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はじめ通信・子どもと教育のはた0726
7月22日、障害児教育への不当介入への抗議集会が開かれました

●この子どもと教育のはたのコーナーをつくるきっかけとなった、一部の都議や都教委による障害児教育への攻撃に対して、ついに現場の先生たちが立ち上がりました。7月22日の緊急集会には、300人以上の先生たちや父母、関係者が結集しました。
 集会の決議には、この間の攻撃の不当性や、これに対するたたかいの持っている切実な意味が、大変分かりやすく反映されています。
 この集まりを、石原都政とその推進者たちによる、学校現場を土足で踏みにじるような理不尽な攻撃に対する、教育に心を寄せるすべての人々の大きな連帯のと反撃の第一歩にしたいものです。
 集会の決議を、次に紹介します。


七・二二緊急集会決議

学校教育・性教育に対する不当な介入を許さず、
憲法・教育基本法にもとづく民主教育を守り発展させよう

 教育への不当な攻撃が三都議(古賀、田代及び土屋都議)などや、一部マスコミを通して行われている。
 「人間と性」教育研究協議会(以下、性教協)の機関誌に掲載された養護学校の実践をねらい打ちし、当該教員や学校に対して連日執拗な「調査」が続けられてきた。

  ♪あたま あたま あたまのしたに くびがあって かたがある

 かたからうで ひじまたうで てくびがあって、てがあるよ ♪

 これは、都議会で土屋都議に取り上げられ、横山教育長が「極めて不適切な教材」とした、七生養護学校小学部で行われている「からだうた」である。「うた」には、からだの各部分の名称の一つとしてペニスやワギナが出てくる。
 七生養護学校での性教育は、児童・生徒の実態に即して検討し、保護者の意見にもていねいに応えながら、教職員集団として小学部から高等部まで一貫した性教育の教育課程をつくりあげてきたものである。
 授業のねらいや配慮、使用方法をみることもなく、ただ教材の中に性器の名称があるからといって、それだけをとらえて「不適切」という都教委や都議の姿勢こそ、大きな問題があるといわなければならない。

 さらに、七月四日に都議らが行った「視察」に対して、私たちは激しい怒りを禁じ得ない。それは、翌日の産経新聞によれば、都教委も立ち会いのもとで、保健室で管理している性教育の教材を全て公開させ、およそ授業では考えられないような形で、人形が全てズボンやスカートをさげられて並べて写真に撮られている。見出しには、「過激性教育 都議ら視察」、「あまりに非常識 口々に非難」と報じられ、記事の中には『まるでアダルトショップのよう』と口々に非難していた」とまで書かれている。 これは、教育現場を土足で踏みにじるような行為であり、断じて許せない。

 都教委は、こうした事実と異なる報道に対して一切抗議せず、それどころか七月九日には大量の指導主事を七生養護学校に動員し、全教負から性教育に関する「事情聴取」をし「調書」をとる暴挙を行った。
 これは明らかに法令にもとづく指導主事の職務「指導主事は…教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。」(地教行法第一九条二)を逸脱した権力的介入といわなければならない。
 加えて都教委は、「性教育」だけでなく学級編制や教職員の服務まで「問題があった」と一方的に決めつけ、七月一四日に、「都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会」(以下、調査委員会)を設置し、都立盲・ろう・養護学校全校に「調査」を開始した。こうした都数委の「調査」自体、全く不当なものである。

 それは第一に、東京都は法令等で認められている「重度重複学級(重度障害や重複障害がある児童・生徒三名で学級編制する)を実態通り設置していない。そのため養護学校はどこも深刻な教職員不足の状況であり、現場では児童・生徒の学習集団と教職員の配置を工夫しながら教育活動を行っている。学級編制と学習集団が同一でないから「不適正があった」と決めつける前に、都教委は、必要な数の重度・重複学級をただちに設置すべきである。

 第二に、教員は法令等によって時間外労働が原則禁止されている。したがって、修学旅行の引率などを除けば、服務時間の「調整」はないということになっている。ところが、現実には毎日休憩をとることもままならず、職員会議や行事の準備や片づけなど、時間外労働は日常的に行われている実態がある。そうしたおおもとの問題こそ「不適正」な実態であり、都教委はただちに調査をし改善すべきである。

 こうした一連の動きは、「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」とする教育基本法第一〇条で禁じた、教育に対する「不当な支配」そのものである。性教育を利用した三都議などによる不当な介入と、それに加担する都教委に対して、私たちは満身の怒りを込めて抗議、糾弾する。

 そして、今回の攻撃は、有事法制の強行成立、教育基本法改悪の策動などの動きとも一体のものである。
 私たちは、多くの都民、民主団体、労働組合とともに、教育への不当な支配をたくらむ勢力の攻撃を打ち破り、子どもたちの健やかな成長・発達を保障するため、憲法・教育基本法を生かし、平和と民主主義、民主教育を大きく発展させる決意を新たに奮闘するものである。

 右、決議する。

  二〇〇三年七月二二日
                教育への不当な介入を許さない 七・二二緊急集会



 
主催団体
   障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会
   全日本教職員組合
   東京地方労働組合評議会(東京地評)
   東京自治労連
   東京都庁職員労働組合教育庁支部
   東京都庁職員労働組合都立学校支部
   東京私立学校教職員組合連合
   東京都教職員組合
   東京都教職員組合練馬支部
   東京都教職員組合世田谷支部

   大田子どもの教育連絡会
   世田谷区労働組合総連合
   通信労組・東京支部
   福祉保育労あさやけ作業所分会
   東京視力障害者の生活と権利を守る会
   全日本視覚障害者協議会
   障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会
   東京都障害児学校教職員組合
   ”人間と性”教育研究協議会


 協賛団体(順不同)
   男女平等を進める教育全国ネットワーク
   歴史教育者協議会
   子どもの教科書と全国ネット21
   家庭科教育研究者連盟
   日本高等学校教職員組合

 

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