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北区の介護保険の実態8−0817

要介護度の乱高下がなぜおきるか
介護の理念投げ捨て病気治療と同じ扱いに

●8月2日付け週刊東洋経済が、北区の介護保険の実態について、「独自基準を導入して厳格化 大幅な介護度ダウンも発生」という特集記事を掲載しました。
 わが党区議団が、2006年以来厳しく批判し、一部是正もさせてきた”厳しすぎる介護度認定”のやり方について、その過去から現在までの経過について、詳しい取材も行なって報じたものです。

●記事の中に、幾つかの介護認定の乱高下の実例が紹介されていますが、私が見るところ、北区における介護認定の急激な低下、もしくは乱高下には、二つの要因があるように思えるのです。

 共産党区議団が是正させてきた北区独自の認定解釈

●その第一は、05年ごろから、北区が国の介護認定基準のテキストを捻じ曲げ、「独自基準」を採用して、要介護度4や5でなければ、生活に支障をきたす下肢の麻痺はありえないという解釈で、要介護度2や3などにおける下肢の麻痺の認定は、たとえ調査員がそういう調査結果を区に持っていっても、担当者が、それはありえないといって訂正させ、そうすると、認定の「麻痺」の項目ががくんと減って、認定結果自体が要支援の1や2に下がる結果となるというものです。

●この問題は、05年から06年にかけて区民の苦情が相次ぎ、06年の予算議会、6月議会でわが党が取り上げましたが、区は認定の独自解釈はしていないとしていました。次の9月決算議会で、実例を詳しく紹介して、ついに区長が切り下げの実態を認め、是正を約束させたのです。

●区議団はケアマネージャーなど関係者を招いて報告会を開きましたが、参加したケアマネなどから、区議会直後の区主催の調査員研修会では『共産党の言うことなど気にするな。今までどおりの認定が正しい』などと区の担当者が堂々と演説したという衝撃の事実がわかり、事態の深刻さを知ったのです。
 それから12月議会、春の議会、区議会・区長選で繰り返し徹底して論戦し、ようやく区が事実上の是正テキスト文書を出すに至りました。

●それから徐々に認定が是正されてきましたが、いまだに共産党に相談していない人の認定で、ひどい例が出るなど、是正が徹底されているとは言い切れない状態です。
 したがって北区の介護認定の乱高下は、北区の認定改悪による急低下と、それを是正させた結果としての、元の介護度の復活によるものが一つのパターンです。

 もう一つの改悪は医療と介護の根本的ちがいを無視したもの

●ところが乱高下は、それだけではなかったのです。他区から転入した人で、要介護度2から、北区で要支援2に下がり、翌年の認定で要介護度2に戻ったものの、最近の認定で、またまた要支援という人が出現したのです。
 これは、北区の認定が、麻痺の認定の独自解釈のみならず、介護というものの本質をわきまえず、機械的解釈で、病気治療と同じにみなすという重大な問題点も併せ持っていることを如実に示すものだと、私は考えています。

●実例は、桐ヶ丘でたまたま私が別の用件で訪ねたAさん宅での話です。
 訪問したとき、Aさん本人はデイサービスに行って不在でしたが、夫人が経過説明では、他区で要介護度2の認定を受けていたAさんが桐ヶ丘団地に転居して認定を受けると要支援の2に。
 今までの介護サービスが切られ、月にわずかの「いこいの家」(介護以外の人がバスで入浴サービスに行く)に切り替えられ、夫人も要支援認定を取って抱えるようにバス停につれていくことに。

●あまりに無理があるため、認定のやり直しも考えているうちに、次の認定では、本人の状態が悪くなり、介護サービスの頃、できるようになっていた伝え歩きもできなくなっていたため、調査員も北区も介護が必要と認めて、要介護度2に復帰しました。

●しかし、半年後の認定調査に来た調査員が、「ハイ、ずいぶん回復してますね」と言って帰っていったというのです。
 夫人は、このままでは再度認定が引き下げられると心配しています。

●この認定方法は、明らかに介護を医療と同様に見て、一定の介護サービスによって、本人の状態が改善し、車椅子だけだったのが、伝え歩きも可能になったときに、「それでは要支援に」として、介護サービスを打ち切ってしまうという、病気治療と同じ基本で対応しているのですが、治療によって健康体に回復すれば治療は終了できるのに比べて、介護サービスは、それによって運動機能が回復し、寝たきりを克服しつつあるように見えても、それは、介護サービスを維持しているからこそ残存体力を本人がより活用しやすくなっているのであって、サービスを打ち切れば、元の木阿弥か、さらにひどい状態に陥る場合が多いことは、介護の常識ではないでしょうか。
 北区の認定は、認定基準の機械的適用によって、そうした介護の根本的な理念を投げ捨てつつあるのではないでしょうか。

●東洋経済の記事では、北区が認定調査の際にケアマネージャーの立会いを一切拒否しているやり方などは、他の自治体にも広がっていく可能性が強く、認定引き下げにつながっていく危険があることを指摘しています。
 私は、もっと言えば、介護ケアの専門家を認定の現場から排除し、「認定調査の専門家」だとする調査員だけで判定させるというやり方のうらには、「正確な認定」を金科玉条にしながら、介護を受けるのが、介護のありようにより状態も変化する高齢者なんだという実態を黙殺し、高齢者の現状のみを見て、機械的な基準のあてはめだけを重視する非人間的やり方を普遍化していこうという、どすぐろい意図を感じてしまいます。
 改めて私は、「北区の介護認定は、介護保険崩壊の一里塚だ」と訴えたいのです。

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