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冬のかさかさ肌〜痒みと水虫〜


冬になると、てきめん肌がかさかさする方も多いことでしょう。
お湯を使うと肌の油分がとりさられてしまうとは知りつつも、食器洗いにはお湯を使用。
洗剤の濃度(界面活性剤の濃度)も原因です。

汚れが簡単に落ちる=皮脂の油分も簡単に落とせます

また乾いた風が皮膚(角質)の水分を保持できない状態にしてしまいます。。

そういう私もかさかさ肌(特に手あれ)とは切りたくても切れないお友達。

今回はケアと実は水虫の可能性もあるかさかさ肌・・・の2つの話題です。

どんなケアしてますか?

加齢と共に皮脂分泌が減る“皮脂欠乏性皮膚炎”やアトピー性皮膚炎など様々な原因でかさかさ肌は生じます。

薬局でも様々なケアに関する商品が並んでいます。
症状にあった薬を用いないと、逆に肌の負担が増えてしまいます。

“かさかさ肌”の原因の一部(疾患がある場合は除きます。)

原因 室内のエアコンの効きすぎ、低湿度 設定温度を下げる、加湿(加湿器・洗濯物を干す)
誤った入浴方法 垢すり(ナイロン)タオルの使用などに伴う洗いすぎ、ごしごし洗い、脱脂力の強い石鹸の使用、洗い流しが不十分、熱いお湯への長時間の入浴
かゆみが強い場合は、全身を手で洗うのが一番負担が少ないです。
洗濯洗剤・柔軟剤 これは私の主治医から注意されました。強い洗浄力の洗剤や種類を問わず柔軟剤が原因となることもあるそうです。なので、我が家では少なめに柔軟材をいれよくすすぐようにしています。
ケア 入浴剤 保湿成分入りの入浴剤(液体タイプが多いです)の利用
保湿剤 入浴後、3分以内の保湿剤の塗布が有効と言われています。
脱衣所においておき、水分を拭き取ったら早めにぬることが大事です。


保湿剤の成分・効用

成分 効果
入浴剤 保湿成分(セラミド、米杯芽油、ホホバ油、米発酵エキスなど)を含む。液体タイプの入浴剤が多い。
入浴中に保湿成分が皮膚に吸着し、浸透することによる保湿効果が期待されます。また入浴剤でうるおい、肌がふやけることで、入浴後の保湿剤などの成分が皮膚に吸収されたすくなります。
保湿剤 ワセリン、尿素、VA(ビタミンA)、VE(ビタミンE)、コラーゲン、ヘパリン類など。軟膏、ローションタイプ。
メントールなどを含むもの(清涼感)や痒み止めを同時に含んでいるものもあり。
皮膚を保湿することで、乾燥はもとより、乾燥による痒みを防ぎ、外部の刺激から皮膚を守る効用があります。水分を保持するためにも保湿剤は有効です。


保湿剤の分類(市販品)

アトピーなどの治療中の場合は、治療中の薬を優先してください。
 急性期の炎症が治まってから使用されることが多いのですが、時期などについては主治医によく相談して下さい。

配合成分(商品例) 特徴

ワセリン

ヴァセリン ペトロリュームジェリーS

皮膚表面に油の膜をはることで水分蒸発を防ぎます。
油脂成分なのでべたつきが強いですが、少量なら口に入っても安全
(赤ちゃんの顔にも使えます)。

商品補足:化粧下地かわりにも使っています。
少々べとつきが気になるので、そういう時はティッシュオフします。
リップクリーム代わりにも普段使いしています。
寝る前には両手にたっぷりと塗ってコットンの手袋をして寝ています。


尿素

(ウレパールプラス・ウレパールクリーム)

ウレパールプラスローション 23ml

ウレパールプラスクリーム 80g


皮膚内の水分を保持する働きがあります。
塗るタイプとローションタイプがあります。
ローションタイプは、効果持続時間は短くなります。
また、
傷がある場所には使わないで下さい。痛み・刺激の恐れがあります。
手づくり化粧品で尿素を配合する作り方もありますが、同様の注意が必要です。

商品補足:ウレパールローションには清涼感を出すためのメントール、痒み止め成分等が含まれています。かきこわしがあったり、あかぎれ部分にはしみますので使用は避けましょう。(ぴりっとした痛みを感じました。)

ビタミンA

(ザーネスキンミルク・ザーネプラス・
ザーネプラスローション)


ザーネスキンミルク 140g

チョコラザーネプラス 60g

チョコラザーネローション 100g

皮膚に乾燥を防ぎ、角質をやわらかくします。
軟膏の表面が空気に触れると黄色くなってきます.が、
有効期限内であれば品質に問題はありません。

蓋の開けっ放しにはご注意。


商品補足:チョコラプラスには血行促進作用のあるVEが含まれています。
ミルクタイプでもさほどべとつきは気にならず、塗りやすかったです。

ビタミンE

(ユベラリッチ)

ユベラリッチ 56g
血行を促進し、角質をやわらかくします。
保管温度は15度以下が目安となっています。高温・光をさけて保存してください。


もしかして・・・


水虫は最近ずいぶんメディアにも取り上げられ、爪白癬などは市民権を得た言葉?となってきたかと思います。
でも、かゆみがない水虫もあるのをご存知でしょうか?

それが“かゆみのないかさかさ”症状です。

場所は足裏。特に“かかと”です。

冬になると、どうしても足のかかとの角質が厚くなり、白く粉をふいたり、皮がむけたりして、ストッキングが引っかかることもあります。

このかかとのかさかさを調べてみると意外と白癬菌が存在していることもあります。
(少しだけ皮膚を削って、顕微鏡で染色観察します。痛みは伴なわず、ペーパーナイフでこそげ取るような感じです。)

治療せず放置しておくことで爪白癬などに移行してしまうことがあります。
爪の場合、かなり長引くことが知られており、場合によっては抗真菌剤を服用する場合もあります。

白癬菌かどうかの結果はあっという間にわかります。上記の症状に当てはまる全ての方が水虫とは言えませんが、
もし長年、症状に悩まされている方がいらっしゃったら、一度皮膚科で検査を受けてみては如何でしょう?


参考資料・文献
調剤と情報 2004/vol.11/No2.、2005/vol10/No13
           病気の地図帳 山口和克監修 講談社
           スキンケアの医学(皮膚とは何か 体の科学)