6 人と物(ひとともの)
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●人(ひと)と物(もの)
民法は、総則・物権・債権・親族・相続の五つの編で構成されています。
ひとことで言えば、権利能力の主体となる「人」と客体となる「物」に加え、人と物と結びつけ媒介する契約が「債権」であり「相続」です。
むしろ、物を財産に関わる権利関係とみなせば、財産は物に対する占有のほかに物を媒介にしたサービス(給付)つまり「債権」も含むので権利の客体とみなしたほうが良いでしょう。。相続も家族関係に基づきますが財産の移転ですから物に含めたほうが理解しやすいでしょう。
付け加えれば「親族」は人と人の結びつきで、人を家族の構成員ととらえてサポートする人のつながりです。
というわけで、わたしは民法が人と物で組み立てられていると考えます。
そこで「人」とは何かということになります。人と言えば人間だけと思いますが法律では「自然人」と「法人」が含まれます。
ただし、民法は人の定義をしていません。権利の発生や成年、法人を定義しても人の定義は見当たりません。
自然人は出生に始まり死亡で終わりますが、例外として腹の中にいて生まれた胎児(たいじ)には、損害賠償請求権や相続権があります。
そして「物」は、民法では「有体物」とされ、①支配可能で、②非人格的で、③独立性があることとされます。
刑法では物とされる電気は有体物でないし、発明や発見は有体物ではなく、天体は支配できないので物ではありません。
物の区分は、不動産と動産、主物と従物、元物と果実があります。
以上の区別だけではピンとこないでしょうから人と物に関わる要点だけを列記しておきます。詳しいことは別の機会に触れます。
個々の条文を覚えることも大切ですが、関連する条文と結びつけたり違いを知ることが大切でしょう。
人については総則にとどまらず、親続編の条文を取り上げます。
家庭の崩壊や親子関係の混乱があれこれ話題になりますが、民法は法の下の平等だけでなく、親族の扶養まで幅広くフォローしています。
外に向かっての権利の主張だけでなく、身内における保護・扶養にも触れていることを忘れてはならないでしょう。
親族編を、財産の相続の条文だと勘違いしている方もいるでしょうからくどいのを承知で家族に関わる条文を列挙します。
(1)民法「総則」の人に関わる規定
●成年(第4条)
●未成年者の法律行為(5条)
●未成年者の営業許可(6条)
●成年被後見人及び成年後見人(8条)
●成年被後見人の法律行為(9条)
●被補佐人及び補佐人(12条)
●補佐人の同意を要する行為(13条)
●被補助人及び補助人(16条)
●補助人の同意を要する旨の審判等(17条)
●制限行為能力者の相手方の催告権(20条)
●制限行為能力者の詐術(21条)
●不在者の財産管理(25条)
●失踪の宣告(30条)
●同時死亡の推定(32条の2)
●法人の能力(34条)
●外国法人(35条)
(2)民法「親族編」の規定
●親族の範囲(725条)
●親族間の扶け合い(730条)
●未成年者の婚姻についての父母の同意(737条) :同意を得なければならない
●成年被後見人の婚姻(738条) :同意不要
●婚姻の無効(742条)
●婚姻の取消し(743条)
●夫婦の財産関係(755条)
●夫婦間における財産の帰属(762条)
●財産分与(768条)
●嫡出の推定(772条)
●認知(779条)
●認知能力(780条)
●胎児又は死亡した子の認知(783条)
●認知の効力(784条) :出生の時にさかのぼって
●養親となる者の年齢(729条) :成年に達した者
●親権者(818条)
●監護及び教育の権利義務(820条)
●職業の許可(823条)
●財産の管理及び代表(824条)
●財産の管理における注意義務(827条)
●親権の喪失の宣告(834条)
●未成年後見人の指定(839条)
●未成年後見人の選任(840条)
●扶養義務者(877条)
●扶養の順位(878条)
●扶養の程度又は方法(879条)
(3)物に関する民法の規定
●定義(85条)
●不動産及び動産(86条) :無記名債権は動産とみなす
●主物及び従物(87条) :従物は主物の処分に従う
●天然果実及び法定果実(88条)
●果実の帰属(89条)
●物権編175条〜398条の22
●債権編399条〜724条
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