「生活習慣」は遺伝に勝る!

“4つの健康条件”こそが、健康と病気を左右する

コラムNo.15

これまで長い間、ガンをはじめとする病気の原因として、遺伝と生活環境のどちらの割合が大きいかが議論されてきました。病気の発生には先天的要素(遺伝的要因)と後天的要素(生活環境的要因)が共に関わっていることが経験的に知られていましたが、それぞれどの程度の比率を占めるかは不明でした。しかし、アメリカのハーバード大学の調査(1996年)によって、ガンの原因は、「喫煙(30%)」「不適切な食事(30%)」「運動不足(5%)」「職業(5%)」「飲酒(3%)」など、生活環境的要因が7割以上を占めることが判明し、遺伝的要因は5%にすぎないという結論が導き出されました。

さらにハーバード大学のグループは、20世紀末(1980~1990年代)から最大20年をかけて実施された複数の疫学研究における総計55000人以上の被験者のデータを基に、「遺伝子と生活環境との関係」について調査しました。その結果が、医学専門誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(2016年)』に掲載されています。

この研究は、心臓病の病気遺伝子(*心臓発作のリスクを高める遺伝子変異体)の所有数を基に被験者を分類(*多くの病気遺伝子を持つ人、中程度の病気遺伝子を持つ人、あまり病気遺伝子を持たない人に分類)し、各被験者の生活習慣(食事・運動・喫煙など)のデータを照らし合わせて、冠動脈性疾患の発症リスクを比較したものです。

その結果判明したことは、「たとえ心臓病の病気遺伝子という先天的な危険要素を多く持っていても、食事や運動などの生活習慣を改善し、肥満に気をつければ、発症リスクは病気遺伝子の少ない人(*ただし、生活習慣を改善していない人)と、ほぼ同程度にまで低減する」という事実でした。食事や運動などの生活習慣を改善することで、遺伝的なリスクをかなり克服できるということが明らかになったのです。

こうした疫学研究の結果を踏まえると、先に述べた「病気発症に関する遺伝的要因は、わずか5%にすぎない」とした結論も納得できます。

実は、「ホリスティック健康学」で提唱する“4つの健康条件”とは、「心・食・運動・休養」という生活環境的要因のことに他なりません。それは、4つの健康条件の完璧性を目指すことで、「たとえ病気遺伝子を持っていても、発症リスクを抑えることができる」ということを意味しています。病気遺伝子を多く持っていても、生活習慣を改善することで病気の発症を防ぐことができるのです。

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