都議会財政委員会2008年3月3日 07年度最終補正予算を審議 都民に活用すべき課題は山積みでも都民に使わない! ○曽根委員 いろいろ今質疑がありました。特別基金の意義や今後の活用法について、私からもまず最初にお聞きをして、その後に、補正予算のあり方についてもお聞きをして行きたいと思います。 今まで、この基金というか、都税収入の上がり下がりに応じた財政運営について、いつも財務局は責められる立場にある、宿命があるというようなお話とか、財政運営あり方についての、革新、美濃部知事の時代のことを引き合いに出したお詰もありましたが、私、やっぱり思いだすのは、平成五年、九三年当時に、一番ピークだったでしょうか、社会資本整備基金などについても。ここからどんどん基金が減らされていった。その過程を見れば、使われた大半は、例えば当時つくっていた、今、大江戸線、地下鉄十二号線の、もうとめられないということでどんどん、「何というんですか、設計変更で水膨れしていった事業費。それから、都庁ほか大型施設が建ってきて、それもとめられないということで、どんどんそれにお金が出ていく。 社会資本整備基金、六千億ぐらいあったと思うんですけれども、大半はそういうことに使われて、ハードですね、要するに。都民施策維持のために使われた基金の取り崩し方というのは、ついぞ私は大きなところは記憶はありません。したがって、都民からの、こうしたことに対する非難が浴びせられるのは、私は当然だと思います。 そこで、今度つくられようとしている特別基金について、そういう懸念、そのことが繰り返される懸念がないのかということが、私の質問したいところなんです。 この基金がつくられたいきさつは、十二月十一日の福田首相と石原知事の合意にあることはだれしも知るところであり、そのときに、都議会としては全く蚊帳の外に置かれていたことも事実であります。したがって、そういうやりガ、手続の問題自体も、都民や議会に対してきちんと、何といいますか、ある意味では相談、協議をするようなやり方でなかったこと、このことについて、どう言いわけしたって、私たちやっぱり物をいわなきゃならないのが議会の当然の責務だと思います。 それで、議会に説明もなくやられた後、その後に実務者会議まで設定された。そこでは、知事が選んだ十三の事業が重点になって今後進めていくというふうになっている。このことは後でちょっと、特別基金との関連もあるのでお聞きしておきたいんですが、その後、実務者会議はどれぐらい開かれて、どういう内容が話し合われ、どういう動きがあったんでしょうか。 ○真田主計部長 実務者協議会に関します所管は知事本局でございまして、財務局は基本的にはお答えする立場にございませんけれども、知事本局から聞いているところをご紹介いたしますと、法人事業税の暫定措置に際して設置されました国と都との実務者協議会は、その第一回が昨年十二月二十七日に開催されました。 これを受けて、例えば二月十八日には、羽田空港の国際化につきまして千葉県、神奈川県の参加も得て分科会を設置し、国との協議を開始しておりまして、また、その他の項目につきましても、個々の施策ごとに関係省庁との個別の競技を開始しているというふうに聞いております。 ○曽根委員 実務者会議は十二月二十七日が初回だというお話ですが、その二日前にほ国幹会議が開かれて、この十三事業の中に知事が首都の効率を増進するインフラ整備の中に掲げていた外郭環状道路の早期着工ということについては国幹会議で、わずか三十分ぐらいの審議のもとにゴーサインが出される、事業化の方向で動き出したということがありました。 さらに、これは実行プログラムの中に入っているものもありますが、入っていない、例えば交通政策審議会答申によらない地下鉄路線建設などということも入っており、これがもし動き出せば、実行プログラムをさらに上回るハードの事業が動き出す可能性もなきにしもあらずといわざるを得ません。 そういう点でほ、もう、この大きな流れでいいますと、都が反対を続けていたけれども、結局は、国に法人事業税の約半分を国税化して持っていかれることを静めてしまった。しかし、そこまで妥協したんだからそのかわりということで、知事がピックアップした十三の事業だけはちゃんとやらしてくださいねと、これはお墨つきをもらった。 しかし、その十三事業というのは東京都のやっている大きな、いろんな仕事の中で、知事が本当に やりたい事業に絞られており、その大半はハードであります。インフラ整備、オリンピックがらみであるという、そういうことです。そういうものにピックアップして知事がやりたいところだけやらしてくださいねと。全体は戦に負けたけれども、お殿様がここだけは守らしてくださいよというところだけ、領民のいろんな今後の苦しみはさておいても、お殿様の気に入ったところだけは守りますよ、こういう負け戦の仕方というのは私、本当に情けないといわざるを得ません。(「そもそも戦になってないんだよ、我々に権限がないんだから」と呼ぶ者あり) 戦になっていなかったというお話が今ありましたけれども、とんでもないですよ。国と大論争してきたはずじゃなかったんですか。それが戦でなかったというんだったら、最初から根回し済んでいたということでしょうかね。そんな、冗談じゃないと思います。 したがって、私たちはそういうやり方こそ都民を無視したものだといわざるを得ないということと、その上につくられた特別対策基金ですね。これについては私は、本当に疑問があるんですよ。 というのは、まず第一に、二千百八十五億円、とにかく今年度補正財源を積めるだけ積んだんですと、反対の意思を示すというようなことをお話しになりましたが、それでは、財政調整基金と違って、この名前で基金を積むことによる、政治的な意味合いとかそういうことはおいておいても、財政的な何か特別のメリットというのはあるんですか、都にとって。 ○真田主計部長 今回、財政調整基金と別にこの基金をつくりましたのは先ほどお答えしたとおりでございまして、そういうことで、今回の減収が確実、法案が通ればという前提でございますけれども、確実に見込まれる。そういう状況の中で、都民サービスの水準をいささかも低下させないという都の姿勢を明確にアピールするということ。あと、そうはいっても、できるだはかき集めて頑張りましたけれども、まだまだその水準に達していない、それだけ厳しい措置であるということをアピールするために設けたものでございまして、そういう意味では、財源の年度間調整ということでいけば同じかもしれませんけれども、基金を設置した意味合いはおのずからそういった意味がございますので、ぜびご理解いただきたいと思います。 ○曽根委員 財政的にはメリットは余りないわけですね。東京都の公的な基金ですから当然です。しかし、政治的にいって、都民向けのアピールが、ないとはいいませんよ、しかし他の自治体との関係でどうなんでしょうか。 今はまだ三千億円持っていかれていない段階ですから、財政にまだ余裕があるから積めるんだと。しかし今後も、さっき、財政の許す限り積んでいきたいというようなお話も、ちょっとニュアンスありました。もし削られ始めて、再来年度ですか二千八百億円、その次は三千二百億円、削り出してからもこっちで積んでいるというのは何なのかと。 削られたってまだ積むだけの、お金に余裕ありますよ、ということになりかねないじゃありませんか。 私、率直にいって、削られたことが厳しいから、都民の方々の行政水準を落とさないために積もうというのに、削られ始めてからもまた積むようなことがあり得るんですかね。 これはちょっと、ここだけ確認しておきたいんですま。削られだしてから積むようなことができるんですか。 ○真田主計部長 その点につきましては先ほどお答えしましたけれど、今回、十九年度におきましてはそういったやりくりで二千百八十五億円の積み立てをさしていただきました。今後もさらに充実させていきたいという思いは我々、持ってございますが、具体的に二十二年度以降どういうふうな積み立てができるが、どういう対応ができるかというのは、その時々の状況を見て、また適切に判断していきたいと考えております。 ○曽根委員 もし万が一財政的なゆとりがあるんだったら、財調基金というものがあるわけですよ、年度間調整で今後心配ならばですよ。しかし、これは政治的な意味があるからこれを積んでいる、わざわざ名前をつけて。しかし、もし削られ始めて三千億円持ってもっていかれるのにまだ二千億円なり、そこまでいかないにしても、こっちで積んでますよ、別建てでと。それだけ余裕があったんなら、もう三千億円じゃ足らないじゃないか、東京、金持ちじゃないかということになるじゃないですか、事実上。そういうことが今後に見込まれるからこそ、こんな危険な基金を積む必要ないんですよ。道理がないんです、もともとこれは根拠もないですよ、財調基金で済むんだから。ということは申し上げておきたいと思うんです。 しかも、こういう基金のつくり方をずると、使われる道が私は縛られてくる危険性があるということは指摘しておかなきゃならないんです。というのは、この基金を設定すると同時に、知事は、福田首相に対して十三事業をぜひやらしてほしいとお願いしている、重点で。それから、東京都の施策も、実行プログラムということで重点事業を打ち出して四千七百億円来年度は組んでいる。 こういう重点の施策こそが行政サービスとして水準を落とさないようにするということの重点になってくるということは私、見え見えだと思うんですよ。そういうことに専ら偏って使われる危険性があるんじゃないですか。いかがですか。 ○真田主計部長 今回設置いたします特別基金は、特定の事業を推進するもの、それの財源として活用するものではなくて、今後生じる減収に際し、ハード事業、ソフト事業にかかわりなく必要とされる都政水準の確保を図るためのものでございます。ご理解いただきたいと思います。 なお、先ほど来、例の十三項目の話、これはハード偏重ではないかというようなお話、あるいは実行プログテムにつきましても同様のご指摘をいただいております。私どもの理解は、この十三項目につきましても、首都東京の今後の発展を期する上から、都としても意義のある事業を網羅したものでございまして、ハード、ソフトそれぞれ含まれておりまして、特にハードを偏重したものというふうにとらえるのはいかがかともいうふうに思います。 ○曽根委員 しかし、これを見てくださいよ。かかる金額を考えてくださいよ。圧倒的にハードの方がお金がかかるんですから。そういう理屈だけおっしゃったってだめですよ。 しかも、じゃあ基金の取り崩し方として、東京都はさっきもちょっといいましたけれども、経常的な福祉や教育や医療や、こういうものの事業に、税収が落ちたからといって、少額なら別ですよ、しかし、この制度を維持するために年間百億、二百億どうしても足りなくなるというために、維持するために基金を取り崩して、一たん取り崩し出したら何年か継続しないわけにいきませんよね。そういう取り崩し方は、私は記憶ないんですよ。ハードには使いますよ、これは単発だからということで、投資で。基金というのは大体そうやって投資に使われてきたんですよ、専ら。 既に今年度の補正と来年度で七千億円の新たな積み立てがありますけれども、そのうちオリンピック基金一千億円、それから社会資本整備基金の積み増しで二千五百億円、既に半分の三千五百億円はハードに使う、インフラ整備に使うということが決められている基金ですよ。残り三千五百億円の中身の一つがこれなんですけれども、これもまたハード中心に使われたら、本当に都民施策の水準を維持することができるのかという問題が残ると思います。 ちょっと具体的に。例えば、今都民、特に高齢者に大変喜ばれているシルバーパスを、この間、非課税から課税になった方には暫定措置で千円に抑えていますね。来年度も一応これは続けると。例えばこういう喜ばれている事業を、これは水準を落とさない、行政サービスの水準を落とさない、都民にとっては非常に大事な施策の一つだと私は思いますけれども、維持するために使うという保証はありますか。 ○真田主計部長 先生のお話を承っておりますと、まず、、若干前提を押さえていただかなきゃならないのが、基金といいましても、先生がおっしゃっているような特定の目的の財源に充当するために設置したいわゆる特定日的基金と、それから今回の財調基金あるいは特別基金のような年度間調整を図るための基金と二つあります。 前者につきまして使途があらかじめ特定されておりますので、その使途の事業に充当するのは当然のことでございまして、もう一方の、財源の年度間調整を図るための基金につきましては、これは財源が不足した、それに対して財源の補てんを行うために活用するものでございまして、結果として、補てんを行うことによって施策が実現できるという形のものでございまして、これは特定の社会資本整備を図るために財調基金が使われているとか、そういう関係には立たないものでございます。 また、施策につきましても、私どもは、ハード、ソフトいずれをとりましても、都民にとって本当に必要かどうか、そういう観点で毎年施策の優先順位づけを行っておりまして、それにつきましては毎年度予算でご審議いただいて、当然認めていただいた、その内容に従って予算を組んで執行しておりますので、そういう意味で、都民の理解を得られるというふうに考えております。 ○曽根委員 ハード、ソフト両方使えるということは確認しておきたいということと、それにしても、都民にとって必要かどうかを判断した、その結果が例えば重点事業などにあらわれているのを見れば、来年度重点事業の四○%以上が三環状道路を中心としたインフラ整備ですから、そういう点では(石原都政の)重点ははっきりしているんだということは申し上げておきたいと思います。 それで、補正財源が二千百八十五億円、それに、ことし使い残し分も含めて積むというんですけれども、補正財源、じゃ、必要としている現年度内での緊急に手当てすべき事業はないのかという点では、私、たくさんあると思うんですよ。 一例だけ、ちょっときょうは時間の関係で質問、一例だけしておきますが、今回、工事契約案件に出ている青梅東学園の改修工事、これは教育庁にお聞きしたら、昨年十月、一回入札をして、不調になった。当時は、十五億円余りの予定価格でもって入札したんだけど不調になった。今度は十四億何がしで、これは下がったのかなと思ったらそうじゃない。 プール棟、学校の中にプールを何かつくりかえるそうなんですけれども、屋根つきのプールに、障害児の施設ですから、すると、そのプール棟は今回工事から外して、一億円ぐらい下げた予定価格で今回は落札した。この差額で本当にプール棟ができるのかなと、一億ぐらいで。そんなものじゃない、大体三億ぐらいかかるんじゃないかなと思うんですが、前回、入札不調になった、今回、プール棟を下げて、この差額というのはどういう金額なのか教えてください。 ○山本参事 都立青梅東学園養護学校は、本定例会の契約案件となっております。教育庁の方で、二十一年四月、来年の四月の開校に間に合わせるために、工事量の調整を図って、財務局はその委任を受けて発注し、その十億円については、その工事費を積算したものでございます。 プール棟につきましては、二十一年度に発注する予定と教育庁から聞いておりますので、教育庁から施工委任と執行委任を受けた後、積算を行うことにしております。 ○曽根委員 つまり、前回十五億円で、プール棟をそのまま残して工事、入札をやり直すと、どうしても今回三億円ぐらい乗って、もともと決めていた枠を突破してしまう。じゃ、プール棟を外して今回入札しようということになったと。これは私の推測ですけれども、恐らく間違いないでしょう、三億円ぐらいかかると聞きましたから。だったらば二億ぐらい、足してやれば・・・開校のときに間に合わなくなっちゃうんですよ、来年度の工事になれば、来年の四月、開校するときにプールがない、最初から。教育庁に聞いたら、プールをつくるのはいつだと聞いたら、開校してからつくりますと。 こんなばかな話、ないじゃないですか、一年前ですよ、まだ開校。今から、その枠を広げてやって、それで入札して開校に間に合わせるぐらいのことは簡単にできるじゃないですか。補正財源もあるし。教育庁だって、頑張れば、恐らく枠内でもやれるでしょう。なぜそういう発想が出てこないのかと。 財務局がこういうふうに枠を突破しちゃいかぬよという指導をされているんですか。 ○真田主計部長 お話の青梅東の件でございますけれども、ただいま山本参事の方からお答えしましたとおり、教育庁が子どものことを第一に考えた結果、開校をおくらせないということで、プール工事については切り離したもあというふうに聞いておりますし、実際、補正予算の要求につきましても、局の方からは出てきておりません。 ○曽根委員 財務局はふだんこういうふうに、たとえ数憶円でも、もともとの枠を年度当初に申請しているんだからその枠内でやりなさいよという、補正はもともとはそういうもので使うものじゃないんだよということを指導されているんですか。 ○真田主計部長 予算の仕組みについて申し上げますけれども、当然のことながら、予算の執行というのは、まず議会の議決を経て成立した予算に基づいて執行されるべきものでございます。しかし、その枠の中におきまして、当初予算編成後の状況の変化などに基づきまして、予算執行上必要になった場合には、これまでも、例えば流用対応など、執行上の工夫などによりまして対応してきておりまして、そういった弾力的な対応も図れるということをご理解いただきたいと思います。 ○曽根委員 私(から見れば)、こういう問題が本当にごろごるしているんですよ。前にも学校の改修がおくれて五十億円ぐらい必要だという申請があったんだけれども、年度当初で十五億円に切られた。そんなの補正で、物すごい、三千億円当時も財源ありましたからね、補正で。あと三十五億円がなぜ補正でつけられないのかという話をしました。それから今でも、例えば都立病院でお医者さんが足りない、産婦人科休診というような事態がずっと、年度内に起こっている。何とか手当てできないか。お金をつけて、予算をつけて解決できることはないのかという努力をすれば、私は何とか打開策はあると思うんですね、年度内に、緊急に。 そういうことも含めて、本当に全庁的に補正財源が二千億円以上ある。これを私、全額積むなとはいいませんよ。しかし、財詞基金も積んでいるんだから、だったらば都民のために使われるべき事業はないのかということを全庁に声をかけるぐらいのことは、これからの財務局、収入が厳しくなるというのであれば、本当にそのことを、都民サービスを落とさないために、いや、むしろ充実させるためにこそ努力をしてほしいということを申しあげて、質問を終わります。 |