全粒穀物の摂取と心血管疾患について

最新疫学研究情報No.15

米国のウェイク・フォレスト医科大学の研究チームによって、「全粒穀物の多い食事は、心血管疾患のリスクを低下させる」との発表がなされました。近年の研究でも全粒穀物と心血管疾患のリスク低下との関連が示唆されていますが、今回の調査は、それを裏付けるような結果となっています。研究チームは、7つの前向きコホート研究(*1966~2006年の研究データ)を比較調査しました。その結果、1日平均2.5サービングの全粒穀物を摂取した人は、0.2サービング摂取した人に比べて心血管疾患のリスクが21%低下することが明らかになりました。一方、精製穀物の摂取と心血管疾患のリスクには関連性が見られませんでした。

この研究を率いた内科学助教授フィリップ・メレン氏(Philip Mellen,M.D.)は、「“全粒穀物は健康によい”という多くのエビデンスがあるにもかかわらず、その摂取量は低いままです。1999~2000年に行われた栄養調査では、米国の成人のうち、8%が1日3サービング以上の全粒穀物を摂取していましたが、42%はまったく摂取していませんでした。多くの消費者と専門家は、全粒穀物の恩恵に気づいていません」と述べています。

1サービングは、スライスパンなら1枚、ご飯なら半カップ分に相当します。米国政府が2005年に発表した新しい食事ガイドライン(My Pyramid)では、“オンスまたはカップ”という単位が用いられています。My Pyramidによれば、成人女性(19~50歳)の1日あたりの穀類推奨量は6オンスで、「少なくともその半分は全粒穀物を摂取するように」との勧告がなされています。(*1オンスは、スライスパンなら1枚、米・パスタ・オートミール(すべて調理済み)ならそれぞれ半カップ分に相当します)

出典

  • 『Nutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases 2007年4月20日 online版』
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