scene*4
爽やかな午後の草原だった。
木陰で読書しながらいつの間にか寝込んでしまったようだ。
エドラスから小半時ほど馬を飛ばした、林の中である。傍らを見ると、剣を抱えた従弟が草の上に伸びて寝くたれている。
(いつのまに・・・)
誰にも何処に行くとも告げず、ふらりと馬を乗り出したセオドレドだった。
それを従弟は、どうやってか行方を探り当ててここまでやって来たらしい。
そして王子の側で護衛を勤めるつもりが、自分も睡魔に引き込まれ眠りこけてるというわけだ。
セオドレドはまじまじと従弟の寝姿をみつめた。髭を蓄えていても、顔立ちはまだどこかあどけなさを残している。だが、骨格はしっかりして、腕も胸も充分に逞しい大柄な身体である。
(子どもの頃には、よくせがまれてエオメルに高い高いをしてあげたものだ。いつの間にか、もうそれはすっかり不可能なことになってしまったのか・・・)
立派に成長した従弟に、一抹の寂しさを感じる王子だった。
思いついて、かれはエオメルからそっと剣を取り除けた。そしてその胸に顔を乗せてみた。頬をくっつけ徐々に体重をかける。広い胸だ、とローハン王子は思った。(広くて、厚い。きみがこんなに大きくなっていたとは)
感慨深く従弟の成長を実感していると、ふいに腕が伸びてかれの頭をかき抱いた。「エオメル、起きたのか」
「んん・・・眠ってしまったようです。殿下、どうしたんですか・・・」
従弟の声はまだ眠そうだった。指がかれの髪をまさぐっている。セオドレドはエオメルの上に頭を投げかけたまま言った。
「たまには、きみに抱いてもらうのもいい」
ずっと年下の青年にそんな風に甘えるのは照れくさかったが、慣れ親しんだ従弟の匂いと鼓動が、かれに安らぎをもたらした。
と、急にエオメルが身体を反転させて、王子を胸の下に抱き込んだ。
「エオメル?」不思議そうに問うと、従弟は答えた。
「そ、そうですか、セオドレド!わたしもあなたと同じ気持ちです」
「は?」相手の鼻息がものすごく荒くなっている。
「わたしもあなたを抱きたいと思ってました!ええ、初めてですが大丈夫です!自信ありますッ」
何か、とんでもない誤解が生じたらしい・・・。
「いや、違くて」言いかけた唇をエオメルの口に塞がれた。従弟の腕から逃れようともがいたが、やたら強く締めつけられていて動けない。
(な、なんだこの馬鹿力は)
声も封じられ焦るうちに、従弟の指が下衣にかかる。
(ちょ・・・!)
今まさに、ローハン王子に人生最大のピンチが!
20070821up
こんなに大きくなりました!ワー!(喝采)
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