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2001年10月29日公営企業決算委員会の質疑
地下鉄開業にともない廃止されたバス路線の復活を

◯曽根委員 私からは、やはり大江戸線開業に伴う幾つかの問題について質問したいんですが、もう既に何人かのお話にもあったとおり、当初見込まれた事業費が大きく膨らんでしまった問題、これは昨年の引き取りが始まった段階で、公営企業委員会などで私どもの会派から詳しく質疑も行いました。そこでも指摘しましたけれども、やはり十九に工区を分け、その接合に非常に費用がかかっているじゃないか。そのことをとらえて、知事でさえ当時、やはり都民は納得できないというふうに本会議で発言するなど、大きな疑問を持たれたと。
 また、私どもは前から指摘してきたように、その工区ごとに見ても、多いところでは十二回にわたって契約変更が行われて、費用がそのたびに膨らんだという問題など不透明なところもまだ十分解明されているとはいえません。
 したがって、こうした問題が今後起きることのないように、厳重に努力をしていただきたい。これは、今もお話のあったとおりコスト感覚も必要だと思うんです。同時に、これから大変な借金を返していく。その負担を、くれぐれも料金などで都民に背負わすことのないように、当面料金は維持していくというお話が去年ありましたが、この点も改めて強く要望しておきたいと思います。
 きょう質問したいのは、これも去年から聞いてきたことなんですが、大江戸線開通に伴って、地上のバス路線が廃止、短縮されたところがたくさんあります。資料もいただきました。
 昨年は、議論をずっと振り返ってみますと、いわば地上の路線でダブったりクロスしたりしているところについては、地下鉄が開通したことによって、代替交通機関としてそちらを使っていただきたいんだということが主な理由の一つとして、バス路線の廃止が行われましたが、今日の事態を見るとそれだけではなく、いろんな問題が起きているというふうに思わざるを得ません。
 それで、特に私は、地下鉄に乗るのに大変困難を抱えている、去年もたくさんの議員の方から指摘されましたが、高齢者や障害者の方にとってどうなのかという問題、ちょっとその角度から質問したいと思うんです。
 これは、例えばシルバーパスの利用率などでわかると思うんですが、大江戸線開通によって廃止、縮小された都営バス路線の中で、シルバーパスの利用率が高い路線というのはどういうところがあるのか、教えていただきたいと思います。


◯坂本バス路線再編成・事業活性化担当部長 平成十一年度に実施いたしました廃止、短縮に該当する路線のOD調査によりますと、シルバーパスの利用率が高い路線としては、茶51系統では当該路線の利用者の約二九%、茶81系統では約三九%、水59系統では約三六%でございます。


◯曽根委員 これらの系統いずれも、私の調べたところでは、大きな病院のたくさんある地域に路線がつながっているんじゃないかと思うんですよ。乗客数はいずれもそれほど多くはない。確かに赤字かもしれません。しかし、お年寄りにとっては、多いところでは乗客の四割近くがシルバーパス利用者というぐらい、かけがえのない路線だったことは間違いないというふうに思います。
 それで、私の地元の北区で、この一つである茶51、きょうの資料で見ますとこれは短縮路線になっていまして、今までは王子駅から東京駅丸の内口につながっていた路線の、王子から駒込までと、それからお茶の水から東京駅までと、両端が短縮、削られたということなんですね。
 不思議なのは、今までの説明では、大江戸線とクロスしたりダブったりするところについては代替交通機関だからということで廃止の理由にしていたんですが、この場合は逆に、大江戸線とは離れた部分を切って、大江戸線とクロスする部分は生き残したという形をとっているんです。
 それから、私、開通前にこの公営企業の決算委員会でも心配で質問したんですが、都02というバス路線がありまして、これは路線のかなりの部分が大江戸線の上を走っているわけですね。大江戸線の東側をずっと、上を走っている路線です。これがもし廃止されたら大変なことになると思って、これはやめてほしいということをおととしの決算で申し上げたんですが、そこは全く手つかず、生き残りました。大変うれしい話ではあるんですが、それでは一体、この離れた路線を削って、地上でダブっている路線は代替交通機関という理由があるにもかかわらず、ここは生き残しているなどですね、バス路線の廃止、短縮の理念といいますか、根拠がよくわからないなという印象を強く持っているわけなんです。
 それで、特に私の地元では、病院に通えなくなった、ほかの路線では代替できないということで、随分たくさんのお年寄りから苦情をいただいているもので、まず茶51について、ここをなぜ短縮しなければならなかったのか、教えていただきたい。


◯坂本バス路線再編成・事業活性化担当部長 三田線、南北線の延伸及び大江戸線の全線開業に伴いまして、鉄道ネットワークの利便性が大きく向上いたしますことから、既存の鉄道においても利便性の向上が図られたところでございます。
 また、都営交通ネットワーク及び運賃制度検討委員会の答申では、バスと地下鉄の役割分担を明確にするため、鉄道との重複路線を見直し、公共交通ネットワークの充実を図るべきとされております。したがいまして、経営資源の効率的な配分などをも踏まえまして、既存鉄道との重複路線についても再編整備を行ったところでございます。


◯曽根委員 その説明は去年も一部ありましたけれども、私、こういうネットワーク論というのはどうも納得できないんですよね。うさん臭い感じがするんですよ。こういう理屈をつければね、ある意味じゃ、遠く離れた路線だって切ることはできるわけですよ、ネットワークができたんだからといえばね。環状で大江戸線はぐるっと回っているわけですから、それに交通機関はいろいろネットワークしていますからね。
 ですから、ここでも去年も指摘していますけれども、結局採算で切ったんじゃないかというふうに疑問を持たれても仕方ないと思うんです。採算性の問題というのは、当然これはバス路線を考えるときに理由になったんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。


◯木村自動車部長 今回のバス路線の再編整備につきまして、大江戸線全線開業に伴いまして大きな影響を受ける路線を中心に、鉄道との競合状況を中心に、乗客潮流の変化、あるいはご指摘の事業の採算性等も踏まえながら路線再編整備計画を実施させていただいたところでございます。


◯曽根委員 そうだと思うんですね。私、例えば通院にかけがえのない路線であっても、一日に数百名の乗客であれば、それはやっぱり採算問題というのが出てくるということで、例えば茶51なんかは対象になったのかなというふうに思うんです。
 それから、前々からの鉄道との競合についても検討したというお話でしたが、この間見てみても、茶51の乗客は、南北線が開通したり、その他の鉄道の影響がずっと継続的にあったと思いますが、しかしそんなに乗客は減っていないわけです。そういう意味では、安定したバス路線をどうしてこのように簡単に切られるのかなというふうに思います。
 実情を伺いますと、確かに地下鉄に乗りかえなければならないので、そちらに乗りかえた人もいるんですけれども、例えば王子駅から駒込間、地下鉄でいうと、間に西ヶ原駅一駅しかありませんが、バス路線でいえば四つか五つの停留所があったわけです。桜の名所の飛鳥山公園、それから養育院の生みの親である渋沢栄一の史料館、それからゲーテ記念館、滝野川会館という北区の会館、それから今バラで有名な古河庭園、そういうところをずっと通ってこのバスは駒込駅に行くわけです。それが全部なくなっちゃった、停留所がね。
 ですから、お年寄りだけの問題ではなく、非常に都内の、ある意味で都民に親しまれる場所をつないでいた大事な路線が、こうやって簡単に切られていっていいものだろうかなと大変疑問を持っています。
 それで私は、ぜひ必要な路線は、一たん切ったものでも復活をするということも考えていいんじゃないかということを前々からいっているわけですが、例えば採算の問題も、私はいろいろ工夫のしようがあると思うんです。例えば渋谷からの系統が切られるときには、渋谷につながっているほかのバス路線もいろいろあると。そこを若干でも延長すれば路線全体としての採算を維持できるのであれば、ほかの路線につなげて使うことできないだろうか。これは私、素人なのでどこがどうというふうには余りいえませんけれども、そういう工夫の仕方はいろいろやっておられるんじゃないかと思うんです。
 それで、私はもう一つの方法として、地元の自治体との関係で、例えば区議会で、今回、港、新宿などで、何とか考え直してほしいという意見書も出た。行政の方も、やっぱりバス路線なくなると困るといっている。だったらば、それを残すために、お互いにどういう努力ができるんだろうかというような検討があったっていいじゃないかと。もうどうしても東京都が無理ならば、そういうことだって検討できるんじゃないかというような話も出たというふうに聞いているんですが、その点での交通局の姿勢はどうなんでしょうか。


◯坂本バス路線再編成・事業活性化担当部長 区ですとか地元自治体から、コミュニティバスですとか、地元からそういうような運行依頼があった場合につきましては、既存路線との整合性あるいは採算性等を勘案しながら、運行に当たっての条件整備を含め協議してまいりたいと、こういうふうに考えております。


◯曽根委員 どうしても難しいということであれば、いろんな方法を探っていかなきゃならないという場合もあり得ると思うんです。そのときに、もう最初からかたくなにだめなんだという態度をとらないでいただきたい。いろんな場合を検討してやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 それから、開通した大江戸線について一点だけ。
 つい最近、私たちは来年度予算の編成に向けてのいろんな団体からの要望を聞いているんですが、その中で脊髄損傷の障害者の団体の方々から、交通バリアフリー法、先ほど中村委員からもお話がありましたが、そういう法律もできて、それに基づいて改善を進めてほしいと、福祉のまちづくりで頑張ってほしいという要望が出ました。
 それで、この法律や福祉のまちづくりに関して、一体今、具体的にどういう点困っていますかと、そういうお話を聞いていた中で、大江戸線に乗ろうとしたときに、車いすで乗り込むときの、ほかの鉄道では渡し板というのがあるそうなんですよね。それが大江戸線の、たしか新宿駅だと思うんですが置いていなかったと。それで大変不便をしたので、これは大した費用がかかるものじゃないと思うので、大江戸線全駅にぜひ置いてほしいというお話がありました。
 それでお聞きしたんですよね。そうしたら、大江戸線の中でも置いている駅もあるということなので、これは要望としては全駅に置いてほしいということなので、そんなに難しいことではないと思いますので、実施していただければと思うんですが、いかがでしょうか。


◯齊藤電車部長 大江戸線での渡し板の設置の件でございますけれども、大江戸線は車両とホームの段差が五センチ以内ということもございまして、車いすでの自力での乗降が可能、こういうようなことから、現在、練馬駅と落合南長崎駅以外には設置をしてございません。
 なお、係員に申し出ていただければ、車いすでの乗降のお手伝いをしているところでございます。


◯曽根委員 新しい駅で、新宿や都庁のところを見たんですが、確かに間が狭いので、昔のように大きな車輪の車いすであればそんなに問題にはならないのかなと。ところが、脊髄損傷の方々もそうなんですが、今自力でまちに出かける障害者の方はほとんどが電動車いすを使っていて、その車輪というのは直径が二十センチぐらいしかないんですよね。それから、前方の足のところについている車輪はもっと小さいわけです。したがって、ちょっと車輪の角度が変わって、その五センチ程度の溝にもはまってしまう危険性がないとはいえない。そこを心配されているらしいんです。
 したがって、これは、これ以上は現場でよく障害者の話を聞いていただきながら、どういうふうにする必要があるのかということを検討していただきたい。必要ならば、ぜひ設置をしていく方向で考えていただきたいんですが、その点、当事者との話し合いをやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。


◯齊藤電車部長 これまでも障害団体の皆様方とは意見交換や現地調査を行ってまいりました。
 大江戸線での渡り板の配備についてでございますけれども、先ほどご答弁いたしましたように、大江戸線の直線駅におきましては、車両との段差が五センチ以内というようなこともありまして、現時点では配備を予定しておりませんけれども、引き続きまして障害団体の皆様方のご意見もお聞きしながら、便利で快適な大江戸線を目指し対応してまいりたいと思います。

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