうだよなあ。