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はじめ通信7−0711

足立区の教育関係者はみんな知っていたS小学校の”学テ”対策
やったことは40年前と全く同じ”足切り”と”田植え”だった

●「ついにでたか」との思いは、都の教育関係者の誰の胸にもよぎったに違いありません。
7月8日の朝日や東京の紙面に、足立区立のある小学校の校長をはじめとした学力テストでの不正が報道されました。

●報道によると、この小学校では、06年の区独自の学力テストの際に試験を受けた障害児3人を集計からはずして平均点を上げようとしたこと、また校長から指示を受けて、教員が間違った答えを書いている子どもの机を回るときに、指差しで気づかせる不正を行なっていたことが、教員らの証言などで明らかになったということです。
 このほかにも、前年度のテストと大部分同じ問題が出ると予測して、こっそり写しておいた過去問題を繰り返し子どもにやらせていた事実など、限りなく不正に近い行為も行なわれていました。

●ところが問題は、第1に、区の教育委員会が、受験した子どもの一部の点数を集計からはずすことを、家族の了解さえあれば認めていたかのような、学力テストの本来の目的に完全に外れる、競争に勝つためのズルを公然と認める趣旨の弁明をしたことです。
 また第2に、教員の証言があるにも拘らず、指差しの事実を認めず、区教委が独自に調査する意向を示したことです。今の状況では、よほどプライバシーの保障がない限り、教育委員会が調査しても教員が不利益な証言をする保障がないぐらい誰にも明白でしょう。

●そしてこのS小学校の問題は、既に足立区の教組の方々を初め、多くの関係者が多くの場面で証言し、半ば公然の秘密として、多くの方々の知るところだったのです。
 一例として、先月発行された教育雑誌「クレスコ」の7月号には、足立区の教員の方が勇気ある証言をしています。

●足立区長に新たに当選した近藤やよい区長は、学力テストの結果をもとに、予算配分にまで差をつけるという足立区のやり方には疑問があり、見直しも検討すると表明せざるを得ませんでした。
 しかしこれは大なり小なり、全都全国に蔓延しつつある、新たな教育基本法の根幹を成す競争主義の教育理念と、いっせい学力テストの下で、どの学校でも起こりうるし、現に起こっている可能性がある問題です。

●40年前強行された学力テストでも、今回と全く同じ、成績の悪い子を休ませたり集計からはずす「足切り」や、テストのときに担任が机の間を回って指をさして回る姿をもじって「田植え」という行為が全国で行なわれたため、弊害が問題となって間もなく中止に追い込まれたのです。
 いったいこの国の教育は、何度同じ過ちを犯し、どこまで子どもたちを傷つけたら、競争主義の過ちに気づくのでしょうか。
 そしてこの問題を殆どのテレビが無視し続けていることが、私は不気味でなりません。

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