必読!妊娠中のトラブル

妊娠中には色々気になる症状があります。
急いで病院に駆けつけるべきか?
それとも妊娠による変化なのか?
これらを予め知っておくことが大切です。

赤ちゃんからのSOS!!
〜急いで受診が必要なトラブル〜
お腹の赤ちゃんに何かが起きたとき…
そのサインに気づいてあげられるのはママだけです。気をつけていても、何らかのトラブルが起きてしまうこともあります。
 「あれっ?」っと思ったらすばやく受診、些細なことも見逃さないように注意するのもプレママの大事な仕事です!
出血・お腹の張り・腹痛
妊娠の全期間において、「膣からの出血」「お腹が痛い」などの症状があるときには急いで受診が必要です。
出血
 出血の原因にはいろいろありますが、心配なのは『お腹の赤ちゃんに影響する出血』です。
鮮血(鮮やかに赤い血液のこと)の時は新しい出血=今起きている出血です。多量な出血(目安として生理2日目程度の出血)、腹痛をともなう場合は夜間でも早急に受診が必要です。
量は多くないけれど赤い出血も場合も必ず受診しましょう。
茶褐色(錆びのような色)の出血、薄い出血の時は古い出血であると考えられますので、鮮血ほどの緊急性はありませんが、早めに受診したほうが安心です。
妊娠初期の出血・主な原因
流産 妊娠11週くらいまでの赤ちゃんは子宮の中で非常に不安定な状態で過ごしています。それまでの期間は流産しやすい時期なので気をつけましょう。
切迫流産 赤ちゃんは元気だけど出血している状態。
治療が必要。
流産 赤ちゃんが成長しない、心拍が停止した状態。
妊娠は中断され、手術が必要。
着床時出血 受精卵が子宮の内膜に着床するときに起こる出血。
通常の月経よりも少なく、短期間で治まる。
月経予定日頃に起こるため妊娠に気づかないこともある。
絨毛膜下血種 胎盤になる組織である絨網膜と子宮の壁の間から出血が起こります。
特別な状態を除き、そのまま治ります。
子宮外妊娠 子宮以外のところに受精卵が着床。妊娠反応が陽性になっても子宮内に何もみえない状態。
卵管に着床した場合、受精卵が大きくなると、卵管破裂する場合があり危険。
残念ながら妊娠の継続は不可能です。手術が必要。
胞状奇胎 子宮内に作られる絨毛という組織が増殖異常をおこすことで、俗に「ぶどうっ子」と呼ばれています。
残念ながら妊娠継続は不可能です。
絨毛がんへの移行する可能性があり。手術が必要。
子宮膣部びらん
膣がが炎症をおこしたり、ただれた状態。
妊娠中の出血でもっとも多く、50%くらいの妊婦さんが経験する。
頚管ポリープ
子宮頚管の粘膜が増殖し、ポリープができる。ほとんどが良性。
柔らかい組織でできているため、わずかな刺激で出血します。
妊娠中特に治療せず様子をみることが多いです。
ひどくなるようなら、切除することもある。(プチっととるだけの簡単な処置)
粘膜の傷 内診や性交渉時についた傷によって出血することがあります。
通常の月経よりも少なく、短期間で治まります。
2日程度で治まれば心配はない。
妊娠中期〜後期の出血・主な原因
早産 子宮が収縮し、産道が開こうとすることで、子宮の壁と赤ちゃんが入った膜の間がずれ、剥がれてしまい出血が起こります。
早産の危険性があるため治療が必要です。
早産 妊娠22週から36週までの出産を「早産」といいます。
切迫早産 早産しそうだけど、安静や治療で妊娠状態を保てる状態。
子宮頚管無力症 赤ちゃんが産まれるまで閉じているはずの子宮口が、妊娠の早い時期から開いてしまうことです。
子宮口を縛る手術が必要です。
前置胎盤 普通、子宮の上側に付くはずの胎盤が子宮の入り口側に付いてしまうことがあります。
子宮が収縮した時に胎盤が剥がれ、大出血することがあります。痛みは感じないことが多い。
子宮が大きくなる間に上側に上がっていくこともあります。
帝王切開で出産となります。
常位胎盤早期剥離 妊娠中に突然胎盤がはがれてしまうことをいいます。
妊娠中毒症の場合起こりやすいといわれています。
胎盤が先にはがれると大量に出血する、赤ちゃんは酸素や栄養をもらえなくなる、など母子ともに生命に関わります。
出血は最初は少量、徐々に増えていきます。
お腹の中で出血しても外側に出てこないこともあります。
妊娠後期、腹痛を伴い、お腹がカチカチに固くなるのが特徴です。
緊急帝王切開になることが多いですです。既に分娩進行しており赤ちゃんが元気な場合、鉗子や吸引で経膣分娩を行う場合もある。
子宮頚管炎 膣からバイ菌が入り子宮の入り口部分が炎症を起こします。
おりものの異常で気づくことが多いです。
ひどくなると子宮頚管→子宮付属器→お腹の中へと炎症が広がります。
大腸菌やブドウ球菌、クラミジア、淋菌などが主な原因。
赤ちゃんを包んでいる膜に感染すると、前期破水や切迫早産の原因になる事があるからです。
また、お産のときに子宮頚管炎が続いていると、赤ちゃんが産道感染を起こして、新生児肺炎や結膜炎になってしまう事があります。 
お薬で治ります。

お腹の張り・痛み
 お腹が張る感じがわからない人もいますね(^_^)
お腹が少し硬い感じになる=張りです。強い張りは痛みを感じます。
 妊娠中に起こる「お腹の張り」のほとんどは子宮の収縮によるものです。
子宮は筋肉でできていますので、その筋肉がキュッとなることで張りや痛みとして感じます。1日数回の張りは普通のことです。長い時間立っていたり、動きすぎた場合などに張りやすくなります。
 横になって休めばほとんどが治まります。
 お腹の張りの回数が多くなったり、常に張っている、痛みがある休んでも治まらない場合は受診が必要です。
*妊娠初期に定期的に張る、中期以降は1日に20回以上張る場合はすぐに受診。
*中期以降は外からの刺激でお腹が張るので、張りがあってもお腹を抑えたりなでたりせず、なるべく触らないように横になって安静にすること。

お腹が張っているときの赤ちゃんは…
 子宮が収縮しているということは、子宮が赤ちゃんを押し出そうとしていることです。
張っている間は、子宮の中に流れる血液の量が減るため、赤ちゃんに送られる栄養や酸素が少なくなっています。
 『ダンナ様にお布団にグルグル巻きにされ、ギュウギュウ締め付けられる自分』を想像してください!…きっと苦しいはず。赤ちゃんはそんな状態だとイメージできます。
妊娠初期のお腹の張り・痛みの主な原因
生理的な子宮収縮 子宮が大きくなろうとしている、便秘などが原因。
流産 妊娠初期は要注意。お腹の張りや痛みがあるときはすぐ受診を。
子宮内膜症がある人 癒着部分が子宮の発達にともない、傷みや張りの症状が出る。
卵巣の腫れ
(黄体嚢胞)
妊娠により一時的に卵巣が腫れることがあります。ほとんどは自然に治ります。
卵巣嚢腫頚捻転 黄体嚢胞により、腫れた卵巣を支える部分でねじれを起こし激しい腹痛が起こります。緊急に処置が必要です。
子宮外妊娠 卵管妊娠が進行し、卵管破裂した場合、激しい腹痛があります。
母体の生命に関わるため緊急に手術必要。
妊娠中期〜後期のお腹の張り・痛みの主な原因
生理的な子宮収縮 30分に1〜2回程度の不規則な張りは心配ありません。
規則的な張り、痛みをともなうもの、間隔が短くなる場合は受診。
妊娠晩期では陣痛開始のこともあり。
早産 いつもと違う張り、傷みがある場合は受診。
1日も長くお腹にいることが赤ちゃんのためには良い。
常位胎盤早期剥離 胎盤が剥がれ、子宮内に出血が起こります。
お腹がカチカチに固くなり、腹痛があるのが特徴。
すぐに受診が必要。
規則的な張り 1日に20回以上または30分に3回以上の張りが続く場合は受診が必要です。
妊娠晩期では陣痛開始のこともあり。


 赤ちゃんはお腹の中で膜に包まれて羊水という水の中に浮かんだ状態で過ごしています。
何らかの原因で赤ちゃんを包んだ膜が破れると、羊水が体外へ流れ出ます。
これを「破水」といいます。破水が起きたらすぐに受診が必要です。
適時破水
 陣痛が始まった後、子宮口が全開大(10cm開大)の時に、強い陣痛が起こると、破水が起こります。破水はは子宮口が全開大に近い頃に起こるのが正常です。
このような時期の破水を適時破水と言います。適時破水の場合は陣痛を待ち分娩となります。
前期破水
 分娩開始以前(陣痛が始まる前)に起こる破水を言います。
早産の原因になることはもちろん、赤ちゃんよりも先にへその緒が出てきてしまう、子宮内感染症を引き起こすなどの危険性もあります。
早期破水
 陣痛が始まってから、子宮口が全開大になる前に破水してしまうことを言います。
早期破水の場合も前期破水として分類されます。
前期破水の原因
@赤ちゃんを包む膜の異常(性病・炎症・感染など)
A急激な子宮内圧の亢進(重い物を持つ、転ぶ、激しい咳など)
B非常に激しい胎動による衝撃
C性交渉時のオルガスムス
D高齢、喫煙者などのハイリスク妊娠
前期破水の症状
@羊水が絶えず流れ出る
A破水に続いて陣痛が始まる
B破水から時間が経ちつと感染を引き起こす。⇒発熱、赤ちゃんの脈が早くなる。
Cへその緒が先に出てくることもある
もし早産期に破水したら…
 破水をしても治療をすることで妊娠を継続できます。赤ちゃんの状態によっていは緊急帝王切開による分娩も選択されます。
低出生体重児(2500g未満)としてNICUに入院し赤ちゃんへの治療が必要となる場合もあります。
妊娠35週以降の場合(赤ちゃんが2300g以上の場合)
 妊娠35週以降の赤ちゃんは少し小さめでも、母体外でも生活は可能です。
陣痛が始まれば産まれるのを待ちます。
 陣痛が始まらない場合は感染が始まる前に分娩の誘発を行う、感染予防に抗生物質等の治療をして陣痛を待つなどの方針がとられます。
妊娠35週未満の場合(赤ちゃんが2300g以下の場合)
 35週未満の赤ちゃんはまだお腹の外での生活を送るのが困難な場合があります。
35週未満に破水が起きた場合は、妊娠の継続を目標に治療が行われます。
○子宮内感染の予防の治療
○陣痛の抑制の治療

低体重で生まれた場合はNICU(新生児集中治療室)で治療を受けるようになります。


 妊娠が原因で起こるさまざまな症状があります。この症状がひどい状態で病的な場合を「妊娠中毒症」といいます。
妊娠28〜32週頃にかかりやすく、原因ははっきりとしていません。
 重症化した半数近くの人に、高血圧や蛋白尿の後遺症を残すことがあります。
妊娠中毒症の主な症状
むくみ 手足がむくみ、指で押してももどらない。
体重が1週間に500g以上増える。
重症になると全身にむくみが現れる。
要注意
これがむくみの症状!
・すねを指で押さえる⇒ペコっとへこんだまま戻らない
・靴がきつい
・指輪がきつい
・手を握るとムクッとしている
高血圧 収縮期血圧(※)が140mmHg以上、拡張期血圧が90mm/Hg以上。
(※血圧が140−90の場合、140が収縮期血圧、90が拡張期血圧)
頭痛や肩こりなどの症状がある場合も。
タンパク尿 尿検査で尿中のタンパクが検出される。
こんな人がなりやすい!
前回、妊娠中毒症だった人 妊娠中毒症の症状が産後も解消されない場合、次回妊娠も発症する可能性が高くなります。
持病がある人 高血圧、腎臓病、肝臓病、糖尿病のある人は、妊娠によって症状が悪化し、妊娠中毒症を発症しやすくなります。
多胎妊娠
(双子以上の妊娠)の人
赤ちゃんの人数が多ければ、その分たくさんの酸素や栄養を赤ちゃんに送らなければなりません。
母体への負担が大きくなり、妊娠中毒症を発症しやすくなります。
太りすぎの人 高血圧の場合が多く、母体に負担がかかり発症しやすくなります。
1週間に500g以上体重が増える場合は要注意。
家族が病気になったことがある人 家族に高血圧や糖尿病の人がいる場合、遺伝によって妊娠中毒症を発症する確率が高くなります。
高齢出産の人 高齢による身体への負担が大きく、生活習慣病にかかりやすいのが原因といわれています。
重症になると…
ママへの影響 赤ちゃんへの影響
・常位胎盤早期剥離⇒早産 ・発育が遅くなる⇒低体重児出生率2倍
・子癇(突然痙攣を起こし昏睡状態になる) ・胎児死亡率上昇⇒3倍
・尿毒症(腎臓の働きが悪くなる) ・胎児仮死率上昇
・肺水腫(肺に水がたまり呼吸困難に)
・妊産婦死亡率上昇
妊娠中毒症の予防法
 妊娠中毒症は簡単に予防できます。次のことに気をつけて妊娠生活を快適に過ごしましょう。
きちんと体重管理 カロリーに注意し、間食は控えましょう。
炭水化物(米、パン、メン)、甘いもの、お菓子、油脂類、果物類のとりすぎに注意しましょう。
※果物は意外と高カロリーなため注意!
塩分に気をつける 塩分の摂り過ぎは高血圧の原因に。
1日7〜10g程度に抑えましょう。
休養はしっかりとる 睡眠や休息は十分にとり、過労は避けましょう。
良質のタンパク質をとる 身体のエネルギー源となる植物性タンパク質(とうふ、納豆など)を摂るよう、心がけましょう。
定期健診は必ず 妊婦検診で妊娠中毒症が発見されることが多いです。
ママのために、赤ちゃんのために必ず検診は受けるようにしましょう。
妊娠中毒症になったら
 「妊娠中毒症です」と言われてしまったら…
慌てなくても大丈夫。軽症の場合はお家で食事に気をつけ、安静に過ごすことで様子を見ます。
 重症の場合はすぐに入院し治療が行われます。
入院時の治療 入院すると塩分制限、高タンパク食の食事療法と安静を主とした生活になります。軽症の場合は4〜5日で良くなる人がほとんどです。
こんな検査をします 血圧測定、尿検査、血液検査、胎盤機能検査などが行われます。
赤ちゃんの状態もチェック NST(ノンストレステスト)による赤ちゃんが元気かどうかの検査をします。
出産後には治る? 妊娠中毒症は出産が終われば治ります。
ただし、高血圧などの症状が産後も残ってしまう場合もあります。
妊娠中と同じように健康管理には十分に注意しましょう。


 妊娠をきっかけに糖尿病を発病したものを「妊娠糖尿病」と診断します。
妊娠によって血液中の糖の代謝異常を起こして、血糖値が上昇しそれが影響で様々な症状が起きる病気です。
 妊娠糖尿病の原因は、胎盤から分泌されるインスリン(血糖を下げるホルモン)を阻害するホルモン(ヒト胎盤ラクトーゲン)ですから、妊娠が終了すれば治る病気です。
こんな症状は要注意!
 妊婦検診の際、尿糖の検査を毎回行います。気になる症状があれば医師や助産師に相談しましょう。
@のどが渇いてしょうがない
Aとにかくトイレが近くなる
B無性に甘いものが食べたくなる
C口臭がきつくなる
こんな人がなりやすい!
家族が糖尿病の人 糖尿病は、遺伝性の強い病気です。両親だけでなく、叔父、叔母、祖父母までさかのぼって糖尿病の人がいる場合は要注意。
もともと糖尿病の人 妊娠前から糖尿病の人は、妊娠を期に悪化しやすくなります。
血糖をきちんとコントロールすることで妊娠、出産は可能です。
太っている人 過剰なカロリー摂取は、高血糖の原因となります。
35歳以上の人 加齢とともに体力や免疫力の低下を起こします。生活習慣病を起こしやすいため、注意が必要です。
ママ・赤ちゃんへの影響
ママへの影響 赤ちゃんへの影響
・妊娠中毒症の併発 ・子宮内での死亡
・低血糖 ・出生直後の死亡
・糖尿病性昏睡 ・早産
・感染症 ・奇形
・網膜障害による失明 ・巨大児・未熟児
・腎臓障害 ・赤ちゃんの低血糖
・羊水過多症
妊娠糖尿病の予防
 妊娠前から適切な管理をすることで、ママや赤ちゃんへの影響は防ぐとこができます。
糖尿病は自覚症状に乏しく、気付かないうちに病気にかかっていることもあります。
 太り気味の人や、親が親族が糖尿病の人などは、妊娠前に血糖値検査を受けておくことをオススメします。また、妊娠がわかった時点で「糖尿病のリスクがあること」を主治医に告げ、相談してください。
しっかり体重管理 1週間に500g以上増えないように食事管理をしましょう。
高タンパク低脂肪のメニューを心がけます。
適度な運動 ウォーキングなど適度な運動を。
定期健診は必ず 検診を受けることは「赤ちゃんを守ること」。
ママにしかできない大切な仕事です。
早期発見早期治療のためにも、定期健診は必ず受けるようにしましょう。
妊娠糖尿病になったら
 妊娠糖尿病になっても、血糖を適切にコントロールすることで、安心して出産を迎えることができます。
尿糖の検査 尿中の糖の量を検査します。
当然ながら、食後や甘いものをたくさん食べた場合などに尿糖が検出されます。通常再検査をして2回以上の検出があった場合さらに詳しい検査が行われます。
血液の検査 血液中の糖の検査を行います。
異常がある場合はさらに詳しい検査をします。
食事療法 妊娠糖尿病にかかったら、先ずは食事療法を中心とした治療になります。カロリー制限を行いながらバランスの取れた食事をすることが大切です。
適度な運動 普段の生活の中で、家事などで身体を動かすのはもちろん、散歩など適度な運動も重要な治療です。
医師の許可があればマタニティスイミングやマタニティビクスも有効です。
インスリンの使用 食事療法や運動をしても血糖のコントロールができない場合は。インスリンを使用して血糖コントロールの治療します。
インスリンは胎盤を通過しないので、赤ちゃんへの影響はありません。
重症の場合は入院 お家での管理が難しくなった場合は、入院して治療が必要となる場合もあります。
もともと糖尿病のある人の妊娠
 血糖を適切にコントロールすることで妊娠、出産は可能です。
ただし、血糖がコントロールされないままで妊娠してしまうと、母体や胎児、出産後に影響したり様々な合併症を引き起こす恐れがあります。
 妊娠前から「妊娠しても良い状態か、合併症など」を主治医のもとでチェックし、血糖を正常な状態にコントロールした上で受胎に臨むことを「計画妊娠」といいます。
特に妊娠初期の段階で血糖コントロールがされていないと、赤ちゃんの奇形や死亡率が上昇するというデータがあります。
 計画妊娠で安全で安心な妊娠・出産を迎えましょう。


 妊娠によって貧血のにる人が多くいます。妊娠によって血液の量は増える(1000ml程度増加)のに、血液中の赤血球がそれほど増えないため、「薄い血液」となるためです。
また、赤ちゃんは自分の血液を作るために、胎盤を通してママの赤血球を作る成分である【鉄分】を吸収(1日3mgの鉄を吸収)します。胎盤や臍帯に流れる血液も必要になります。
これらを理由に妊娠中は不足した鉄分を補いきれないと貧血になりやすい状態となります。
*WHOの妊婦の貧血の基準では、ヘモグロビン(血色素)が11g/dl未満を貧血としています。
貧血の症状 
 貧血は、自覚症状があまりないので、定期健診を必ず受けて早期発見できるようにしましょう。
貧血が強くなった場合の症状

ママの身体症状 めまい・動悸・息切れ・頭痛疲れやすい・フラフラする
赤ちゃんへの影響 お腹の中での発育が悪くなる
未熟児・虚弱児・心身障害児
分娩時の影響 微弱陣痛(※1)
弛緩出血
(※2)
産褥熱
(※3)にかかりやすくなる
※1 微弱陣痛  出産の時に胎児を外に押し出すために筋肉が強く収縮することを陣痛といいます。この陣痛の力が弱ってしまうことを微弱陣痛といいます。微弱陣痛になると、で出産時間が長引き、赤ちゃんに影響がでます。
※2 弛緩出血 出産後は子宮が強力に収縮して出血が止まる仕組みになっています。子宮収縮が妨げられ出血が止まらなくなる状態を弛緩出血といいます。出産後出血が止まらず量が増える場合には、輸血などが必要となります。どうしても出血が止まらない場合には、子宮を摘出しなければならない場合もあります。
※3 産褥熱 子宮や膣にできた傷が感染を起こし、38度以上の高熱が続くことを産褥熱といいます。
貧血の予防
 予防にはバランスのとれた食生活と、鉄分の多い食品(赤身の肉、魚介類、卵、大豆製品、海藻類、緑黄色野菜、レバー)を食べるということです。
 分娩時の出血に対する備えや授乳中に必要な鉄分の蓄えのためにも、貧血にならないように注意しましょう。
 鉄分は体内へ吸収されにくいので、体内への吸収を促進する栄養素(ビタミンB・ビタミンC・葉酸)と組み合わせて摂取する必要があります。
 鉄のフライパンやなべを使用すると鉄の少しづつ溶け出して自然に鉄分が摂れるといわれていますので、ご家庭にある方は是非使用してみてください。
鉄分を多く含む食品 レバー、ほうれん草、肉類、卵黄、牡蠣、豆類、ひじき、焼き海苔
ビタミンB2を多く含む食品 内臓類、ドジョウ、シジミ、ウニ、納豆、サバ、卵、イワシ、牛乳、チーズ、干し椎茸 など
ビタミンB6を多く含む食品 肉類、魚介類、大豆、クルミ、バナナ、玄米、マグロ、落花生、卵、ジャガイモ など
ビタミンB12を多く含む食品 魚介類、海草類、肉類、卵、チーズ、牛乳、ソーセージ、のり など
ビタミンCを多く含む食品 パセリ、ほうれん草、小松菜、菜の花、ブロッコリー、イチゴ、とうがらし、ピーマン、柿、大根、カリフラワー、サヤエンドウ、キャベツ、かんきつ類 など
葉酸を多く含む食品 肉類、内臓類、ホウレンソウ、大豆、海老、インゲン豆、落花生、アズキ、アスパラガス、南瓜、カニ、パン、ニンジン、バナナ、牛乳、ピーマン、キノコ類 など