魚のオメガ3脂肪酸は、加齢による認知機能低下を防ぐ

最新疫学研究情報No.13

「魚のオメガ3脂肪酸は、加齢による認知機能低下を防ぐ」という研究が、オランダの研究者とアメリカの研究者によって報告されました。

オランダ国立公衆衛生環境研究所のボクジェ・マリア・バンヘルダー氏(Boukje Maria van Gelder)らは、70~89歳の男性210人を対象に、「食事から摂取するオメガ3脂肪酸(EPAとDHA)」と「脳の認知機能低下」について、5年間の追跡調査をしました。その結果、「1日およそ400mgのオメガ3脂肪酸(EPAとDHA)を摂取することによって、認知機能の低下を予防できる可能性がある」と結論づけています。

また、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学部のメイ・ベイドゥーン氏(May A.Beydoun)らによる研究では、「オメガ3脂肪酸が脳の認知機能の中でも、言葉の流暢さと関係している」という報告をしています。この研究では、50~65歳の白人男女2251人を対象に、血液中の脂質レベルと脳の認知機能低下の関係を調べました。オメガ3脂肪酸を摂取して3年後と9年後の記憶力・精神活動・言葉の流暢さを比較した結果、オメガ3の高レベル摂取によって、言葉の流暢さの低下が抑制されることがわかりました。特に高血圧や異脂肪血症(*血液中のコレステロールや中性脂肪など脂質の量の異常)の場合、その傾向が顕著に現れたということです。

オランダの研究の「1日400mgのオメガ3脂肪酸」というのは、脂肪の少ない魚の料理なら週に6回、脂肪の多い魚の料理なら週に1回に相当します

アメリカの研究では、オメガ3脂肪酸のほかに、血液中のリノール酸のレベルが高い人は認知機能の低下が少なくなり、肉などに多く含まれる飽和脂肪酸のアラキドン酸やパルミチン酸のレベルが高い人は、認知機能が大きく低下したという結果も出ています。

出典

  • 『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション Vol.85 2007年4月号』
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