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     鳥の聞きなし2004年2月29日〜4月3日 柴田昭彦 新規作成

                                   
2022年2月5日 『鳥の聞きなし』の自費出版本の頒布のお知らせ
                                   日本最大の「鳥の聞きなし一覧表」は削除し、77種掲載の一覧表を新規掲載
                                  鳥の聞きなしの内容による分類の試案も初公開

                                 


(2022年2月5日)『鳥の聞きなし』の自費出版本の頒布のお知らせ

  このたび、本サイトの従来の内容をすべて収録し、さらに、サイト未収録の内容も含んだ『鳥の聞きなし』の本を自費出版しました。

 

内容は、以下のとおりです。5〜9は、従来、このサイトに未掲載で、初公開となります(6と9は、このサイトに新たに掲載)

・口絵写真(2ページ)(鳥の写真8枚)
1 はじめに(2ページ)
2 鳥の聞きなしについて(4ページ)(筆者の聞きなしの収集の経緯とその意義)
3 鳥の聞きなしの出典(8ページ) (引用文献72件、参照インターネットサイト21件、参照した野鳥図鑑6冊)
4 
鳥の聞きなし一覧表(24ページ) (従来、本サイトに掲載していたこの一覧表は2014年で更新停止していたが、このたび、追加文献によって更新した最新版を収録したもの。従来、未掲載だった高校生の聞きなしについても新たに追補している。本邦初公開の日本最大の鳥の聞きなしのコレクションということになる。同種のものは、従来、発行されていない。文献70参照
5 4の一覧表を
聞きなしの五十音順に並べ替えた索引(21ページ)
 4の一覧表から、筆者の好みで選んだ聞きなしの代表的なもの77種(1ページ)・・・このたび、この77種を新たに,本サイトに掲載することにした。
7 4の一覧表に掲げた
鳥の鳴き声を音声表記で示した一覧表(17ページ)
8 7の一覧表を
音声表記の五十音順に並べ替えた索引(19ページ)
 鳥の聞きなしを、その内容によって、20種類に分類した試案(3ページ)・・・今まで誰も行ってきていない取り組み(文献70参照)・・・本サイトに新たに掲載

B5サイズ、口絵カラー写真2ページ、本文100ページ、計107ページの冊子

『鳥の聞きなし』の購入方法

筆者(柴田 昭彦)のメールアドレス ey9mh2@bma.biglobe.ne.jp あてに以下の書式で、内容を記入して、申し込んでください。
1冊1000円(送料代別途必要)です。
折り返し、メールにて、申し込み方法(申し込み先、送金方法、送料など)をお知らせします。

少部数作成のため、一人1冊限定とさせていただきます。限定部数に達したときは、頒布打ち切りとなります。

2023年5月現在、残部7冊です。お求めの方は、お早めに申し込み下さい。(増刷は行いません。)


<メールの書式>

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(聞きなしとは?)

 野鳥のさえずりを、人の言葉に置き換えて、覚えやすくしたものが「聞きなし」である。意味のある短い文を当てて、まねる
ようにしたもので、鳥声の翻訳という人もある。
 
「聞做(ききなし)」という呼称を用いたのは、鳥類研究家の川口孫治郎氏(1873〜1937)が最初である。
川口氏は、諸雑誌(『郷土研究』『鳥』『動物学雑誌』など)に発表した研究論文や、『杜鵑研究』(1916年)、
『飛騨の鳥』(1921年)、 『続 飛騨の鳥』(1922年)といった著書の中で、昔話や民間に伝わる聞做を紹介し、
それが鳥仲間に広がっていって、「聞きなし」として親しまれるようになったものである。 
(※『杜鵑研究』の79頁に「聞做」という語彙が使われていることについては、松ア悦郎氏より教示いただいた。
 
「聞做」という語彙の初出文献は、筆者の知る限り、『杜鵑研究』(1916年)である。
 (川口氏自身の『杜鵑研究』より前に公表した報告の中に、「聞做」という語彙を用いた文献は一つも見当たらない。)
なお、日本野鳥の会の創設者(1934年)である中西悟堂氏(1895〜1984)は、『定本野鳥記2』(p.29)には「聞傚し(ききなし)」
と記していたが、『定本野鳥記11』(p.165)では「聞做し(ききなし)」に変更している(『野鳥と共に』春秋社、2004年、p.183)



(聞きなしの文献) 

1.川村多実二(著)『鳥の歌の科学』(臼井書房、1947年)(中央公論社、自然選書、1974年)
                                      
(『全集日本野鳥記10』講談社、1986年、に再録)
2.松田道生(著)『野鳥観察図鑑』(地球丸、アウトドアガイドシリーズ、1999年4月)
3.安西英明(著)・中野泰敬(写真)『旅のついでのバードウォッチング』(オークラ出版発行、日本野鳥の会発売、2005年4月)
4.杉坂学(監修)『野鳥観察図鑑』(成美堂出版、鳴き声が聞ける!CD付、1999年7月)
5.小宮輝之(監修・執筆)『日本の野鳥』(学習研究社、フィールドベスト図鑑8、2000年5月)
6.松田道生(監修)『バードウォッチング入門』(山と渓谷社、1996年5月)
7.蒲谷鶴彦・松田道生(著)『CD Books 日本野鳥大鑑 増補版 鳴き声420 』(小学館、2001年)
8.◆寺島良安(著)『和漢三才図会』(正徳二年=1712年、自序)(『和漢三才図会6』東洋文庫466、平凡社、1987年)
9.川口孫治郎(著)『飛騨の鳥』(郷土研究社、1921年)  (『全集日本動物誌21』講談社、1984年、に再録)
10.川口孫治郎(著)『続飛騨の鳥』(郷土研究社、1922年) (『全集日本野鳥記5』講談社、1985年、に再録)
11.浜口哲一(執筆)『バードウォッチング入門』(文一総合出版、1997年)
12.内田清之助・金井紫雲(著)『鳥』(三省堂、1929年)
13.柳田国男(著)『野鳥雑記』(甲鳥書林、1940年)(甲鳥書林、1956年)(角川文庫、1962年)
14.★越谷吾山(著)、東條操(校訂)『物類称呼』(1775年=安永4年)(岩波文庫、1941年)(復刊、1977年)
15.山口仲美(著)『ちんちん千鳥のなく声は』(大修館書店、1989年)
16.山口仲美(編)『暮らしのことば 擬音・擬態語辞典』(講談社、2003年)
17.中西悟堂(著)『定本野鳥記』(春秋社)(8巻+別巻、1962〜66年)(新版、16巻、1978〜85年)(第1・2・3・5・7・10・11巻)
  中西悟堂(著)『野鳥と共に 野鳥記コレクションT』(春秋社、2004年)
18.京極徹(企画構成/文)・中野泰敬(写真)『はじめに覚える33種+50』(河出書房新社、1998年)(鳥の声CD付き)
19.蒲谷鶴彦(監修)・松田道生(著)『野鳥を録る−野鳥録音の方法と楽しみ方−』(東洋館出版社、2004年)
20.叶内拓哉(写真・文)『家のまわりで見られる鳥50種』(岩崎書店、2002年)(バードコール付き)
21.(財)日本野鳥の会(編)『今日からはじめるバードウォッチング』(財団法人日本野鳥の会、1993年)
22.(財)日本野鳥の会レンジャー(著)『野鳥と自然の解説実践ハンドブック』(財団法人日本野鳥の会、1992年)
23.高野伸二(著)『野鳥を友に』(朝日新聞社、1985年)(朝日文庫、1989年)
24.(財)日本野鳥の会愛媛県支部(編)『愛媛の野鳥 観察ハンドブック はばたき』(愛媛新聞社、改訂版、1995年)
25.柴田敏隆(監修)、鈴木茂也(写真・文)『バードウォッチング 身近な野鳥図鑑』(講談社、カルチャーブックス,1994年)

26.山岸哲(著)・藪内正幸(作画)『聴いて楽しむ野鳥100声 野鳥おもしろ雑学事典』(インプレス、2004年)
27.上田恵介(監修)・柚木修(指導・執筆)『小学館の図鑑NEO 鳥』(小学館、2002年)
28.叶内拓哉(文・写真)・本若博次(イラスト)『日本の野鳥100 A野山の鳥』(新潮文庫、1986年)
29.上田恵介(解説)・和田剛一(写真)『ポケットガイド3 野鳥282』(小学館、1997年)
30.真木広造(監修・写真)『野鳥』(永岡書店、2005年)

31.川口孫治郎 『杜鵑研究』 (東京宝文館、1916年)
32.花部英雄(著)『昔話と呪歌』(三弥井書店、2005年)
33.渡辺瑠海(著)『田舎暮らしはつらかった』(ロコモーションパブリッシング、2005年)

34.吹田順助(著)『旅人の夜の歌−自伝−』(講談社、1959年)
35.宮地武彦(編著)『多久・飯盛翁が語る 佐賀の民話』(佐賀新聞社、1999年)36.柴田敏隆(著)『鳥のおもしろ行動学』(ナツメ社、2006年)
37.笠井湧二(著)『仏法僧の不思議』(幻冬社ルネッサンス、2006年、CD付)
38.吉井正(監修)・三省堂編修所(編)『コンサイス鳥名事典』(三省堂、1989年)
39.吉井正(監修)・三省堂編修所(編)『三省堂 世界鳥名事典』(三省堂、2005年)
40.田守育啓(著)『オノマトペ 擬音・擬態語をたのしむ』(岩波書店、2002年)

41.西日本新聞文化部(編)『昭和の尋ね人−アウトサイダー列伝』(不知火書房、1999年)(安部幸六)
42.田川郷土研究会(編)『増補英彦山』(葦書房、復刻増補版、1978年)(初版:『英彦山』1958年発行)(p.681〜701)
43.菅野徹(著)『町なかの花ごよみ鳥ごよみ』(草思社、2002年)
44.安部幸六(著)『英彦山の鳥』(英彦山神社々務所、1937年)
45.中坪禮治(文)・黒岩武一(写真)『鳥たち』(丸善フォトブック)(丸善株式会社、1993年)
46.納富信子(著)『さが昔話―佐賀・南里家に伝わる話―』(佐賀新聞社、2002年)
47.今村久兵衛(著)『うぐひす』(小鳥の飼ひ方叢書 第五篇)(文化生活研究会、1926年)

48.小野正弘(編)『擬音語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』(小学館、2007年)・・・「鳥の鳴き声オノマトペ」を収録。
49.柴田武(著)『柴田武にほんごエッセイ 2地域のことば』(大修館書店、1987年)・・・「ふくろうの鳴き声」を収録
50.宮本常一(著)『なつかしい話 歴史と風土の民俗学』(河出書房新社、2007年)・・・山鳩の鳴き声(上 笙一郎)(p.230)
51.城野茂門(著)『暮らしの鳥ごよみ』(海鳥社、1992年)・・・鳥の異名・聞きなし抄録(巻末8頁)
52.安西英明(著)『基本がわかる 野鳥 eco 図鑑』(東洋館出版社、2008年)・・・「形容詞や聞きなしで覚える」(p.58,59)
53. 日本口承文芸学会(編)『シリーズことばの世界 第4巻 うたう』
 (三弥井書店、2007年)・・・ききなし(繁原 央)(p.222〜3)
54. 吉田巧(監修)・岩下緑(音声監修)『鳴き声と羽根でわかる 野鳥図鑑』
 (池田書店、2010年)
55. 藤沢衛彦(著)『図説 日本民俗学全集 第2巻 ことば・ことわざ・民謡・芸能編』
 (高橋書店、1971年)(日本民話にみることばの起原)(p.14〜26)
56. 新井二郎(著)『高尾自然観察手帳』(JTBパブリッシング、2009年)
 (p.125)(野鳥のさえずり)
57. 長澤武(著)『動物民俗T』(ものと人間の文化史、法政大学出版局、2005年)
 (p.15〜20)(小鳥と聞きなし)
58. 長澤武(著)『動物民俗U』(ものと人間の文化史、法政大学出版局、2005年)
 (p.179〜203)(昔話・民話の中の動物たち、二 鳥類)
59. 川田潤(著)『トリキチ誕生』(私の動物誌、理論社、1959年)
 (p.148〜151)(聞きなし)
60. BIRDER 2017年4月号(新しい鳥の聞きなし、ホオジロのさえずり)
61. 籾山徳太郎「ホオジロの囀聲の聞做し方」(VOGEL,NO.12,March 1955,
 日本野鳥の会郡山支部報)(日本野鳥の会郡山支部)(p.61〜66)(1953.8.27稿)
 (ホオジロの聞きなしを83種類、タメトモホオジロの聞きなしを1種類、掲載している)
62.石塚徹(著)『歌う鳥のキモチ』(山と渓谷社、2017年)(p.258〜270、「カナ表記は聞き分けに有効?」「聞きなしと方言」
    ・・・著者自身が工夫した、ヒガラ、センダイムシクイ、ホオジロの聞きなしが載せてあって、興味深い)
63.高木俊雄(著)『日本伝説集』(郷土研究社、1913年)(筑摩書房、2010年、ちくま学芸文庫)(p.234〜237、不如帰)
64.稲田浩二・稲田和子(編)『日本昔話ハンドブック 新版』(三省堂、2010年)(p.181〜182、ほととぎすと兄弟)
65.花部英雄・小堀光夫(編)『47都道府県・民話百科』(丸善出版、2019年)(p.58時鳥の姉妹)(p.117時鳥と兄弟)
66.鈴木棠三(著)『日本俗信辞典 動物編』(株式会社KADOKAWA、2020年)(底本:『日本俗信辞典』角川書店、1982年)
    ・・・テーマは「俗信」だが、鳥の聞きなしも多数、収録され、ここに漏れているものも多い。
67.関敬吾(著)『日本昔話大成 第1巻 動物昔話』(角川書店、1979年)
    ・・・昔話の集大成であり、ここに収録しきれていない聞きなしが、多数、掲載されている。
68.藪柑子実『聞做草子』(朝陽会、2008年)・・・「第二話 ほととぎす」で、聞きなしを取り上げていて、興味深い。
    (p.55 と p.218 に 本サイトへの言及がある。)
69.鈴木素直『野鳥とみやざき』(鈴木素直・発行、1978年)・・・「ききなし」の紹介がある。
70.鈴木素直『鳥は人の心で鳴くか―みやざき・野鳥民俗誌』(本多企画、2005年)・・・宮崎県下で採集した多数の「聞きなし」
    を紹介していて、貴重である。
「聞きなし」の全国的な検討も集大成も行われていないことを嘆いている(p.158,p.186)。
                      
・・・今回自費出版の柴田の「鳥の聞きなし」の本が、この嘆きを解消してくれるものと考える。
71.武藤鐵城『自然と伝承 鳥の巻』(日新書院、1943年)・・・秋田県の民俗学者の著作。他の書物に見られない「聞きなし」を
    紹介していて、貴重である。本書は
『武藤鐵城著作集1 鳥・木の民俗』(秋田文化出版社、1984年)の中に、「鳥の民俗」

    
として再録されていて、表記も現代かなづかいに改められている。引用の際には、こちらのほうが便利である。


(聞きなしのサイト・・・インターネット・ウェブサイト)細かいサイト名は省略(グーグル検索などで探せる)
           ・・・2004〜2008年ごろに検索して見つけたものが多く、2022年現在では、見当たらないことが多くなっているようだ。

A.鳥の聞きなし (infoseek)
B.鳥の聞きなし (asahi)
C.身近な野鳥の「聞きなし」一覧 
D.森林レクリエーション バードウォッチング 
E.「聞きなし」一覧表
F.南阿蘇の自然散策(No.33) 
G.高校生が作った鳥の声《聞きなし》集(池田博明)
H.銀座の学校(資料 聞きなしに挑戦しよう!) 
I. 第67回「鳥の声−パート2」(三好宏明) 
J.ホトトギス あなたの地方では何て鳴く? 
K.鳥の声の話 
L.上達への道−BIRDER.jp 鳥が、もっと好きになる
M.生き物の鳴き声・聞きなし[にほんごであそぼ受信録]
N.So−net blog:戦国はにわイズム

O.オラ ケタル:鳥の聞きなし
P.ことりのさえずり:ききなし

  
ききなしのコーナーで、「鳥たちのさえずり」を聞いて、ききなしのフレーズと比較できるユニークなサイト。鳥暦付き。
Q.カワラヒワ?ホオジロ?庭に野鳥がやってきたよ♪

  
南アルプス邑野鳥公園のプリント『聞きなしのいろいろ』によったものらしい。
  ホトトギスとホオジロの聞きなしに、他では見つからないものが載っている。「ナンショウクイ」は記載ミス。
R.「焼酎いまだ求めず」北海道の野鳥
  センダイムシクイの「焼酎一杯グビー」は書き間違いかもしれないが、「グイー」と「チヨチヨビー」の合成になっている。
S.金山の野鳥・・・116種の中に、聞きなしにふれたものがある。
T.第8回「さえずりと聞きなし」・・・連載「野鳥に親しむ」の1編。
U.春だ!鳥の声に耳をすまそう!(富山県のHPに収録された『地域環境教育プログラム集』の一つ)


(野鳥図鑑)

(1)真木広造(写真)・大西敏一(解説)『決定版 日本の野鳥590』(平凡社、2000年)
 ※2000年の日本鳥類目録に収録された542種と未収録の89種を合わせた日本産鳥類631種のうち、594種を収録。
     聞きなしについては、11種の鳥について収録している。
(2)ピッキオ(編著)『鳥のおもしろ私生活』(主婦と生活社、森の野鳥観察図鑑、1997年)聞きなしは5種。
(3)高野伸二(編著)『日本の野鳥』(山と渓谷社、山渓カラー名鑑、1985年)
(4)竹下信雄(著)『日本の野鳥』(小学館、フィールドガイド1、1989年)
(5)叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄『日本の野鳥』(山と渓谷社、山渓ハンディ図鑑7、1998年)
(6)上田秀雄(著・録音)・叶内拓哉(写真)
 
 『DVDブック 知っておきたい鳥の声120』(山と渓谷社、2012年



(2022年2月5日、お知らせ)

 これまで、「鳥の聞きなし」の日本最大の一覧表を提供してきましたが、一覧表を収録した自費出版本の発行にあたり、将来には消滅するサイトであるので、この機会に、従来の一覧表は削除させていただきます。そのかわりに、転載可能な、筆者の好みで選んだ「鳥の聞きなしの代表的なもの77種」(自費出版本に収録)を掲載します。ただし、以前に見られたような「悪ふざけのような形での引用・利用」は遠慮いただきたいと思います。
 
今まで、長きにわたり、日本最大数収録の「鳥の聞きなしの一覧表」をご利用いただき、ありがとうございました。


今回、初掲載の、以下の「鳥の聞きなしの代表的なもの77種」の一覧表が、「もっと短く整理された聞きなし一覧表を!」という声にお応えできるものと思います。

 <鳥の聞きなし77種>   (本表は転載可)  (ただし、悪ふざけのような形での引用は、お断りします)   
              (2022年2月5日、初掲載)       (柴田昭彦作成) 

鳥名
鳥の聞きなしの代表的なもの               (筆者=柴田の好みで選んだもの)
アオジ 「しょうひぜいいちえんつりつりつり」  「消費税一円・ツリ・ツリ・ツリ」
アオバズク 「ほっほっぼうずっこい」          「ホッホッ坊主っ来い」
アカハラ 「けいりんけいりんでパー」        「競輪競輪でパー」
アカハラ 「てやんでえ、ちくしょう、バカヤロー」
イカル 「あけべこきい、みのかさきい」     「赤べこ着い、蓑笠着い」
イカル 「いいこときいたあ」            「いいこと聞いたア」  
イカル 「おきくにじゅうし」             「お菊二十四」 
イカル 「これたべてもいい?」          「これ食べてもいい?」 
イカル 「ヒジリコキー」               「聖人子キー」
ウグイス 「つきひほし」            「月日星」 
ウグイス 「ほう、ほけきょう」         「法、法華経」
ウズラ 「あじゃぱー」            「アジャパー」
オオセッカ 「びじょびじょびじょ」       「美女美女美女」  
オオヨシキリ 「ぎょうぎょうし」          「行々子」
カワラヒワ 「きりきりころころ」        「錐錐ころころ」
キジバト(ヤマバト) 「トシヨリコイ」           「年寄り来い」
キビタキ 「ソフトクリーム」 
キビタキ 「ちょっとこい」          「ちょっと来い」
クロツグミ 「おい、おい、てうて、ごりょう、ごりょう、てうて」  「おい、おい、手打て、五両、五両、手打て」 
コジュケイ 「かあちゃんかわいい」     「かあちゃん可愛い」
コジュケイ 「ちょっとこい」          「ちょっと来い」
コジュケイ 「なんかくれっ、なんかくれっ」 「なんか呉れっ、なんか呉れっ」
コノハズク 「ブッポウソウ」         「仏法僧」   
サシバ 「キッス、ミー」
サンコウチョウ 「きちじほいほい」      「吉次ホイホイ」
サンコウチョウ 「ひつきほし」         「日月星」   
ジュウイチ 「ジヒシン」           「慈悲心」  
ジュウイチ 「じゅういち」          「十一」
センダイムシクイ 「しょうちゅういっぱいぐいーっ」    「焼酎一杯グイーッ」
センダイムシクイ 「チカレタビー」              「疲(ちか)れたビー」
センダイムシクイ 「チヨノフジ」                「千代の富士」
センダイムシクイ 「ツルチヨギミ」              「鶴千代君」 
ツバメ 「つちくうてむしくうてしぶーい」                  「土食うて虫食うて渋ーい」
ツバメ 「にくやいて!にくやいて!にくやいて!ジュ〜〜〜ッ」   「肉焼いて!肉焼いて!肉焼いて!ジュ〜〜〜ッ」
ツバメ 「むしくってつちくってくちしぶーい」                「虫食って土食って口しぶーい」
ノジコ 「きんからかみ、きんびょうぶ」        「金からかみ(唐紙)、金屏風」
ハシブトガラス 「かわいいかわいい」         「可愛い可愛い」
ヒバリ     「いっしょうかしてにととる、りいとるりいとる」           「一升貸して二斗取る、利(りい)取る利(りい)取る」
ヒバリ     「おてんとさまにかねかした、ひいちぶ、ひいちぶ、ひいちぶ」 「お天道様に金貸した、日一分、日一分、日一分」
ヒバリ     「つきにしゅ、つきにしゅ、つきにしゅ、りとる、りとる、りとる」  「月二朱、月二朱、月二朱、利取る、利取る、利取る」
ヒバリ     「テンヘノボロ ノボロ テン トオイワイ」               「天へ上ろ上ろ天遠いわい」
ヒバリ     「ひいちぶ、ひいちぶ、つきにしゅ、つきにしゅ」          「日一分、日一分、月二朱、月二朱」
フクロウ 「こーぞー はなくそくうたか」    「小僧鼻糞喰ウタカ」
フクロウ 「ごろすけ、ほうこう」         「五郎助、奉公」
フクロウ 「ノリスリオケ」             「糊擂り置け」 
フクロウ 「のりつけほうせ」           「糊付け干うせ」
ホオアカ 「へっぴり、ジッチャオチャアガレ」       「へっぴり、老爺お茶あがれ」
ホオジロ     「あっとおどろくためごろう〜」         「あっと驚く為五郎〜」
ホオジロ     「いっぴつけいじょうつかまつりそろ」      「一筆啓上、仕り候」
ホオジロ     「いつもつけんがきょうつけた」         「何時(いつ)もつけんが今日つけた」
ホオジロ     「おらがととは さんぱ にじゅうし」      「おらがととは三八二十四」 
ホオジロ     「きょねんのさんがつつけました」       「去年の三月つけました」
ホオジロ     「げんぺいつつじ、しろつつじ」         「源平ツツジ、白ツツジ」
ホオジロ     「さっぽろラーメンみそラーメン」        「札幌ラーメン味噌ラーメン」
ホオジロ     「シャッキン、ゼニヨコセ」             「借金、銭よこせ」
ホオジロ     「チンチロいつつぶにしゅまけた ごほんもらってもとにしろ」  「チンチロ五粒二朱まけた 五本貰って元にしろ」
ホオジロ     「ちんちろべんけいさらもってこい」                 「ちんちろ弁慶皿持って来い」
ホオジロ     「つんといつつぶにしゅまけた・ごもんもらってもとにした」   「つんと五粒二朱負けた・五文もらって元にした」
ホオジロ     「でっちびんつけいつつけた いつもつけんがきょうつけた」  「丁稚賓付何時つけた 何時もつけんが今日つけた」
ホオジロ     「とんといつつぶにしゅまけた」         「とんと五粒二朱まけた」
ホオジロ     「バカヤロおまえなにいってんだー」      「バカヤロお前なに言ってんだー」
ホオジロ     「べんけい!さらもてこい しるすわっしゅ」  「弁慶!皿持て来い 汁すわっしゅ」
ホトトギス 「アチャトデタ、コチャトデタ、ボットサケタ」  
ホトトギス 「オトットこいし、オトットこいし」   「弟こいし、弟こいし」
ホトトギス 「テッペンカケタカ」          「天辺かけたか」
ホトトギス 「テッペンハゲタカ」          「てっぺん禿げたか」
ホトトギス 「トウキョウトッキョキョカキョク」   「東京特許許可局」
ホトトギス 「トキスギニケリ」           「時過ぎにけり」 
ホトトギス 「トッキョキョカキョク」         「特許許可局」   
ホトトギス 「ホッチョかけた、オトトコイシ」   「包丁かけた、弟恋し」   
ホトトギス 「ホンゾンカケタカ」          「本尊掛けたか」
ミソサザイ 「いちぴい、にいとく、さんぴい、しいなん、ごちいち、ぶんぷく、ちくりんちゃん」
                      「一ぴい、二とく、三ぴい、四なん、五ちいち、ぶんぷく、ちくりんちゃん」
メジロ 「ちょうべえ、ちゅうべえ、ちょうちゅうべえ」    「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」
メジロ 「チヨダノシロハチヨヤチヨ」     「千代田の城は千代八千代」  
メジロ 「チルチルミチルあおいとり」    「チルチルミチル青い鳥」
メボソムシクイ 「ぜにとり」               「銭取り」
ヤイロチョウ 「シロペン、クロペン」         「白ペン、黒ペン」

 

<鳥の聞きなしの内容による分類の試み>

 鳥の聞きなしは、鳥の鳴き声を覚えやすくするために工夫されてきたものであり、その内容は、バラエティに富んでいる。

 柳田国男は、民俗学的アプローチから、鳥名の方言、昔話、民話などによって、「人間の心持だけを鳴いていた」(『野鳥雑記』1940年)という表現を用いながら、聞きなしの実態を赤裸々に描いた。

 山口仲美は、『ちんちん千鳥の鳴く声は』(1989年)において、古典文学から童謡まで、歴史上の鳥の鳴き声を拾い、日本人がそれらを「どう聞き」「どう書きとめたか」を丁寧に見ている。ここから、愛情にあふれた日本人と鳥との関係が見えてくる。

 しかしながら、現在、「鳥の聞きなし」を、内容によって分類しようというアプローチは、ほとんど行われていないように思われる。

 筆者は、自分自身で作成した「鳥の聞きなし」の一覧表によって、次のような分類を考えてみたので紹介しよう。

(1)  
鳥の鳴き声が、その鳥の名前そのものや、地方での方言名、俗称に
なったもの

   カッコウ(カッコウ)、コマドリ(ヒヒン・カラカラ)、オオヨシキリ(行々子)

(2)鳥の鳴き声や生態から、各地で作られた民話・昔話の中の言葉

   ホトトギス(本堂建てたか)、ヤイロチョウ(白ペン、黒ペン)

(3)昔から使われた言葉や、その土地の方言によって聞き取られた言葉

   モズ(コトゴトシク)、サンコウチョウ(竹富島、西表島の言葉による聞きなし)

(4)鳥から、子供や他の人に対して呼びかけや命令をするような言葉

       ウグイス(もう起きろ)、コジュケイ(ちょっと来い)

(5)鳥の気持ちになって、言い表した言葉

   ツバメ(土くって虫くって口しぶい)、トラツグミ(さびしい)

(6)人から、鳥に対して、呼びかける言葉

   フクロウ(小女郎、戻って、寝んころせ)

(7)三光(日、月、星)を含む言葉

   イカル(月日星)、エゾムシクイ(日月)、サンコウチョウ(月日星、ホイホイホイ)

(8)天気に関わる言葉

   アカショウビン(降れ降れ降れ)、サシバ(天気エー)、フクロウ(糊つけ干せ)

(9)不吉な言葉(子供の、鳥や巣へのいたずらを戒めるもの、雰囲気を伝えるもの)

   シジュウカラ(親死ね、子死ね)、ホトトギス(死出の田長)

(10)教訓や戒めを含んだ言葉

   キジバト(親に孝行)、フクロウ(夜明けなば巣つくろう)

(11)長く繁栄することを願う言葉

   メジロ(千代田の城は千代八千代)、ホトトギス(ときはかきは=常磐堅磐)〔永久不変を祝う言葉〕

(12)宗教的な言葉

   ウグイス(法、法華経)、ジュウイチ(慈悲心)

(13)博打に関する言葉

   クロツグミ(おいおい手打て五両五両)、ホオジロ(ちんちろりん)

(14)人名や若君を呼んだ言葉

   サンコウチョウ(吉次ホイホイ)、センダイムシクイ(鶴千代君)

(15)地名を入れた言葉

   ヒバリ(庄、新原、今在家、鹿部)、ホオジロ(京浜急行三崎口) 

(16)戯れ(年齢、九九、遊び言葉、戯言)の言葉

   イカル(お菊、二十四)、ホトトギス(テッペンハゲタカ)

(17)鳥以外の生きものと同一の鳴き声を持つもの

   キビタキ(ツクツクホーシ)

(18)鳥暦として、親しまれている言葉

   コガラ(にいにい)(2月2日)、ヤマガラ(にいにいにい)(2月22日)

(19)何気ない、日常会話の言葉

   イカル(いいこときいたあ)、ヒヨドリ(いーよ、いーよ)

(20)聞きなしの作られた当時の世相を映し出す言葉

   センダイムシクイ(千代の富士)、ホオジロ(あっと驚く為五郎〜) 

 私が、もっとも気持ちを引かれたのは、何といっても、最後の「世相を映し出す言葉」である。センダイムシクイの「千代の富士」は、力士の全盛時代に生まれた聞きなしであろうし、ホオジロの「あっと驚く為五郎〜」は、この言葉が流行した時代の産物であることは言うまでもあるまい。

 千代の富士の活躍年代は1980〜1991年で、1981年に横綱となって、ウルフフィーバーが起きている。ハナ肇の「あっと驚く為五郎〜」の大流行した年代は1969〜1971年であった。それぞれの聞きなしが生まれた年代は、人々に大きなインパクトを与えた、1981年、1969年ということになるのではないだろうか。

 「聞きなし」は、「世相を映し出す鏡である」ということも、多少、言えるのではないだろうかと、筆者は、ひそかに思うのである。
 
 鈴木素直は、『鳥は人の心で鳴くか―みやざき・野鳥民俗誌』(本多企画、2005年)で、宮崎県下の「聞きなし」を多数紹介しつつ、
「聞きなし」の全国的な検討も集大成も行われていないことを嘆いている(158頁,186頁)。

 筆者の『鳥の聞きなし』の本が、多少は、この鈴木氏の切実な声に応えるものとなっているのではないかと思う。

 今後、このテーマ「鳥の聞きなしに関する全国的な検討と集大成」での「さらなる探求」が進むことを願っている。