職場環境の悪さは、うつ病の発症リスクに影響する

最新疫学研究情報No.67

フィンランドの国立労働衛生研究所とチュルキュ労働衛生センターの研究チームによって、「チームワークの悪い職場で働く人は、うつ病の発症リスクが増加する」との報告がなされました。

研究チームは、フィンランドの労働者3347人(30~64歳の男女)を対象に「職場のチームワーク(*コミュニケーションの質や団結力の程度)」と「精神的な疾患(*うつ病・不安症・アルコール依存症)」の関係について調査しました。被験者への質問(*①職場は快適で良好か? ②新しいアイデアに対して好意的か? ③不公平で保守的か? ④口論や意見の不一致が多いか?)の回答にもとづき、職場環境の程度により3グループに分けて比較研究しました。3年間の追跡調査の結果、最も職場のチームワークの劣ったグループは、最もチームワークの優れたグループと比べ、うつ病の発症リスクが61%も増加し、抗うつ剤の使用も53%高くなることが明らかになりました。一方、職場のチームワークと不安症・アルコール依存症との関連性は見られませんでした。

研究を指揮したMarjo Sinokki博士は、「今回の研究により、仕事中のチームワークの悪さは労働者のうつ病を引き起こす一因となる可能性が示唆された。職場環境とうつ病の関係をより明確にするためには、さらに研究が必要である」と述べています。

出典

  • 『Occupational and Environmental Medicine online版 2009年4月9日号』
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