カトマンズ |
パシュパティナート
Pashupatinath |
パシュパティナート寺院
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カトマンズの東に位置するパシュパティナート寺院は、ネパール最大のヒンズー教寺院あるばかりではなく、全世界のヒンズー教徒にとっても重要な寺院とみなされ、春のシヴァ
・ラットリー祭には多くの人々が遠くインドからも参拝に訪れる。
パシュパティナートにはヒンズー教の最高神シヴァが祀られている。パシュパティとはそのシヴァ神の化身の一つで、金の角を持つ鹿の姿をしている。紀元前3世紀には最初の寺院が建てられたと言われており、その後リッチャビ王朝時代に国の守護神となった。もちろん、世界文化遺産に指定されている。
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ゴウサラの交差点
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パシュパティナートは、トリブヴァン国際空港からカトマンズへ向かう環状道路リング・ロード沿いにある。バスで行くなら、ゴウサラで下車することになる。
そこから、細い参道を通っていく。
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パシュパティナートの参道
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休日ともなると参道の両脇には出店が立ち並び活気にあふれている。だいたい5分ほどで、パシュパティナート寺院が見えてくる。
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◆パシュパティナート寺院(Pashupatinath Temple) |
パシュパティナート寺院入り口
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パシュパティナートは残念ながらヒンズー教徒以外立ち入りが禁止になっている。西側の門のほうに行くと、金色のナンディ(牡牛)のお尻が見えるが、これはシヴァ神の乗り物である。
中に入れないのではしかたがないから、再び南側の参道に戻り、バグマティ川のほうへ向かおう。
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金色のナンディのお尻が見える
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◆パンチャ・デワル(Panch Deval) |
パンチャ・デワル入り口
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参道の南側にパンチャ・デワルがある。これは5つの寺院という意味。現在は貧困の高齢者のための社会福祉センターになっている。
中に入るってみると、確かに5つの祠堂が建っている。
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パンチャ・デワル
5つの寺院のうちの3つ
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参道に戻ってしばらく進むと、右側に入場券売り場があるが、外国人は250ルピーを払わなければならない。
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入場券売り場
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もし入場券を払いたくないのであれば、この入り口から入らなければいい。ゴウサラの交差点から空港へ続く道を東へ進み、川沿いにパシュパティナートに向おう。ここにも一応入場券売り場があるが、係員がいないことも多い。
もっとも、先日ここから入って西岸を歩いていたら係員がやってきて「チケットはあるか?」と聞いてきた。「また?」と言って探すフリをしたら、「OK」と言ってくれたので、この方法は有効かもしれない。
一番いいのは、これから紹介するコースを逆に進むという方法ではないか。このルートを取る人はまずいないからか、まったくチェックがない(はずである)。
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南側入り口
奥に入場券売り場が見える
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◆バグマティ川岸 |
バグマティ川の火葬ガート
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入場券売り場を通り過ぎると、目の前に聖なる川バグマティが見えてくる。
ここには火葬ガートがあり、ネパール人たちの葬儀が執り行われる。川岸で遺体を焼き、その灰をバグマティ川に流すのである。
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葬儀が行われているのは、バグマティ川の西岸である。そちら側に行くこともできるのだが、やはり葬儀という厳かな儀式であるからには、むやみに
立ち入るのは遠慮したいもの。対岸からこっそり写真を撮るだけにした。
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隠者の洞窟
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川岸を一番北まで行くと、洞窟のような避難所のような場所が見える。ここは「隠者の洞窟」と呼ばれ、かつてサドゥー(遊行僧)によって使われていたそうである。
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バチャレシュワリ寺院
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バグマティ川岸への入り口から、対岸へ渡る橋は2つあるが、そのちょうど間に小さなバチャレシュワリ寺院(Bacchareshwari
Temple)がある。6世紀に建てられたタントラ密教の寺院とのことである。
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バチャレシュワリ寺院の不思議な装飾
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この寺院の壁には、官能的な彫刻や、踊る骸骨など、なんとも言えない装飾が多く見られる。
かつて、シヴァ・ラットリー祭の際には、人を生贄にささげたこともあるそうである。
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ラズ・ラジェシュワリ寺院
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バグマティ川の西岸を、ガートを超えてしばらく南に行くとラズ・ラジェシュワリ寺院(Raj Rajeshwari Temple)がある。
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7世紀の仏陀像
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そのラズ・ラジェシュワリ寺院の入り口近くに、地面に半分埋もれた仏陀像があるが、7世紀に作られたもの。
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右側に11個のチャイティヤが見える
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再びパシュパティナートのほうに戻り、橋を東岸へ渡る。東岸の北のほうに白い建物が11個並んでいる。これはチャイティャ(小仏塔)で、中にはそれぞれにシヴァ神の象徴であるシヴァ・リンガが祀られ、
ナンディ(牡牛)が控えている。
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チャイティヤの前のナンディと
中のシヴァリンガ
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そのチャイティヤのすぐ上の丘に登ると、パシュパティナート寺院がよく見える(ページ一番上の写真)。中に入ることのできない異教徒はここから寺院を眺めるだけで我慢しよう。
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丘からパンチャ・デワルの5つの寺院を望む
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この丘の北の端には一つの古ぼけたシヴァリンガがある。5、6世紀ごろに作られたものだそうだが、面白いことにシヴァ神の顔が彫られてある。
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顔の彫られたシヴァ・リンガ
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丘のすぐ南にある寺院はラム寺院(Ram
Temple)。パシュパティナート一帯でも重要な寺院の一つで、ここではいつも修行者サドゥーの姿を見ることができる。
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ラム寺院
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ところで、カトマンズの繁華街を歩いていると、日本語で「ハッパ、アルヨ」と声をかけられることがある。なんでも「ハッパ」とはマリファナのことらしい。もちろんネパールでもマリファナは違法なのだが、例外的にシヴァ神の誕生日を祀る3月のシヴァラットリ祭の際にのみ、ここパシュパティナート寺院ではマリファナを吸うことができるそうである。
僕も3月のシヴァラットリ祭の時、ここでマリファナを勧められたが、普段から煙草は吸わないのでただ見るだけにした。
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シヴァラットリ祭の時にマリファナを勧められた
(2008年3月7日)
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◆ヴィシュワループ寺院(Vishwarup Temple) |
たいていの観光客はこの東岸の丘あたりまで来たところで引き返してしまうようだが、実はパシュパティナートの面白さは、これより奥にあるといっても過言ではない。
東側の階段を上り、いくつもの寺院に囲まれた道を歩いていると一瞬過去にタイムスリップしたかの錯覚を受ける。あるいはトールキン
(1892〜1973)の「指輪物語」の世界だろうか。
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ガネーシュ祠堂
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階段を上りきったところにガネーシュを祀った祠堂があるが、ここを右のほうに進んだ突き当たりにヴィシュワループ寺院がある。
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ヴィシュワループ寺院
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ちなみにここもヒンズー教徒以外立ち入り禁止。入り口から中を覗いたら大人しく引き返そう。
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ヴィシュワループ寺院
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◆ゴラクナート寺院(Gorakhnath Temple) |
ゴラクナート寺院
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ガネーシュ祠堂のところまで引き返して、さらに奥へ進むと、白いシカラ様式の尖塔が見えてくる。これがゴラクナート寺院で、シヴァ神を祀っている。
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鹿園
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ゴラクナート寺院のすぐ先の左手の林に金網がめぐらせてある。ここは鹿園になっている。パシュパティ神が鹿の姿をしていることから、ここで飼育しているのだろうが、茨城県の鹿島神宮と同じ発想である。
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鹿園の鹿(2008年3月7日)
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しばらく見ていたが、この日は鹿を見つけられなかった。もっとも、鹿がいるのは間違いなく、半年ほど前のシヴァラットリ祭の時には運よく見ることができた。
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◆グヘスワリ寺院(Guhyeshwari Temple) |
グヘスワリ寺院
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鹿園を左手に階段を下りていく。正面に壁に囲まれたグヘスワリ寺院が見えてくる。中はやはりヒンズー教徒以外立ち入り禁止だが、壁越しに屋根の上の蛇の飾りが見える。
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屋根の上の蛇の飾り
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このグヘスワリ寺院は、17世紀にプラタップ・マッラ王によって建てられたものである。
寺院の左手にはいかにも年季の入った感じのストゥーパがあるが、建造当時のものだろうか?
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ストゥーパ
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階段を降り切って川のほとりの道に出る。ここからグヘスワル寺院を振り返ると、正面入り口があるが、これが実に色鮮やかなのである。
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グヘスワリ寺院正面入り口
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このグヘスワル寺院脇の階段あたりからまっすぐ正面を遠く眺めてみよう。もう一つの世界遺産ボウダナート寺院が見える。この日は天気もよく、山の向こうにはヒマラヤも見えた。
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ボウダナート寺院が見える
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◆キラテシュワール寺院(Kirateshwar Temple) |
キラテシュワール寺院入り口
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ここからしばらくバグマティ川沿いに西のほうへ歩く。すると左側に丘の上に続く石段があるので、上ってみよう。キランテシュワール寺院にたどり着く。
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ネパール最古のシヴァリンガ
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ここはあまり観光客も来ないもの静かな場所だが、ここにあるシヴァリンガは紀元前3世紀のもので、ネパール最古のもの。そのことから、パシュパティナート寺院の創建もその頃にまでさかのぼることができるらしい。
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川岸にハヌマーン像がある
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再び丘を降りて、バグマティ川にかかる橋を渡る。川岸に大きなハヌマーン像のある寺院が見える。
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ハヌマーン像
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ハヌマーンは言うまでも無く、叙事詩「ラーマヤナ」において、主人公ラーマを助けて活躍する大猿。ハヌマーン像は、カトマンズやパタンのダルバール広場など、あちらこちらで見られるが、ここまで大きいものは初めて見た。
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◆カイラスコット |
カイラスコットから眺めたヒマラヤ
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再び元の道に戻り、橋を渡って細い坂道を登ると、カイラスコット(高台)に出る。ここからは天気が良ければヒマラヤが一望できる。この日はあまり天気が良くなかったため、かろうじて山頂のほうが見えるだけであった。
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カイラスコットからパシュパティナート寺院を見下ろす
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あとは南のほうへ下れば、再びパシュパティナートの参道に出る。
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(2008年11月2日) |