上皮性卵巣ガンの発症前の食習慣は、発症後の生存率の高さに影響する

最新疫学研究情報No.73

米国のイリノイ大学公衆衛生大学院のTherese A. Dolecek博士らの研究チームによって、「上皮性卵巣ガンを発症する前に正しい食習慣を心がけていた人は、発症した後の生存率が高くなる」との報告がなされました。

この研究は、イリノイ州在住の1994~1998年に上皮性卵巣ガンと診断された女性341人を対象にしています。これらの女性は、卵巣ガンの発症前に別の症例対象研究に参加し、食事(*食物摂取頻度アンケート)とライフスタイルについての調査を受けています。この研究は、そのデータを基に卵巣ガンを発症する前の食習慣が、卵巣ガンを発症した後の生存率(*2005年までの統計)に及ぼす影響を追跡調査したものです。

調査の結果、果物と野菜を多く摂取していた人たちは、最も少ない人たちに比べ卵巣ガンの死亡リスクが39%低く、野菜を多く摂取していた人たちは、少ない人たちに比べ死亡リスクが33%低かったことが明らかになりました。特に黄色野菜とアブラナ科の野菜に死亡リスクの低減効果があることが確認されました。一方、赤肉や加工肉を多く摂取していた人たちは、ほとんど摂取しなかった人たちに比べ死亡リスクが2.28倍も増加し、牛乳を多く飲んでいた人たちは、全く飲まない人たちに比べ死亡リスクが2.15倍も増加したことが報告されました。

研究チームは、「今回の研究により、上皮性卵巣ガンの発症前の食習慣は、発症後の生存率に影響を及ぼすことが示唆された」と述べています。

出典

  • 『Journal American Dietetic Association 2010年3月号 Vol.110』
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