「人間の愚かしさが作り出した怪物」それが地雷である。
番組の冒頭で司会の筑紫哲也氏はそう地雷を表現した。
これに対して我々が持ちえる武器は「やさしくて、豊かで、国境をも超える」音楽があると。
そう、我々には音楽がある。人間のやさしさと知恵を持って、地雷廃絶を一日でも早く達成させる日が来るようにしなければならない。
坂本龍一氏が地雷をなくすために音楽という武器を使おうと立ち上がったのは、2000年の秋だった。
1998年の長野オリンピックの聖火ランナーでも知られるクリス・ムーン氏と共に彼が地雷で手足を無くしたモザンピークへ行き、実際の地雷除去の作業を見る。
番組では管野美穂のカンボジアのレポート、故ダイアナ元妃の地雷廃絶のための運動の記録を紹介。
ダイアナ元妃は自分の知名度を有効に使って地雷の悲惨さを世界に伝えた。
ZERO LANDMINE
坂本教授は音楽という武器を手に入れるために、7万キロの旅をしていた。
韓国、インド、チベット、モザンピークなどで集めた音源を元にして、作り上げた前半部分、教授が書き上げた後半の合唱部分、歌詞は元ジャパンのデビィット・シルビアンが担当した。
発売されたCDは見事オリコン・チャートのNo. 1を獲得! すでに60万枚を超える売上を上げている。
番組の最後にはこの曲のスタジオ・ライブを敢行。
元YMOの3人をはじめとして、歌詞を書いたD・シルビアンはニューヨークから弟のスティーブ・ジャンセンは日本で、韓国からは金徳洙が参加。
日本からもグレイや大貫妙子、Dreams Come Tureなどがセッションに参加して熱いメッセージを届けてくれた。
地雷ZEROへの遠い道のり
しかしながら、地雷をなくすということは現実ではまだまだ遠い道のりといわざるを得ない。
地球に埋まっている地雷の数は6〜7万個と推定されていて、これを取り除くのには果てしない時間がかかると思われる。
ハイテク機能を利用した地雷探知機なども開発されているようだが、その実用化が早く望まれるのは言うまでもないだろう。
地雷は現在でも20分に1人の割合で犠牲者を生んでいて、その被害者は一般の市民なのである。
また、地雷は殺す事よりも、負傷させる事が目的とされているため、非常に残虐な兵器であり、低いコストで簡単に作れるため現在も多くの紛争地域で使用されているのが現実なのだ。
1997年には対人地雷前面禁止条約に100カ国を超える国が署名しているが、肝心の軍事大国であるアメリカ、ロシア、中国といった国は署名をせず現在もこの「悪魔の兵器」を作り続けている。
同じ年に地雷の廃絶を訴え続けるNGOのICBL(地雷禁止国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞。
地雷廃絶の運動は世界的な潮流となりつつあるが、真の平和を目指すためにも、世界が協力をして地雷を作らず、使わず、除去するための努力を惜しまずに邁進する必要があるのではないだろうか。