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浪費型オリンピックのウラオモテ9−1002 レポートNO.69

開催都市決定直前の都議会質疑
9・24オリンピック・パラリンピック招致特別委員会質疑要約

●東京のファイルに2つの厳しい指摘・・評価委報告書

○たぞえ委員 開催都市決定直前の委員会だが、日本共産党の見解も示しながら質疑する。
 都がオリンピック招致の「動機」に掲げたのは、現都政がめざす「都市計画戦略」という政治目標にオリンピックを重ねること。
 このことは、立候補ファイルにおいて、オリンピック招致が、都市再開発を中心とした「10年後の東京」計画と「一体である」ことにも現れている。
 シドニーの「自然との調和、選手が主人公」、北京の「ひとつの世界、ひとつの夢」などと比べ、東京の外環高速道など9兆円もの税金投入の開催計画は、あまりにも自己都合の側面が強く、オリンピック運動の目的や、現代オリンピックの課題解決という点から見てもふさわしくない。
 そのことに都民から批判まきおこり、都民の支持率が55・5%と低く、都民合意が形成されているとはいえない。

 第一に、報告書について伺う。
 IOC評価報告書は開催都市が決定される重要な文書。報告書は総括として、リオデジャネイロは「詳細で質は非常に高い」に比べ、東京は「得られた情報は質の高いもの」と述べた。一方、支持率ではリオは、84.5%で「強い支持を得ている」と評価し、これにたいして東京は55.5%で「相対的に低いという懸念がある」としている。

Ql.さらに「多くの施設が既存施設と記載されながら、実際には新規で建設する必要があることがわかった。明瞭さが欠けている」と指摘している。どういうことなのか。

○オリンピック招致本部 新設会場と分類された6会場について、東京は、大規模なものを含め恒久施設工事が必要との認識に基づき、整備計画、建設費用等の必要事項をすべて立候補ファイルでオープンにしている。今回の指摘は分類の問題であり、追加的な施設整備などの計画変更は生じない。

○たぞえ委員 分類の問題と言うが、辰巳の水泳競技場計画も、実際には、既設の水泳場のとなりの海浜公園に新たにプールを建設する計画であるのに、既存施設とする方便は、ごまかしだ。
 招致賛成の人には、新しい施設はほとんど作らないという認識の人も多い。立候補ファイルにごまかしで記載したことは明らか。

 報告書は、選手村の敷地の狭さへの懸念、ホテル客室はより高い料金に直面する、大きな魚類市場に近接し、交通の流れと騒音が指摘されるなど、立候補ファイルそれ自体に無理とごまかしが霹呈した。欠陥ファイルがきびしく批判されている。この事実を受け止めるべき。

●オリンピック精神無視の時代錯誤の戦争感覚や、税金ばらまきの大騒ぎ

第二に、支持率に直結している招致活動の在り方を質す。

Q2.招致委員会が17日におこなった出陣式で、日本体育協会の森会長は、乾杯の前のあいさつで「出征兵士の気持ちで、千人針をしっかり腹に巻いて、負けたら掃ってこんぞという気持ちでいってほしい」と発言したが、「強い思いの言葉」をこえてあまりに時代錯誤的な感覚ではないか。

○オリンピック招致本部 「ぜひとも招致を勝ち取って帰りたい」との強い思いをご自身のお言葉
で表現されたものと認識している。

○たぞえ委員 五輪招致は戦争ではない。招致の中心を担う人が戦地に行く感覚では、看板に偽りありと言われても仕方ない。選ばれなくとも、健闘をたたえ合う五輪精神を発揮すべき場ではないか。

 招致を盛り上げるねらいの、62区市町村のイベント、ムーブメントについて、一律一千万円を上限に支出しているが、九月末までに支出するイベントは139回、昨年度の九月末までの24回に比べて断トツ。すでに、九月上旬までに1億5600万円執行。オリンピック招致だけのバラマキは、自治体の自主的な住民参加活動を歪める。
 今年四月に開催した「たいとうオリンピック・アスリート・イベント」は、関心を効果的に高められるとして、台東区と東京都が共催し、招致応援党の街頭演説会、シンポジウム、エイサーなどの踊りで四時間。

Q3.四人のパネリストがオリンピックの体験談などを語るシンポジウムだが、いくらの謝金を出したのか。

○オリンピック招致本部 この事業においては、シンポジウムにパネリストとして出演した4人の
オリンピアンに加え、司会者謝礼も含めた謝金、打ち合わせなどの拘束時間分、交通費などの諸経費を含め、145万円である。

○たぞえ委員 1人当たり約30万円以上。宣伝カー運転手日当5万円、総額で393万円。事業費は全額東京都の委託金。世間相場から見ても異常な振る舞いではないか。

 招致を盛り上げるなら、本来ボランティアで立ち上げていくことにオリンピック精神があるのではないか。他にも綱引き大会、ほおづき市、三宅島の浜辺掃除など、昨年実施していなかったイベントに次々と税金投入。
 開催都市決定後の10月2日以降、仮に選ばれなくとも、イベントが繰り広げられるのは、税金バラマキそのもの。再検討すべき。

●最初から最後まで電通まかせ

Q4.最後に、昨日23日に開催した都市決定応援大パレードについて。私が現場で聞き取り調査した中で「盛り上がっていない」と沿道の方は語っていた。効果は疑問だが。

○オリンピック招致本部 IOC委員に対して、直近の盛り上がりや招致活動の情報提供を行うことは非常に重要なこと。これまでも、8月のガンダムプロジェクトや17日の出陣式などを実施してきた。その集大成ともいえるパレードについては、国民・都民の招致気運・開催熱意の盛り上がりを国内外のマスメディアのアピールし、報道を通じてIOC委員へ国民・都民の招致への熱い思いを訴えていく。

Q5.パレードの運営はどこに委託したのか。

○オリンピック招致本部 企画は、招致委員会及招致本部である。企画に基づきパレードの運営を電通に委託した。

○たぞえ委員 またも電通。最初から最後まで大手広告企業に首をにぎられてきた招致活動。
 都民が望んでいるのは莫大な税金をかけた大騒ぎより、くらしのレベルを引き上げ、開催都市と名乗るにふさわしい、生活都市東京をつくりあげること。
 今、都政に必要なのは、スポーツ施設の整備や恒久的な競技者支援を中心としたスポーツ振興の展開を軸に、オリンピズムの根本精神の実現を第一としたオリンピック運動に取り組んだ上で、大会招致については、簡素で、住民の生活向上とあわせて開催される大会のあり方を提案しながら、広範な都民の議論のもとで再検討すること。

 わが党は、2016年のオリンピック競技大会開催都市として東京都は不適切であり、10月のIOC総会で開催都市に選出されるべきではないと考える。

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