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はじめ通信11−0131
共産党都議団の調査・追及なしには書けなかった石原都政暴露本

●半月ほど前に、わが都議団のたぞえ議員から、都議団に取材に来ていたジャーナリストによる石原都政暴露本が出たといって紹介されたのが、「黒い都知事 石原慎太郎」というノンフィクションで、これまで関西方面で同和利権や政治腐敗を追跡してきたという一ノ宮美成氏らのグループがレポートしたものでした。

●「石原知事をめぐる”カネ”と”カネづる”の問題について徹底的に追跡した」という著者の前書きでしたが、読んでみて驚いたのは、共産党都議団が調査し、議会質問や記者会見でとり上げた問題が無数にちりばめられ、重要な部分の大半を占めていたことでした。
 まさに悪戦苦闘しながら石原知事と真正面からたたかってきた共産党都議団の奮闘あればこそのノンフィクションだといえます。

●驚いたふたつめは出版が「宝島社」、印刷が「サンケイ総合印刷」だという点です。だからこそこの本は教育問題や憲法問題などでの石原知事の暴言や悪政はいっさい取り上げておらず福祉切りすて問題もわずかです。
 それにしてもフジ・サンケイグループ企業からこうした本が出されたことに特別の政治的背景を想像したくなるのは私だけではないと思います。

●共産党が議会で取り上げた石原スキャンダルといえば私・そねはじめもずい分関わってきたので、そのうちどれぐらい盛り込まれているか、つい数えてみようかという気持ちになりました。
 以下、この著作の中で、誰でも知っている事実は別にして、共産党が追及した事実やその中で私自身が追及したことをあくまで個人的な記憶でリストアップしてみますが、果たしてどれぐらいの項目になるでしょうか。< >内の数字が、私が追及した問題の番号です。

(1)水谷建設の元会長が銀座の高級料亭で石原知事らと会食(p15)
(2)羽田空港に桟橋で第4滑走路。都が必要ない1千億円を負担(p25〜28)
(3)秋葉原ITセンターを鹿島が事実上無競争で落札(p31)
(4)水谷功氏らが石原知事に2千万円贈呈した「森伊蔵疑惑」(p33)
(5)都が設置した専門家会議の土壌調査で豊洲の再汚染が明らかに(p52)
(6)石原知事が五輪招致で羽田から築地まで海底トンネル構想(p54)
(7)<1>08年豊洲再調査で4・3万倍のベンゼン860倍のシアン検出(p56)
(8)<2>東京ガスの「豊洲工場の汚染はない」との説明を元社員が否定(p58)
(9)豊洲の高濃度汚染は「地面でタール処理した場所」と証言(p59)
(10)都の技術会議による微生物や加熱、洗浄処理は既に失敗した方法(p61)
(11)ベンゾピレンが高濃度で発見されながら専門家会議に報告されず(p62)
(12)<3>都が否定した「不透水層」の中までの汚染が明らかに(p62)
(13)不透水層を貫く多数の杭や上下水道管が存在していた(p63)
(14)不透水層は豊洲の地下で連続しておらず不連続部分があった(p64)
(15)豊洲の用地は液状化の危険が高いことが隠蔽されていた(p65)
(16)豊洲の対策は再汚染の危険高く本来は4〜5千億円かかる(p66)
(17)汚染対策実証実験で実験前のデータを隠す情報公開のごまかし(p70)
(18)「4・3万倍のベンゼン無害化」はうそで実験前は2・7倍だった(p70)
(19)ダイオキシン検出の都の盛り土が陸軍毒ガス研究所跡からと判明(p71)
(20)築地市場の移転話は元々JAPICの利権がらみ構想だった(p72)
(21)築地市場関係者に環2など道路計画を隠して移転をおしつけた(p72)
(22)豊洲市場は物流センター化し大手優先で中小仲卸は排除される(p73)
(23)現場業者が反対しても本部が賛成する背景に都のOBの天下り(p74)
(24)<4>都と東京ガスの豊洲売買契約の立役者は浜渦(当時)副知事(p74)
(25)<5>豊洲手放す代りに区画整理で東ガスは一等地を獲得(p75)
(26)<6>東ガスは、当初は「豊洲の汚染」理由に売却を拒んでいた(p76)
(27)<7>豊洲購入は「土対法」改正前の駆込みで調査をすり抜けた(p78)
(28)豊洲新市場は、PFI方式やめ突然直営に。(p80)
(29)石原都心再生構想の下敷きはJAPICの「マンハッタン構想」(p83)
(30)中央区の移転反対から後退の背景に浜渦氏の暗躍(p87)
(31)都には築地市場売却で1兆数千億円の利益が見込まれていた(p87)
(32)新銀行東京に都議や都幹部が融資斡旋した「口利きリスト」が存在(p92)
(33)400億追加出資批判に知事は「自分だったらもっと大きな銀行に」(p93)
(34)口利きリストの企業から自公民議員が249万の献金受けていた(p95)
(35)<8>新銀行に申し込んで3日以内の融資審査おしつけ(p100)
(36)元銀行員の不正融資発覚し金融庁が業務改善を命令(p101)
(37)<9>ブローカーによる不正融資が横行し多くが焦げ付いた(p101)
(38)<10>自分でお願いした新銀行の旧経営陣に破綻責任を転嫁(p102)
(39)<11>破綻の根元は知事側近らが作ったマスタープラン(p103)
(40)<12>巨額の焦げ付きを生んだポートフォリオ融資(p103)
(41)<13>知事「マスタープランはモデルカー」発言のデタラメ(p104)
(42)<14>マスタープランで赤字になる計算を黒字に書き換え(p104)
(43)<15>元行員の「ブリーフィングメモ」で都側の介入実態暴露(p105)
(44)都幹部が新銀行に年50回も訪問して打合せ(p106)
(45)ブリーフィングで都幹部が倒産企業にも融資をと不正を迫る記録(p107)
(46)<16>知事の「新銀行頼る中小企業を見捨てない」発言に反論(p109)
(47)<17>新銀行の貸出率は6割から3割に落ちていた。(p110)
(48)後発の新銀行は預金者を増やすため無理な高額利子を設定(p111)
(49)<18>知事は「中小企業のため」と言うが新銀行は相手にされず(p112)
(50)追加融資後の黒字は貸倒れ引当金を操作しただけ(p113)
(51)銀行本来の融資を縮小して黒字化では再建どころか自己矛盾(p115)
(52)<19>新銀行は取引企業を制度融資で救済し清算できる(p116)
(53)<20>五輪招致構想前から明治神宮外苑巨大開発構想があった(p119)
(54)石原知事は液状化や災害リスク高い三方海の晴海スタジアム推進(p122)
(55)オリンピックの「経済効果3兆円」は道路整備予算まで含めて(p124)
(56)オリンピックは美濃部以来凍結の外環道路再開の起爆剤(p124)
(57)石原知事は五輪に合せ「10年後の東京」で三環状道路促進(p125)
(58)五輪施設計画はデタラメで水泳会場は2転3転(p127)
(59)トライアスロン会場は浜離宮前の汚れた海が当初計画(p128)
(60)変更したお台場の海も大腸菌多く遊泳禁止の海(p128)
(61)<21>「世界一コンパクト」「7割が既存会場」もごまかし(p130)
(62)<22>都発表のインフラ競技施設で1兆4千億円、実態は2兆円以上(p130)
(63)<23>都民の五輪支持はIOC調査で62%から56%に下がり最下位(p131)
(64)都のスポーツ予算は石原都政で大幅削減。施設も全国46位(p132)
(65)<24>BumB館長も取壊しアーチェリー会場になること知らず(p133)
(66)<25>招致経費は最初55億円だったが150億円に膨れ実際は200億(p134)
(67)民間資金50億円も寄付集まらず借入れ。借金は残ったまま(p134)
(68)応援パレード等1億、イベント10・6億、市町村9・4億など大盤振舞い(p135)
(69)アスリートにも1件約100万円、2・4億円の出演料(p136)
(70)150億以外人件費や知事・議員出張CM等「他の目的」口実に50億円(p137)
(71)知事の世界陸上ベルリン視察でホテルの贅沢や無関係なコース(p139)
(72)高額出張のウラに2大旅行会社の「談合」的やり方が(p140)
(73)知事海外出張は専属者が発言のウラまで通訳し高額な通訳料(p143)
(74)都発表の招致費で電通契約が45%・約67億円(p144)
(75)<26>電通が五輪招致の最初から受注を独占するしくみ(p144)
(76)<27>電通顧問・成田氏と石原知事の浅からぬ人脈関係(p145)
(77)<28>森ビルのため「立体道路制度」使ってマッカーサー道路(p148)
(78)<29>虎ノ門地区で249mの森ビル建設等1m2億規模開発(p150)
(79)秋葉原開発で鹿島とNTTが都有地を破格の安値で取得(p154)
(80)ITセンター入札で1ヵ月半で鹿島優遇、地区規制も緩和(p155)
(81)ITセンターはビル二つに分けアセスをぎりぎり逃れ(p156)
(82)ITセンターコンペ審査の唐津氏を4回54万円の公費で接待(p158)
(83)大手町地区開発で経団連ビル含め玉突き開発で一気に促進(p159)
(84)大手町で経団連の「持出しなしで日比谷に新ビル」OK(p160)
(85)多摩川の自然破壊し災害危険ある「二子玉川開発」推進(p161)
(86)<30>00年「ベイエリア21」で臨海部の広域開発構想(p163)
(87)<31>臨海開発で3セク開発ビルで10兆円規模に膨張(p164)
(88)<32>埋立会計等と3会計統合で臨海開発赤字穴埋め(p164)
(89)<33>05年ファッションタウンとタイム24破綻(p165)
(90)<34>臨海ビル3セク3社破綻まで10年間の都の支援(p166)
(91)<35>有明貯木場埋立で16万坪のハゼ釣り名所を潰す(p166)
(92)<36>臨海開発は用地が全て売れても赤字になる(p168)
(93)築地市場の豊洲移転は臨海の赤字穴埋めの役割も(p168)
(94)破綻した臨海ビル3社を新会社に統合し赤字隠し(p169)
(95)<37>住宅乱開発で江東の人口増、学校・保育園間に合わず(p170)
(96)麻生内閣緊急経済対策で95億の外環予算盛込み総額1・6兆円(p172)
(97)<38>石原・福田会談で都法人税三千億と引き換えに外環等推進約束(p173)
(98)外環の地上道路予定地で静かな自然なくなり三千戸が立ち退きに(p174)
(99)<39>中央環状品川線道路は4千億円。異様な70mドーム型ジャンクション(p177)
(100)<40>NO2大気汚染は幹線道路で深刻、約9万人の喘息患者(p178)
(101)<41>都心はビル群で海風遮断されヒートアイランド深刻(p180)
(102)ヒートアイランドと風が重なり100mゲリラ豪雨が襲う(p181)
(103)<42>石原知事が4男の知人今村氏を抜擢し4男にステンドグラス原画任せ(p184)
(104)<43>ワンダーサイト(TWS)延啓重用を06年9月初の暴露(p184)
(105)<44>文化施設予算切詰めながらTWSは4・7億円の破格予算(p185)
(106)<45>知事は「皆ボランティアだ」と言うが大半が報酬を受けていた(p186)
(107)<46>挫折した「能オペラ」公演で600万円をどぶに捨てる結果に(p187)
(108)<47>4男はNYのアートサミットに都の代表で参加し肩書きを詐称(p187)
(109)<48>今村氏は延啓氏の偽肩書きの名刺を作り使わせていた(p188)
(110)<49>延啓氏が台湾の石原知事に合流した費用まで公費負担ねらう(p188)
(111)<50>03年度TWSへの助成金は使途不明487万円、04年度101万円(p188)
(112)<51>07年に石原知事7年の交際費の飲み食いの全容を暴露(p189)
(113)<52>税金の飲み食いが7年で155回1615万円(p189)
(114)密室飲食いで羽田拡張、IT開発、米軍基地など都政を歪めた(p190)
(115)<53>羽田拡張工事に都が1千万円負担も飲み食いで決る(p190)
(116)自民党若手グループ「四騎の会」結成提案も知事交際費で(p192)
(117)接待場所は高級料亭などで4万のワインや3万の日本酒など贅沢三昧(p192)
(118)<54>ガラパゴスへの石原夫妻の11日の視察は8人で1444万円(p193)
(119)グランドキャニオンでは知事夫妻で公式行事より観光優先(p194)
(120)<55>06年ロンドン・マン島視察で3574万円かけ五輪関係は47分のみ(p194)
(121)マン島で日本人レーサー事故死しても三宅島ロードレースごり押し(p194)
(122)三宅島バイクレースでは知事宿泊施設を1億円で整備、3日間で2億65百万(p195)
(123)バイクレース委託先は知事ゆかりの東急エージェンシー、4年で6・7億円浪費(p195)
(124)04年ダボス会議は「つまらない」「トウキョウナイトは盛況」の知事感想(p195)
(125)12年で知事の海外視察は28回4億66百万円で平均約2千万円(p196)
(126)01年ワシントン訪問は1泊夫婦52万円のホテル代。支払判決に渋々従う(p196)
(127)地球温暖化視察はチャーター機でフィジー観光し水没危機のツバルに泊らず(p197)
(128)石原知事の登庁は週2・3日、庁外が多く平河町の都道府県会館で秘密会合も(p198)
(129)06年2月から1年で知事登庁は130日平均勤務は4時間9分。時給は4・7万円(p199)
(130)都議会自民、公明、民主議員も豪華海外視察が定着。民主は10日で180万円(p200)
(131)07年自民が一人228万円かけパリからナントに大回りでモンサンミシェル観光(p201)
(132)<56>06年民主党視察で報告書が他人の論文盗用が発覚(p201)
(133)筆頭副知事になった猪瀬直樹は、石原知事が「博覧強記」と高く評価(p201)
(134)猪瀬氏専用のトイレ設置に450万円(p202)
(135)猪瀬氏は招聘されないダボス会議に知事代理で出席、1200万円でレセプションも(p202)
(136)個人事務所スタッフを「専門委員」に採用、年間400万円の給与を都負担に(p202)
(137)<57>石原知事就任直後「何が贅沢かと言えばまず福祉」と雑誌取材で発言(p204)
(138)<58>石原12年福祉は後退に次ぐ後退。「元気な老人増えた」と高齢者狙い撃ち(p204)
(139)09年3月渋川「たまゆら」火災で墨田の高齢者死亡。都の老人福祉の貧困を象徴(p204)
(140)<59>特養ホーム整備補助を5分の1まで削減、老人福祉費を全国最下位に(p205)
(141)「病院含め民営化できる所は全て民営に」徳田虎雄対談で石原知事(p205)
(142)01年12月都立病院マスタープランで都立病院8ヶ所に削減計画(p206)
(143)<60>母子保健院廃止、3小児病院統合、豊島病院公社化、老人医療センター独法化(p206)
(144)<61>08年10月墨東病院で妊婦死亡周産期医療の遅れが鮮明に(p207)
(145)駒込病院PFIで三菱商事1社入札で満点のからくり(p208)
(146)PFIでは医師、看護師等除き、経営をSPC企業が独占(p209)
(147)駒込病院PFIでは法人が院内業務を再委託し、偽装請負で現場混乱(p210)
(148)駒込病院では手術途中でメスが無く慌てて借りに行くほど物不足(p210)
(149)駒込病院長から法人側にゴミ回収や清掃で業務改善要望書が出されるほど(p211)
(150)小児病院廃止に反対した民主党が最後は賛成に廻ったことへの批判(p213)
(151)梅ヶ丘病院でも日本で二つの小児精神科医療の先端病院を台無しに(p216)
(152)<62>石原知事就任以来認可保育園から認証保育園にシフト(p217)
(153)<63>都の保育園絶対不足の中、認証保育所A型が537ヵ所に急増(p218)
(154)<64>認証保育園「じゃんぐる保育園」の職員の架空申請問題発覚(p218)
(155)08年9月末、小田急系列認証保育園「ムック」が一挙に29園廃止(p219)
(156)大山都議「保育は殆んど人件費で保育料値上か人件費削減で劣悪に」(p220)
(157)<65>毎年の投資経費はバブル崩壊前の2倍で1兆円規模に膨らんだまま(p221)
(158)超高層ビルの大半は長周期振動や活断層型直下地震の想定なし(p222)

●この本に書かれた事実で、共産党都議団や私が追及した問題は158項目もありました。個人的記憶なので、いくつかの勘違いはあるかと思いますが、約7割のページに1項目ずつ入っていたことになり、よくもまあこれだけうまく盛り込んだもんだと思います。

●しかもここには、教育問題や憲法、民主主義、中国など外国への蔑視問題などはいっさい無いので、それらも加えたとすると、わが共産党都議団が、いかに多くの論戦を石原知事と行ってきたかにも我ながら驚いてしまいます。

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