scene*2
従兄のセオドレドと遠乗りに出かけた午後のことである。
二人の目の前に、深い色合いの清流が現れた。
「雪白川の支流か。少し位置が変わったようだが」つぶやくセオドレドの横で、エオメルは馬から下りて言った。
「気持ちよさそうだ、泳ごう!」パパパと服を脱ぎ捨てマッパになるなり、水の中に飛び込む。「こら、そこらに放り出していくんじゃない」
散らばった衣服を拾いながら、従兄が言うのが聞こえた。
数メートル泳いで振り向くと、セオドレドは水面に足を下ろすところだった。
均整の取れた戦士の身体が目に眩しい。
(あれ?)エオメルは急にどきどきするのを感じた。なぜか従兄の裸から目を離せないのである。視線に気づいた相手がこちらを見る。
思わず、頭まで水に沈むエオメルだった。
「ぷはっ」勢いよく息を吐きながら顔を出すと、かれは叫んだ。
「来週、鹿狩りに出かけないか!西エムネトで大きな群れが移動してるらしいんだ」セオドレドと二人、群れを追いかけて野営しながら狩りをするのが、ここ最近の楽しみなのだ。「今度はあなたよりたくさん獲物を捕るよ」
弓の腕も上がってきたことだし、もう少年じゃない、自分は一人前の騎士だと自負しているエオメルである。だが従兄は首を横に振った。
「いや、わたしはゴンドールへ行かねばならない。狩りはまた次の機会に」
(ゴンドール・・・)
エオメルはがっかりした。まだかれは隣国に行ったことがない。使節に選ばれるには年若く知識も乏しかった。だが、執政家の兄弟のことなら見知っている。
去年エドラスを訪れたゴンドーリアンに、従兄が引き合わせてくれたからだ。
緊張してあまり話は出来なかったが、大国の公子らしい立派な人々だった。そしてセオドレドとかれらは親しげに会話を楽しんでいた。
(ボロミア殿の瞳は、この水流のように深い碧だった・・・ファラミア殿のほうは、まるでマークの空のような青い瞳・・・)
「セオドレド!」かれは尋ねた。
「あなたがずっと一緒にいたいと思うのはどんな男なんだ」
「ええ?ずっと一緒に?そうだな・・・」唐突に訊かれてセオドレドが不思議そうにかれを見る。「わたしと並んで戦える男かな」
それを聞いたエオメルは、思わず「それって、まるでおれみたいだな!」と言っていた。世継ぎの王子が笑みを浮かべて「そうだね」と答える。
かれは水を跳ね上げながら相手に突進した。そして、飛びつくように抱きついた。「エオメル、どうしたんだ」セオドレドの声が戸惑っていた。
その背中に腕を回してぎゅうっと力を入れながら、エオメルは言った。
「一緒にゴンドールに行きたい!すごく行きたい!」
「それは。今回は・・・」言いかけた言葉をさえぎってかれは続けた。
「でも我慢する。待ってる」従兄の肩にぐりぐり頭をこすりつける。セオドレドの表情はわからなかったが、王子の指が自分の髪を優しく撫でるのをエオメルは感じた。
「エオメル・・・」「うん」
「なんでそんなに押しつけるんだ」「えへへ」
裸の身体をぴったり密着させて抱きついているエオメルである。離れたくなくて、つい胸を腰を、くっつけてしまう。
「−−なんで形状が変わるんだ」「えへへ」
笑って誤魔化しつつさらにぐいぐい押しつける。水は爽やかで冷たかったが、身体の奥がどんどん熱くなっている。
幸せな昂揚を感じながら、かれは従兄を抱きしめ続けた。
20070704up
兄貴は16、7かな?生意気な年頃ゆえタメ口です。水辺でぎゅうぎゅう抱き合うロヒロヒ。
絵にもしてみたかったんですが〜最近なにも描いてないのでデッサンが取れず、メタメタですた・・・。ひい。修行じゃあ。滝に打たれてくるのじゃあ。
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