ジオンの残業
〜ガンダムヘビーアームズの戦力分析〜

この文章は「ジオンの残業〜孤独なる戦い?〜」の続きです。
そちらをお読みになった上で、読むことをオススメします。




新機動戦記ガンダムWの序盤、5機のガンダムは圧倒的な攻撃力で、連合・OZの基地を強襲します。
無限ともいえる弾をばら撒く…
圧倒的な破壊力…
彼らを形容する言葉はいろいろあるでしょう。

実際のところはどうだったのでしょうか?TV版を見返して調べてみました。



“単機で敵基地に乗り込む”、の代表作「ガンダム5機確認」です。
トロワはガンダムヘビーアームズ単機で、連合の地中海基地に乗り込みます。
このときの基地の警備状況は…
・飛行船の警備にリーオー5機
・基地施設周辺にリーオー2機
・画面上で撃墜された戦車が6機・戦闘機3機


そして…
・スペシャルズのエアリーズ10機
これと交戦し始めた頃に、弾切れを起こします。
ゼクスとオットーが押し問答している間に、ほぼ決着がついていますので
戦闘時間は5分程度と見て間違いないでしょう


基地指令のボナーパ将軍はこういっています。
「あえて戦力をこれ見よがしに配置することで、余計な戦いを避けることが出来る」
「この警備で攻めるバカはおらん!!」

これを見る限り、伏兵を大量に隠していたとは考えづらいでしょう。

つまり、画面上に現れていない敵が同じくらいいると考えても、弾切れを起こすまでに…
・リーオー15機程度
・戦車10機程度
・戦闘機5機程度




え!!これだけ?!!



正直に言います!
私はこの回で100機近くのMSを落としていると思い込んでいました。




これは他の回も調べて見ないといけないでしょう。
ヘビーアームズ登場の回は…
「キャスリンの涙」:輸送機4機・MS6機で弾切れ
「トレーズ暗殺」:MS20数機を落としたところで水中に引きづりこまれ、おそらくナイフで10機弱を撃破
「01爆破指令」:連合基地を襲った、エアリーズ5機撃墜(攻撃隊は全部でエアリーズ10機)
「決戦の地南極へ」:画面上で14機撃墜した時点で弾切れ、この時輸送機から降下したMSは全てで20機程度でノインたちも撃墜しているので、それ以上はなさそうです。



どうやら、MS20機〜30機分が装弾されていると見ていいでしょう。

これ以降はビルゴ(というよりプラネイトディフェンサー)の登場で、1話あたりの撃墜数は減っていますので、これほどの数を撃墜することは、ほぼありません。
Endless Waltzで「残り約250機…一人50機の計算だ…」という台詞があり、サーペントを約半分ほど撃墜した時点で弾切れを起こすので、これも計算どおりですね。




ヘビーアームズ以外が基地を強襲するも見てみたいと思います。
「悪夢のビクトリア」:レイクビクトリア基地の警備は、少なくともリーオー10機・エアリーズ10機はいるようでした。
ただ、五飛は直接は攻めず、個人で爆弾をしかけ、追撃のエアリーズ3機を一蹴、トーラス輸送機をビームガンで狙撃しました。
「リリーナの秘密」:北太平洋OZ補給基地・リーオー・エアリーズ合わせて10機
「亡国の肖像」:OZの工場を強襲、MS総数9機



通常の「任務」は“MS10機程度の基地を強襲する。”というのが典型のようです



特殊な例として「流血のシナリオ」が上げられます。
これはオペレーション・デイブレイクの回です。トレーズはガンダムに罠を仕掛け、同時に連合にクーデターを起こすため、連合のMSをニューエドワーズ基地に集結させています。
画面上でもわらわらと沸いてきて、40機以上は確認できます。

ヒイロ「10倍以上だ!想定数をはるかに超えている…」


雰囲気的には100機程度のリーオーが集まっていたようです。
となると…想定数は10機となります。
おそらくニューエドワーズの規模なら通常10機程度のMSが警備しているということなのでしょう。
この「任務」は、大きなものだということはわかってはいたけれど、予想以上だったということなのでしょう。




このことから考えて「ガンダム」の設計思想は、こうなります。
10機程度のMSがいる基地を
出来るだけ短時間で殲滅する




ガンダムW序盤の彼らの行動はまさにこの通りです。
パイロットの「常に前に出て死中に活を見出す」戦い方も、この目的と一致します。
特にトロワは全く残弾を気にせず撃ちまくり、10分以内に使い切ってしまいます。(弾がなくなってからも引金を引き続けるくらいです)

その印象が強すぎて、“圧倒的な戦力”と思ってしまっていますが、実際は戦うたびに補給・修理をしないといけませんし、伏兵や増援を送られて弾切れ、エネルギー切れを起こす例もかなりあります。(「バルジ強襲」「リーブラ発進」など)

つまり、ガンダムWの「ガンダム」は短時間に攻撃力を集中させることで、“圧倒的な攻撃力”を保っているのです。
だから、ちょっと強い敵が出てくると、すぐに泥仕合になっちゃうわけです。




この設計思想は「単機で基地を強襲する」というところから来ているのでしょう。

また、敵に実力以上の脅威を感じさせる目的もあるでしょう
ヘビーアームズが弾をガンガン撃ってくるのを見れば相手はひるむでしょうし、「どれだけ続くのか…」という恐怖も感じるでしょう。
実際私は、MS100機相手でも大丈夫と思い込んでいましたし、ガンダムWを見ていた大部分の人が同感だと思います。



視聴者もトロワとドクトルSの計略に
まんまと乗せられていたのです!!





追記:ガンダムWのガンダムの実力(パイロット込み)を「数分間でMS10機を倒せる」と仮定すると、ガンダム世界に、それくらいの戦闘をする例はたくさんあったりします。


アムロのガンダムは3分以内にリック・ドム9機を撃墜、さらにチベを撃沈しています。(宿命の出会い)
ルビコン作戦でミーシャのケンプファーはスカーレット隊を全滅させNT-1に肉薄します(河を渡って木立を抜けて)
フルアーマーZZガンダムは、ほぼ単機でアクシズの防衛ラインを突破しグレミーと死闘を繰り広げます(バイブレーション)
クロスボーン・ガンダムは木星帝国の基地を強襲、撃破しています。(これは母艦を含む全てのクルーの戦果ですが、少なくともX-1が10機以上撃墜しているのはまちがいありません)
シャギア・フロストはアルタネイティブ社に乗り込み5機のMSを瞬時に破壊しました。(私の愛馬は凶暴です)
ジャミルのガンダムXディバイダーがフラッシュシステムを起動させたとき、20機以上いた委員会のMSは一掃されました。(まるで夢を見ているみたい)
フリーダムガンダムはアラスカ基地で、10機以上のMSを行動不能にし、戦闘を中止させています。(舞い降りる剣)


こう考えてみると…ガンダムWが特別と言うわけじゃなく、主人公機はこんなものなのかもしれませんね。
「圧倒的に見えている」というのは、ガンダムWのスタッフを褒めるべき所なのかも…




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