s c e n e * 8
並んで歩いていたら、年下の義兄にいきなり手をつかまれた。
「義兄上?」
驚いて見ると相手は屈託ない笑顔をかれに向けていた。
「どうなさったんです、急に・・・」
「手を繋ぎたくなっただけだが」
ファラミアの掌をぎゅっと握ったまま、エオメルが答える。
「−−そうですか」ゴンドールの執政はそう言ってうなづいた。
いい年をした男二人が、手繋ぎで歩く光景は奇異なものだろうと思った。
だが義兄は時折よくわからない、無邪気な行動に出ることがあるのだ。
かれらはそのまま白い回廊を歩き続けた。
「ミナス・ティリスは広いからな、こうしていないと迷子になりそうだ」
エオメルが楽しげに言う。触れた部分から体温が伝わってくる。
ファラミアは「成る程」と呟いて吐息をついた。
近頃、義理の弟にずっとくっついていたい気持ちが、妙に高まっているローハン王である。ファラミアのそばに寄ると良い香りがするし、語られる言葉が音楽のようで心地いいのだ。
(それに・・・)
特に好きなのが手の感触だった。
乾いていて温かいが、皮膚の下にさわやかな水の流れを感じる。
(こういう肌の主はマークにいない。遠いヌメノールの不思議な血)
その掌に触れるたび、そんな感慨が沸くのである。
指輪戦争後、かれらの縁は近くなったがエオメルにとって義弟は、いにしえの地へと続く、慕わしくもミステリアスな存在なのだった。
一方、ファラミアの方はエオメルと手を繋ぎながら、だんだん動悸が早くなっていくのを感じていた。
力強い義兄の掌から熱気と鼓動が皮膚を通して流れ込んでくる。
かれはいつもと同じ涼やかな表情のまま、心の中で叫んでいた。
勃っちゃうからやめてー・・・
エレスサール王が待つ白い塔はすぐそこだ。
20071214
エオメル王、仔犬ビーム発射ーーーー!わふわふきゅんきゅん!!!なでろなでろ!!!
なんと凶悪な・・・。
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