カナディアンロッキー日本画スケッチ旅行記-その3-
氷河湖の神秘的な色(ターコイズブルー)はどのようにしてできるのか?
『個人的出来事 第67話』で、 ニュージーランド旅行でのプカキ湖( Lake Pukaki )のターコイズブルー ( tourquoise blue ) の湖面の色に感動したことを話した。私はその中で、『どういう種類のミネラルによるのか知らないが、心臓につきささるようなターコイズブルーで山も空も一切を映し出すことを拒否した不透明の神秘的な色であった』と記した。今回のカナディアンロッキーの旅で、この神秘的な色の由来に触れることが出来たのでここに記載する。また、『山も空も一切を映し出すことを拒否した不透明の神秘的な色』と言ったことを訂正しなければならないことを知ったので、そのことも記したい。
この写真はレイクルイーズの The Fairmont Chateau Lake Louise を背景に撮ったレイクルイーズの湖面であるが、日に当たった部分は少し薄いがターコイズブルーと言える色であった。
この湖のホテルの対岸には巨大な氷河があり、そこから氷河の溶けた水が流れ込んでいた(上写真)。この水はよく見てみると、
日陰では、ターコイズブルーではなく、白濁した水であった。現地の人の説明で、まさにこの“日陰では”白濁した水にターコイズブルーの湖面の色の秘密が隠されていたのであった。この白濁した水こそは、氷河から解け出る水の特徴で、極めて小さな岩石の粒子が溶けている状態で、氷河と岩山の摩擦で何万年も前に出来た微粒子が解け出たものとの事。粒子の大きさはタバコの煙の粒子よりも小さく、1ミクロン以下とのことであった。日陰では白濁しているが、日光にあたると波長の長い赤系統の色は吸収されるが、波長の短い青〜緑のあたりの色のみが反射してターコイズブルー(エメラルドブルーとも呼ばれている)に見えるとのことであった。
この粒子が堆積した粘土は下の写真に示すように、化粧品として売られていた。
氷河湖の中でも特にターコイズブルーが鮮やかであったペイトレイク ( Peyto
Lake ) に氷河から小さな幾筋ものくねった川になって流れ込んでいた水は、強い日差しのもとでは青い色であったのには感動した。
このペイトレイク ( Peyto Lake ) の湖面は午後見たときは周囲の景色を写していなかったし、バンフにあるモーレン・レイク ( Moraine Lake ) も
向かいにあるテン・ピークスと呼ばれる鋭く尖った10の岩峰(旧カナダ20ドル紙幣の裏面にデザインされたことで有名な岩峰群)を映し出してはくれていなかった。
しかし、早朝のレイクルイーズの湖面(下写真)も、
午前中に見たペイト・レイクの湖面(下写真)も
まるで鏡のように背景の山を映し出してくれていた。
時間帯と角度と湖面の波打ちの程度などさまざまな要因で周囲の景色を映し出したり、拒否したりするようである。
これら2つのことを知ったことは、今回の旅行の最大の収穫であった。