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インタヴュー/ミラレパ基金

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アヴァロンで田原さんを捕まえて

ミラレパ基金には以前チベタン・フリーダム・コンサートでボランティアとして参加したこともあり、まず最初にインタヴューを取ろうと思ったが、リーダーの田原さんがアヴァロン・フィールドのステージでトークをすることもあり、チャンスを取材してからとなった。
アヴァロンのステージでのトークも見ていたが、ちょうどライヴがスタートする時間でもあり、残念ながら聴いている人はほとんどいなかった。
トークが終わった後、田原さんを捕まえてインタヴューはスタートした。
兵庫出身ということで、関西弁で受け答えしていただいたのだが、メモでインタヴューの回答を取っていることもあり、関西弁をそのまま再現できなかったことをここにお詫びします。

音楽の持つメッセージを聴け!

始めはチャンスと同じ質問をぶつけてみた。ミラレパに参加する人はどんな人?「主に学生が多いかな。中にはOLさんとかもいるし、今はいないけれど高校生もいたこともある。主な活動は募金と署名になるね」
彼女自身はどのような経緯でミラレパと関わるようになったのだろうか。「元々NGOの活動には興味があり、アメリカの大学にいる時にアジア関連で政治的な活動に興味が特にあったというのと、若い人たちと活動したいという希望があったため、ミラレパのスタッフの募集で入った」ということらしい。すごいバイタリティのある人だなぁと思っていたけれど、やっぱりこのころからすごいバイタリティに溢れていたんだなぁ。
フジロックが苗場に場所を移してから毎年ブース展開しているミラレパ基金だが、去年は全然ステージの方は見ていないようで「今年は努力してステージを見ていますよ。バッファロー・ドーターに清志郎、BLACKALICIOUS、SONIC YOUTH」と今年はライヴも結構楽しんでいるようだ。
無人島に持っていく一枚の質問には「その時々で変わる」と前置きして、「今の夏モードの時期にはバッファロー・ドーターのIかな」とのこと。彼女たちに限らず、特に女性のアーティストにはリスペクトしているようだ。影響を受けたミュージシャンには「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやベン・ハーパー」を挙げていたが、こういったミュージシャンの傾向はやっぱりミラレパ基金の人だねぇ、と思わず納得してしまった。
同じNGO団体でもやはりビースティズが始めたミラレパはチョット特殊な感じがするが、本人は「音楽ぐらいしか今の若い人たちは注目してくれないし、政治問題を訴えるためのツールとして音楽を使うのはすごく有効なんじゃないかなぁ。親や先生が何言ったって、聞かないわけだから。音楽のメッセージ性はすごいし、このことはミラレパに入る前からそう思っていた」と音楽が与える影響はすごく感じているようだった。「チベタンなどのイベントよりも、詩が持つメッセージが大切なんじゃないだろうか。こだわりを持ったミュージシャン、個性的なコアなミュージシャンが好き」とその音楽の持つメッセージを感じ取ることが大切なんだと心底考えているようだ。確かにミュージシャンの言うことに共感する人は多いわけだから、その影響は計り知れないだろうし、僕もそう感じているから、このホームページをやっているわけだし。

アダムとの関係

ステージアピールの方はどうだったんだろうか?「White Stageでブライアンとの掛け合いは面白かったよ」と、ステージアピールも楽しんでいたようだが観衆の反応は? だったようでフジロックについて一言と訊いてみると「テーマは Love & Peace」と本当に一言。気さくな一面を見せてくれた。
ミラレパ基金の日本支部が出来る経緯を訊いてみると「2000年1月に本部をサンフランシスコからニューヨークに移すときに、アダムに東京に支部を作りたいと言ってみたらOKを出してくれた。経済的には基金の運営は東京ニューヨークとも(特にNY)苦しいが、アダムとは頻繁に連絡はとっているし、チベットに関するアジアの団体が少ないこともあり、日本・アジアでの重要性は強いと思う。2001年には激務のあまり倒れてしまったが、アダムはすごい心配をしてくれた」とアダムとの関係は親子の関係であるかのような親密ぶりで「経済的理由でパートタイムになってもいいんだが、アダムが私を離してくれない!」「事務所は自分のアパートと共用で、7割がミラレパのもので自分の物はベッドの上にあるだけなので、服とか買うと自分の物を捨てないといけない」「宅配便の人が来るとアパートの物を見てビビってしまう」などなど面白い話をしてくれた。アヴァロンにブースを建てるのもお手のもんってな感じで、さすが4年連続でブースを出しているミラレパ基金の田原さん。すっかりアヴァロンの主といった貫禄さえあった。

チベットに関して

真剣な話に戻ろう。チベットに関しては現状はどうなっているのだろう。「チベット内は悪化していて、中国が進める西部大開発で鉄道が引かれてしまったら、チベット文化の継承が困難になってくるし、ますます大量の中国人が入ってくるようになってしまう」日本政府に対しては「フラストレーションがある。チベット以外に関してもODA(政府開発援助)を出しすぎている」かなり鬱憤が溜まっているようだ。ただ、あの外務省に関しては「集めた署名を外務省に持っていった時に担当された外務省の方はチベット問題に関しては精通していて、悪い印象はない」と意外な発言が返ってきた。まぁ、外務省の人が全部ダメではないのは当たり前だが。ミラレパの活動を誰もが支持しているわけでは当然なく、嫌がらせメールなどもかなりあるようだが「ガムテープを貼られてもどんな嫌がらせメールがきても活動はやめないし、署名に関し言えば、したことがない人が署名をすることに意義があり、他の団体への署名をするなどのステップにミラレパがなればそれはそれでいいんじゃないか」と強い口調で話してくれた。
高齢になってきているダライ・ラマ法王に関しては「わからないけれど、あと20年は大丈夫!」と言いながらも「2000年の来日会見時に“インドへの亡命の時に国境越えをして、その時に警護などにあたっていて仲間との別れが辛かった”と話されていたので、なんとかチベットへ帰してやれたら」と法王の気持ちを思いやっていた。

チベタン・フリーダム・コンサートよ再び

9.11についても訊いてみた「アメリカ人の多くは世界の中のアメリカを考えたことがないので、これをきっかけに考えた人が多いのでは。本当に武力でいいのかを考えるきっかけになったと思う。アメリカの報復攻撃では何も解決しない。個々のエゴが丸出しで、もっと良い形でできるはず。なぜ9.11が起こったのかをもっと考えるべきだ」と。本当に良い方向でアメリカ人が考えてくれれば良いのだが、ブッシュを支持するアメリカ人が多いことを考えると、逆に武力でいいんだといっているようでちょっと心配だ。「9.11の映像はミラレパのニューヨーク本部が入っているビルから撮影されたもので、アダムの安否をすぐに確認した」とのこと。あれだけ近い距離に事務所があるなら本当に衝撃的だったにちがいない。
そして、これを訊かずには帰れない。チベタン・フリーダム・コンサートはまたあるのかどうか「トップシークレット!」とすかさず返答が返ってきた。やはりそうか。「どんな形になるかわからないが、何かが起きる。起こす。もう一発はガツンと何かがしたい! 今から考えると半年ほどはかかるので。前回までのチベタン・フリーダム・コンサートはメディアもエンタメ系が多く、政治的なメディアが諸事情で取材できなくて残念と思わせたい。そんな何かを起こしたい」となにやら画策中のようである。来年のミラレパからは目が離せないようだ。


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