白の中の紅
バッと広がる鮮血。
自分も含めて、周りに飛び散る。
崩れ落ちる人影、瞬く間に雪原に広がる赤。
「ドック!」
完全に自分の落ち度。鳩村は歯ぎしりした。
慌てて駆け寄った大下へも、銃弾は容赦なく襲う。
「ユージ!」
雪原には、隠れる場所などない。
鷹山とともに、何とか二人を連れて走る。
と、西條が、ニコッと笑うと、三人を突き飛ばした。
「ドック…」
「狙い、俺だ、から…」
そこはすこしのくぼみ。三人がたたらを踏んでその窪みへと転がり込んだ目の前で。
最後の銃声が、西條を貫いた。