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はじめ通信9−1026
「民営化の嵐の中の北区の病院」

民主党政権の「社保病院公的存続」の説明文書が発表されました

●10月21日、厚労省前で要請と申入れの集会に参加したそねはじめ都議は、厚労省が発表した、社会保険病院の受け皿となる「独立行政法人地域医療機能推進機構」の、法案説明資料を入手しました。

これによると、新機構には、社保病院など以外の公立や国立病院のネットワークを推進する役割を持たせ、社保病院をその中核として位置づけるとしており、これまでのように社会保険庁の保有する病院を、全国社会保険事業連合会(全社連)などに運営委託してきた、「公的な病院」から、保有も運営も新機構が直接行なうという、より公的性格のはっきりした「公的病院」とすることが示されています。

●東京北社会保険病院について、どういう形態になるかは今後の課題ですが、地域住民や北区などの要望や意見が尊重されるのは当然でしょう。
(写真は、10月18日、社保病院存続させる会の皆さんと宣伝するそねはじめ前都議)

 以下、説明資料を紹介します。

独立行政法人地域医療機能推進機構法案
      <説明資料>

平成21年10月19日 社会保険庁


社会保険病院・厚生病院・船員保険病院の今後の運営体制

1.病院の設置経緯

(1)社会保険病院(53病院)や船員保険病院(3病院)は、主に昭和20年代に、政府管掌の健康保険・船員保険の被保険者の保険診療を確保するために整備。厚生年金病院(10病院)は、障害者年金受給者のため、整形外科、リハビリ等を中心に整備。

(2)社会保険病院、厚生年金病院とも、設置当初の目的はおおむね達成。
 現在、社会保険病院の多くは地域医療を担う役割、厚生年金病院は、リハビリに特化している側面はあるものの、おおむね同様の事情。

2.病院の整理合理化の経緯

(1)社会保険病院及び厚生年金病院については、平成14年の医療保険制度改革及び平成16年の年金制度改革時において、厳しい保険財政の状況等を踏まえて、それぞ整理合理化を図ることが求められてきた。
(2)特に、厚生年金病院については、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(略称「RFO」において)全部譲渡することとされた。

※平成17年の法案審議の際、衆議院厚生労働委員会において「地域の医療体制を損なうことのないよう」すべき旨の附帯決議がなされた。

3.病院をめぐる状況の近年の変化

(1)昨今、坤域の医療不足などを背景に、地域において急性期医療や産科、小児科等を担う医療機能の確保が困難になっている状況が深刻化しており、社会保険病院や厚生年金病院の地域医療を担う機能の維持が求められる。

(2)こうした中、社会保険病院等の保有者である社会保険庁の改革が進んでおり、平成20年10月に全国健康保険協会が設立された際に、社会保険病院・厚生年金病院のすべてを独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資した。

※船員保険病院は、現在も船員保険の保険者である社会保険庁が保有。

【参考1】厚生年金病院及び社会保険病院に係わる民主党方針の経緯

○ 2009年2月18日 民主長「厚生労働部会」
 次の内容で決定
 『社会保険病院(看護学校、老人保健施設も一体と捉える)及び診療所(2か所)を「全国健康保険協会」に移管し、厚生年金病院(看護学校、保養ホームも一体と捉える)は、国立病院機構へ移管する。』

○ 2009年2月18日 民主党「次の内閣」
 独立行政法人国立病院機構のあり方などの観点から検討が必要との意見が出され、行政改革部門と厚生労働部門で調整を行なうこととなった。

○ 2009年6月16日 議員連盟「民主党医療再建議員懇談会」役員会
 次の内容で決定
 『社会保険病院等と厚生年金病院等を合わせて1つの組織とし、「地域ごとに医療機関を機能別に区分して配置し、地域完結型ネットワークシステムを形成する。」という民主党の将来構想を見据え、将来的にはそのネットワークの中核的存在になるという位置づけとする。新組織は、医療法上の「公的医療機関」とする。』

○ 厚生労働部門と行政改革部門で調整を行い、新組織の性格は「民主党医療再建議員懇談会」案とし、新組織の形態は独立行政法人とすることで合意。

○ 2009年7月1日 民主党「次の内閣」
 民主党政策集「INDEX2009」に【参考2】の内容を盛り込むことで決定

【参考2】総選挙 与党マニフェスト等の社会保険病院等関連部分の抜粋

<民主党>(政策集INDEX2009)
○ 現役医師の有効活用策で医療従事者不足を軽減
 厚生年金病院及び社会保険病は公的に存続させることを原則に、新たに「地域医療推進機構(仮称)を設置して、両病院の管理、運営に当たらせます。

○ 地域医療を守る医療機常を維持
 4疾病5事業を中核的に担う公的な病院(国立・公立病院、日赤病院、厚生年金病院、社会保険病院等)は、政策的に削減しません。

<社民党>
○ 地域 元気でゆたかな地域へ
 国公立病院、厚生年金病院などの公的病院の統廃合・民営化は行なわず、小児・産科・救急等の地域医療を守ります。


【参考3】社会保険庁の組織改革と病院等の関連



独立行政法人地域医療機能推進機構法案のポイント

@ 法案の趣旨

 社会保険病院・厚生年金病隣については、社会保険庁から(独)年金・健康保険福祉施設整理機構
(RFO)に出資されて運営しているが、地域医療に貢献しつつ安定的な運営が図られるよう、病院
売却を進めるという従来の方針を転換し、RFOから引き継いで新たな受皿となる(独)地域医療機
能推進機構を設立する。

A 新法人の概要

 名称  独立行政法人地域医療機能推進機構
 業務  現在の社会保険病院、厚生年金病院及び般員保険病院の3グループ全体を対象とし、新たな機構が保有し運営する病院として位置付ける。

B新法人の設立等

 ・機構の設立時期は平成23年4月1日とし、それまでの間はRFOの存続期限を延長する。
 ・船員保険病院については、平成22年1月1日に、RFOに出資する。
 ・機構は、設立の際に、社会保険病院、厚生年金病院及び船員保険病院をRF○から承継する。
 ・機構は、平成25年3月31日までを準備期間として、それまでの間は病院の運営を従来の特例民法法人に委託して行う。

Cその他

 ・新たな国民負担(税・保険料)は求めない。
 ・これまで国から委託を受けて運営してきた社会保険関係団体の改革を行う。
 ・5年後を目途に機構の在り方について検討を行う

  法律の施行日:平成23年4月1日(一部公布の日)

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