失敗山日記 T−1 |
初めてのビバーク、熊 in 奥多摩 天祖山 (99年11月6日) |
―― 山で非論理的になるのは私だけ? (ブドウ糖の不足が原因?) |
by 山へ行っちゃあいけない男(登山不適格者?) |
その2 |
声の大きさから大型獣のそれと思われます。勿論キジなどの鳥類ではありませんが、カモシカでもありません。猪ならもっと豚のような声でしょう。今まで山で獣に威嚇されたうちでは最も野太く、大きな声で、熊の可能性が大です。 急に暗さが増してきました。この踏み跡でいいのかと疑念をいだきつつ歩いていると、先ほどの尾根の方向から人声が聞こえました。子供の声が交じっていたようです。 例の吼え声を聞いた尾根に戻り、たたずんだ頃から思考が尋常ではなくなっていったようです。天祖山頂以後の分かりにくい路で、脳に必要なブドウ糖もほぼ使い果たしていたのでしょうか。
新たな人声が左の谷の方向でしたのでしょうか、さっき降りていった方向とは反対側の谷に沿った、わずかな踏み跡のようなものを目で追っている私がいます。しかしすぐに急な斜面で途切れているようで、そちらに進む様子はありません。 すぐにビバーク場所を探します。幸い数歩高みに畳1畳ほどの平らな場所を見つけ、ひとまずリュックを運びました。 |
*連載の読み物のように、1日1ページずつ読んでいただくのが私の希望です。 |