妊娠中の食事は、子供のアレルギーリスクに影響を与えるかもしれません

最新疫学研究情報No.4

「ドイツ出生コホート研究(LISA)」によって、「妊娠中の“アレルギーを引き起こしやすい食品やオメガ6の多い食事”が、産まれた子供のアレルギーリスクを増加させ、“オメガ3の豊富な食事”が、アレルギーリスクを減少させる」との報告がなされました。これまでも「妊娠中の母親の食事は、胎児の免疫反応に影響を与える可能性がある」と言われてきましたが、それを裏付けるような結果となっています。

GSF(国立環境・健康研究センター)疫学研究所のJoachim Heinrich博士らは、「母親の妊娠後期(最後)の4週間の食事」と、「2歳児の湿疹やアレルギー」との関連を研究しました。

その結果、2,641人の2歳児のうち17.7%が「湿疹」、9.3%が「食物アレルギー」(*主にミルクと卵)、4.8%が「吸入アレルギー」(*主にハウスダスト)と診断されました。そして母親の妊娠最後の4週間における“マーガリンや植物油の多い食事”が、子供の2歳(24ヵ月)までの「湿疹」のリスクを高めることが明らかになりました。それとは反対に妊婦が“多くの魚を摂ること”は、誕生後の子供の湿疹を予防することも明らかになりました。

また、母親の“セロリと柑橘類”の多量摂取は、子供の「食物アレルギー」のリスクを増加させ、“フライ・生のカラーピーマン・柑橘類”の多量摂取は、子供の「吸入アレルギー」のリスクを増加させることが報告されています。

この研究結果は、「2歳児の血液検査のデータ」「母親の4週間の食事調査(食物摂取頻度調査票)」「子供の最初の2年間(6,12,18,24ヵ月)の健康と生活習慣についてのアンケート」にもとづき、調査されました。

出典

  • 『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン 2007年2月号』
このページの先頭へ