「チームワーク」という言葉を感じるのは、何故かこんな時だ。
普段、俺達は、単独行動が多いのに。
いや、2人でもチームワークって言っていいなら、俺達2人のチームワークは、かなり高度で完璧だと思うけど。
その、俺達2人だけのチームワークが壊れた時。
そんな時に、本当のチームワークを感じるなんて、皮肉だけれど。
2人ってことは、片方がいなくなったら、その途端チームワークが消滅してしまうということで。
せめて3人だったなら、残りの2人でどうにか出来るかもしれないことも、1人だけじゃ難しい。
たいてい、片割れがいなくなってる時というのは、危機迫ってる場合がほとんどで。
そして、必ず、連絡が取れない場合だ。
1人で突っ走ってるとか、拉致・監禁されているとか。
ケガをしているとか、意識がないとか・・・。
足取りを探して、思考を追って。
次を予想して、救出や援護や、逮捕に向かう。
事件そのものも、切迫していること多い。
犯人が高飛びしそうだとか、新たに人が殺されそうだとか。
相方の無事が心配される時は、無事に病院へ送り届けるまでのタイムリミットとか。
心配して、イライラして、不安と怒りと焦りと、でも、自分が冷静にならねばという、思いと。
このもどかしい、どうにかしたい気持ちで、イッパイイッパイの時に。
それは、ふいに、訪れる。
そっと置かれた、コーヒーだったり。
ストレートに心配した、言葉だったり。
わざと明るい、フザケタ態度だったり。
どんどん判明していく、捜査状況だったり。
範囲を超えて、調べてくれた科学情報だったり。
無茶な捜査方法に背中を向けた、上下逆の新聞だったり・・・。
そんなこんなに、支えられて。
いつもと違う相手に、背中を預けて。
相棒を連れ戻しに行くのだ。
そして、無事、隣に戻って来た相棒と。
いつもの軽口を叩きながら、煙草をふかしたりしていると。
みんなも、ものすごく安心してくれているのを感じる。
ホッとした空気が、回りに広がって、今まであんなに不安に思っていた自分が、恥ずかしいような、くすぐったい気持ちになる。
・・・うん。
俺達2人も、ホントは初めから、ちゃんと「チームワーク」の一員なのかもしれないな。
だからさあ。これからは、あんまり、無茶しないようにしような?
自分で言ってて、けっこう無理だと思うけど。
でも、気持ちだけは。いつも・・・。
おわり