序.はじめに

日本競技かるた史(2)発表によせて

 この「日本競技かるた史(2)」は私が「実践学園紀要 第19号」(2001年3月実践学園中学・高等学校)に発表した論文「日本競技かるた史(1)」の改訂版である。
 2001年3月に発表された拙稿は、日本最初の競技かるた通史であったこともあり、一部ではずいぶんと評判になったようである。論文を見て頂いた何人ものかるた選手たちから貴重な助言・批判を賜ることとなった。貴重な資料をお借りすることもでき、ここに改訂版を発表できることとなった次第である。
 

日本競技かるた史(1)序文より
 

 「百人一首」遊びは、日本人にとって馴染みの深いものといえよう。お正月に一家でかるたを楽しんだという記憶は、誰にでもあるのではないだろうか。その一方で、ルールに則った「競技かるた」が存在している。年1回滋賀県の近江神宮で行なわれる名人位・クイーン位の争奪戦は、NHKの衛星放送によって中継され、高い注目を集めている。この競技かるたというものの歴史は意外に浅く、黒岩涙香によってそのルールが整備されてから約100年にしかすぎないのである。以下本論においては明治時代に始められ、現在にまでいたる競技かるたの歴史の概要を述べていくことにしたい。


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