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【レポートNO.15〜06・8・31】
オリンピック候補都市の国内選考結果について
●都議団として、以下の談話を発表しました。

オリンピックの国内選考結果について

【レポートNO.14〜06・7・28】
◎議員連盟のオーストラリア視察の記録から

「反対世論はオリンピックに反対ではなく行政に反対している」「関係団体の批判を聞き招致の味方にする努力が必要」
などのアドバイスに石原都政は学べるか?


●先日、オーストラリアの友好訪問に同行した議会局の職員が、シドニーでのオリンピック招致責任者のプレゼンテーションや施設見学の記録を持ってきてくれました。
 内容はまた詳しくお知らせする機会があると思いますが、現地でのシドニー五輪のジェネラルマネージャーとのQ&Aが極めて印象的だったので、その部分だけ以下に紹介します。

7月3日、シドニーのオリンピックパーク公社で行なわれたシドニーオリンピックについてのプレゼンテーションの質疑応答から

(質疑応答)
Q ボブさんの仕事は何ですか?

A シドニーオリンピック招敦会社のジェネラルマネージャーでした。
 招致会社は、州知事がトップ。15人が州から派遣され、合計60名。そのマネジメントグループのジェネラルマネージャーでした。

Q レガシーが重要なポイントですか?

A そうです。
  オーストラリアはメルボルン、ブリスベン、シドニーと3回続けて立候補し、2回失敗し、3度目でシドニーが開催都市に選ばれた。激しいロビー活動をした。2度の失敗から学ぶことが大切だった。東京も、名古屋、大阪の失敗理由を学習しなければならない。

Q まちの開発にどうやって取り組んだのか。そのコストは?

A オーストラリアは、3層の連邦。国一州(ニューサウスウテルズ州)−市(シドニー市)になっている。
  このうち州が中心になって、施設建設、空港のアップグレード、高速道路の建設などのインフラ整備を行ったが、その費用は政府の予算に組み込まれた。空港のアップグレードはとても大切。セキュリティのアップグレードも大切。シドニー市は、歩道を広げるなどの市の施設のアップグレードを行った。

     
※ 前日の自治体国際化協会シドニー事務所長の説明
     によれば、オーストラリアの行政の中心は、州であり
     市の権限は著しく小さい。また、州の歳入の約5割は、
     連邦からの交付金である。


  まとめ役が重要。インフラの整備、道路、照明のアップグレード、公共の場の拡充など、色々なことが時間どおりに行われるようにしていく必要がある。例えば、シドニーでは、水道が出るように水圧を高くしたり、開催期間中に故障があれば、修理がすぐにできるような体制を整えた。

Q 地域住民からの批判はなかったのか。その対処は?

A 批判はあった。招致プロセスにおいて、コミュニティの重要なところには全てアプローチした。例えば、環境団体やスポーツ協会など。
  弱みを強みに転換する。例 農業の祭典の会場がない。→新しい場所をつくった。
  インフラ予算への批判はあまりなかった。インフラ整備より、組織委員会の運営費が批判された。チケットに係わるマーケテイングや汚職やオリンピックの収益そのものが批判の対象になった。

Q オリンピック招致の最大のポイントは?

A 全ての関係者にべネフィットがあることをアピールする。オリンピックそのものに反対なのではなく、オリンピックを道具にして抗議をする団体、例えば、オリンピックよりも環境対策や公共住宅が必要だという批判する団体があるので、批判自体に耳を傾けること、全てのコミュニティを招致プロセスに取り込んでいくことが必要。

●この中で重要な幾つかの教訓を彼は語っています。
 
議会局職員のメモによるまとめなので私の記録と若干ニュアンスは異なりますが、私が感じたポイントは次の点です。
 @オリンピック招致は国内とともに国際的にも10年以上にわたる非常に地道な努力が必要で、これまでの失敗経験都市の教訓から謙虚に学ばないと成功しない。

 Aシドニーでは、あとに「レガシー(遺産)」として残るようなオリンピックのインフラ整備をやり、市民に理解されるよう歩道や農業施設など、くらしや営業に役立つものもとり入れたのでインフラ自体には批判は少なかった。
 (ちなみにオーストラリアは地震の心配が無く、施設整備は東京よりはるかに低コストで、土地の心配が無いので住宅立ち退きなどトラブルも少ない)

 B反対運動はオリンピック自体ではなく行政のやり方のどこに不満があるかをつかみ、「弱さを強さに転換」させ味方にしていかないと、大きな反対世論を抱えたままでは国際的に通用しない。

 C連係プレーをきちんととって何があってもすぐ対処でき、不正やムダを許さない、国や地域はもちろん仲間内にも信頼のある優れたまとめ役(ジェネラルマネージャー)が必要。

●石原都政ではどうなるか・・。
 
@については、オリンピック基金で金持ちぶりを見せつけ、世界に冠たる日本と東京の「国威発揚」とまで言い切る石原知事に、他の都市から謙虚に学ぶことができるだろうか。たとえば2年後の北京に対してはどうか・・。ロンドンも都合の良いところだけ利用するのでなく、脱環状道路政策や低所得地域対策、外国人受け入れ政策など学んでいるか。

 Aについては、歩道が狭かったり無かったりする道路事情を抱え、高速道路には莫大な費用と住環境破壊が伴う東京で「3環状最優先」で押し進めれば、借金と後年度のメンテナンス負担と地球温暖化・ヒートアイランドなど以外に、何をレガシーとして残せるのか。

 Bオリンピックでなく石原流の招致を批判しただけなのに、「後で吠え面かくな」とまで罵倒される都政で、国際競争に勝てるのか。

 C今度都庁に復活した人物が、実質的に招致運動の「まとめ役」になるとしたら、都庁の一般職員だけでなく多くの心ある幹部職員が知事からますます遠ざかっていくことは間違いない。


●私が見る限り、我々がシドニーで学ばされたのは、東京都政がいますぐスッパリと生まれ変わりでもしなければ、遠からず国際舞台で赤っ恥をかくことになるだろうという重い真実だったように思います。

【レポートNO.13〜06・7・24】
朝日が土曜版で冷静なモニターアンケートを発表
東京派と福岡派は23%同数の一方で45%は「日本招致やめるべき」派

●大新聞では初めてといえる、2016年オリンピック招致についての世論調査が出されました。
 朝日新聞の土曜版「Be」に掲載された下の記事です。朝日の読者モニター2700人あまりから意見を募ったもの。

●興味深いのは、福岡と東京それぞれ同数なのに加えて、2016年に日本で開催すること自体に賛成しない回答が、東京・福岡の合計とほぼ同じだったという点です。

 これだけ両市が宣伝合戦をやっていることを考慮すれば、世論は極めて冷ややかだと言えるでしょう。








【レポートNo.12〜06・7・23】
いきなり発表!浜渦氏の都庁返り咲き
知事はオリンピックのためというが”強権政治の闇の帝王”がなぜ平和とスポーツの祭典に不可欠なのだ?

●石原知事は、21日の定例記者会見で、知事の腹心だった浜渦前副知事を、7月20日付で「参与」に任命したことを公表しました。公表の仕方も唐突で、記者会見でMXテレビの「浜渦氏更迭から1年になるが」と水を向けるような質問に答える形でいきなり発言したもの。
 そこで知事はさんざん浜渦氏を持ち上げ、「(国に)都の意向を伝え、国側の本当の意向を探り、調整する能力のある人間は他にいない」と述べて、その後実際に下記のような委嘱文書が明らかにされました。

●しかし、参与の任務は「知事への専門的な立場からの進言・助言」であり、国との調整や交渉・連絡は本来副知事の役割です。つまり参与任命の規則を逸脱していることにもなり、現3名の副知事は何をやっているのかと言っているのと同じことになるんじゃないでしょうか。
 現副知事のうち2人は昨年それぞれ辞表を突きつけて浜渦氏更迭の一つの契機となった経緯がありますが、今回は沈黙を通すのでしょうか。

●ふがいない点では都議会与党の自民と公明も同じです。昨年、都議選直前まであれだけつっぱって知事に浜渦氏を切らせておきながら、わずか1年でその復活を認めてしまうとは・・。

 結局、オリンピック招致で福岡にさえ旗色が悪いだけに、水面下の交渉に長けた浜渦氏が、これから8月末の国内候補決定までの国や関係団体への工作とか、国が認めていない外環道路をオリンピックを梃子に早く容認させ、財政も引っ張り出すのには不可欠で、背に腹は代えられないという事なのか・・。いよいよ浪費型オリンピックの”毒を食わば皿までも”になりつつあるようです。
 民主党は昨年、浜渦氏をあれだけ擁護した立場ですから、何をかいわんやでしょう。
 これほど筋の通らない人事なのに、都議会で浜渦氏の都庁復活を厳しく批判したのは、現在のところ日本共産党都議団だけです。

●知事本局の発表文書は以下の通り
                      知  事  本  局
                      平成18年7月21日

      東京都参与の選任について

 このたび、東京都参与について、下記のとおり選任しましたので、お知らせいたします。

              記
 1 参与の役割
  都政の様々な課題について、専門的な立場から知事に助言・進言を行う。

 2 参与の氏名及び現職
  濱渦 武生(はまうず たけお)
  株式会社 東京交通会館 代表取締役・取締役副社長

 3 委嘱分野
  国、関係機関との交渉及び連絡・調整

 4 任期
  平成18年7月21日から平成19年3月31日まで


【レポートNO.11−06・7・21】
あとでペンペン草が生えてもとりあえずは経済効果!?
都が東京オリンピックの経済波及効果を試算・発表

●都は7月20日のオリンピック招致への「都民集会」で、石原知事自身が以下のような東京オリンピックの経済波及効果の試算結果を発表しました。

●需要増加額の中には、一般家庭がオリンピックを見るために買うであろう大型テレビの売上増加分などとともに、おそらく大半が税金で建設されるメイン施設等の整備費5000億円が含まれ、選手やオリンピック関係者の日本滞在費や交通費なども含まれています。
 現実に心配されている、晴海のメインスタジアムはオリンピック開催後、使い道が無くぺんぺん草が生える危険性があっても、とりあえずそれにかける建設費が支出されれば全て経済効果になるという計算です。

●さらにあいまいなのは、生産誘発額という概念。オリンピックに伴って民間事業者がホテルを建てたり、観光業者が新たな事業を起こしたりする経済効果だというのですが、こうした事業が既に十分すぎるほど発達している東京で、いったい新たにどれほどの事業が生まれるのか疑問です。

●発表文書の最後の※しるしのところに書かれている「道路等のインフラ整備」とは何かについて、一部の新聞には、「環状道路などが含まれる」と報道されました。
 そうだとすれば、わが党が”浪費型オリンピック”だと指摘している7兆円超の投資が全て、逆に「経済効果」として計算されていることになりますが、オリンピック招致本部の担当者によれば、「3環状道路などはオリンピックにかかわらず整備するものなので含まれない」そうです。
 「それじゃ具体的にどの道路をさすのか」と聞くと、「今のところ具体的には無い」と言うのですから何だかわけが分りません。例えばと言って担当者が挙げたのは「オリンピック会場と既存の施設や道路をつなぐため新たに整備されるアクセス道路など」だそうです。

●いずれにせよ私が見るところ、この計算方法なら埼玉県の北部や茨城県の海ぞいあたりでオリンピックを開いたほうが、新たに膨大な施設・道路の建設やホテルその他の事業が必要になるので、東京よりはるかに経済効果が発生するということになるんじゃないでしょうか。しかしその効果と、後にぺんぺん草が生えるかどうかは、全く別の問題と言えるでしょう。

 ◎ページNO.2の7月15日から7月20日のレポートはここから

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