「貸せ」
「出せ」
「貸せって言っただろ!」
「出せって言っただろ!」
「・・・先輩たち、何言い合いしてるんだ?」
「・・・フィリピンの話だよ・・・。まだ引っ張ってたんだ・・・」
谷川が、中田の隣でため息をついた。
「第一、お前と一緒に行動してるとろくな目にあわん」
「そりゃ、こっちの台詞だよ! 今回はお前が突っ込み過ぎたから、こうなったんだろ?」
「ぐ・・・」
風間の言葉が詰まる。
頭の上を無数の銃弾が飛び交う中心に、彼らはいた。
「こうなったら、賭けるか?」
「何を」
「5000ペソ」
伊達がため息をついた。無線の向こうでは、谷川と中田もため息をつく。
「OK。じゃあ、敵を多く倒した方の勝ち。死んだら、生き残った方の勝ち」
「いいだろう。じゃ、そういうことで」
風間が先に飛び出す。
「おい、風間っ」
伊達も慌てて後を追った。
この勝負。倉本の総取りで幕が降りた。
「「ずーるーいーっっっっ」」