大津
山吹地蔵
所在地:滋賀県大津市春日町1(琵琶湖線大津駅徒歩1分)



山吹地蔵
 


 全日本かるた協会の総会に出席するために滋賀県の大津にやってきた。日帰りの旅行で観光する時間は無いのだが、せっかくだから何か一つぐらい観ておきたい。
 JR大津駅を下車してふらふらとその辺を散策していると、駅のすぐそばに小さな祠を見つけた。それが山吹地蔵。
 
 この山吹地蔵に祀られた山吹御前とは、木曽義仲(1154〜84)の妻である。義仲が粟津の戦で鎌倉方と戦って戦死した際、山吹御前は夫に会うために粟津へ向かうが、この地にあった秋岸寺の境内までたどり着いたところでで敵の刃に倒れ、 夫に会うことはかなわなかった。
 後に、山吹御前を弔うために地蔵尊が祀られる。1923(大正13)年の鉄道開通と同時に寺は移転。残された地蔵尊は永らく鉄道宿舎内にあったが、1975(昭和50)年の駅舎改築の際に祠が建てられた。
    



石の地蔵
 


 現在この祠は目立たないようにひっそりと駅の脇に建っている。中を覗いたところ、12体の石の地蔵が安置されていた。
 



句碑
 


 祠のすぐそばに建っている碑には、

  木曽どのをしたひ山吹ちりにけり

という句が刻まれている。
 華々しい「平家物語」の武勇伝のかげには、こうした女性たちの悲劇があったのだということを、改めて認識させられる…。
 



大津駅北緯35度モニュメント
 


 帰り際に、大津駅の下りホームから向かいの上りホームを眺めると、変わったオブジェがあった。
 「北緯35度モニュメント」とある。なるほど、この地をちょうど北緯35度線が通っているのだろう。オブジェの青い玉は地球を表しているのに違いない。1989(平成元)年の琵琶湖線開業100周年記念事業として設置された。
   

(2006年5月14日)

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