上高地に再挑戦
2009年08月16日


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 何もせず家にこもっていると雨で上高地に立ち寄らなかったのが心残りだ。休みはあと3日ある。
「宿が取れたら上高地へ出かけるか」と口にすれば、
「そうね、やっぱり上高地よね」と妻が応える。
 午後5時過ぎに愛用の宿に電話をかけると明日の夜は空きがあるという。妻は子どもたちの食料を買いにスーパーマーケットへ出向き、入浴の準備を始める。息子は意外な展開にあきれる。

 ETCの休日割引は夜の12時前に八王子インターを通過しなければならないから10時過ぎに発って首都高速を使った。十分間に合うと思っても万一を考えて気が焦るのも不思議だ。ともあれ20分前に料金所を通過した。
 お盆休みも終わり平日だから空いていると甘くみていたが中央道は遊びに出かけるクルマが多いのが意外だった。午前7時に松本インターに着けばいいから諏訪湖サービスエリアで仮眠をとった。

八ヶ岳パーキング 諏訪湖で仮眠 諏訪湖の日の出


 4日前(8月13日)にマイカーの駐車場がある沢渡(さわんど)へ着いたときは雨だったが今日は嘘のような快晴だ。8時過ぎに釜トンネルを抜けると焼岳や穂高の峰々に雲一つなく、尾根線がくっきりしてまぶしい。大正池でバスを降りて歩く人も多かったがわたしたちは終点まで乗車した。

 河童橋の袂にある五千尺食堂でマスの塩焼き定食を注文しようとしたら、
「忘れちゃだめよ。これからイワナを食べに行くんでしょ」と妻に叱られて豚汁に代えた。

 河童橋から左岸(山に向かって右側)を歩き、トリカブトを撮りまくったあとに林の中を明神館に向かう。下山してくる登山者が多いからあいさつを交わし合うのも楽しい。いつもはぬかるんでいる山道は乾いていて歩きやすかった。

 嘉門次小屋ではイワナの塩焼きを食べたが、「やっぱり塩焼きはここに限るわ」といつものとおり妻は満足していた。
 帰りは右岸の林の中を歩いたが、どちらも河童橋から片道1時間なのに道幅が狭く、観光客が多いせいかやけに長く感じた。
 とはいえ、右岸には沢から清水が流れ込みイワナや水鳥が泳いでいるから気晴らしになるし、川原に降りれる散策道だ。岳沢を眺めるポイントも多いから退屈しない。

バスから眺めた穂高連峰 焼岳 トリカブト
左岸を歩く 明神岳 右岸からの岳沢


 今回の上高地は、妻には12回目わたしには22回目になるが、何度も訪れているわりにいつもあきらめてきた温泉入浴が加わった。
 上高地にはホテルや旅館が多いけれど一般客が入浴できる温泉は少なく、源泉風呂は二つだけで入浴時間もチェックアウトとインの合間に限られるからだ。
 沢渡駐車場には日帰り温泉がたくさんあるが妻はそれで我慢できないようだ。

 河童橋からウエストン碑までは20分かかった。いつもと逆に歩いたからやけに長く感じた。一般客も入浴できるという上高地アルペンホテルはフロントに温泉の掲示が見あたらないのでパスしたが、登山者向けのふつうの風呂のようだ。
 源泉入浴を掲示するのは上高地清水屋ホテルと上高地温泉ホテルで隣接している。でも入浴料金は温泉ホテルの方が安い。清水屋が先に目に付いたばかりに入浴後に気づいた次第だ。また、温泉ホテルは足湯を無料開放している。
 清水屋ホテルには内湯と露天風呂しかなかったが、源泉は内湯の方で露天風呂は熱くて耐えられなかった。天然温泉のわりにパンフレットに泉質が見あたらない。午前11時から午後2時まで入浴できる。
 温泉ホテルには時間外で入浴できなかったが、パンフレットには77度と45度の源泉で、ラジウムを豊富に含む単純温泉と記載されている。入浴時間はあらかじめ確かめて出向いた方が良いだろう。

清水屋ホテルで入浴 温泉ホテルの足湯 ウエストン園地の穂高



 上高地は午後2時に発った。観光客が増えたのでバスをやめてタクシーにした。運転手によれば今年は雨が多くて、14日以後にようやく晴れたようだ。温泉のことは知らないようで言葉を濁された。白骨温泉の道路工事はこれから4年ぐらい続くという。

 乗鞍高原からスーパー林道を利用して白骨温泉へ出向くとけっこうクルマが出入りしていて駐車場は満車である。それでも公共風呂に入浴したが、これで金を取るのというところだ。風呂はまあまあだったが脱衣所がびしょびしょで二度と入浴したくない。


 妻の腹立ちをおさめるために乗鞍高原の「湯けむり館」へ立ち寄った。ここは13日に妻だけ入浴したが硫黄臭が強いものの白濁した湯は肌触りがマイルドで心地よい。入浴してみて妻が長風呂になったはずだと納得した。
 入浴前にスキー場が見える高台までクルマで出向くと先日は霞んでいた乗鞍岳がくっきり見える。なだらかな嶺が並び、上高地から眺める切り立った峰とは異なって広々とした開放感がある。

すっきり腫れあがった乗鞍岳


 今夜の宿はいつものグリンデルだ。20分もすれば着くからあわてることもない。どんな料理が出るかと妻と期待する始末である。


 盆を過ぎてグリンデルはわたしたち以外には若者2人だけだった。若者たちは千葉と東京から電車に乗って自転車でサイクリングに来たそうだ。今日は野麦峠を走行し、明日は乗鞍岳まで出かけるそうだ。わたしも彼らと同じころは薄汚いかっこうをしてキャンプや山歩きをしていたから、その若さがうらやましかった。
 酔いが回った若者が寿司を巻く実演を始め、主人があれこれ質問攻めをするのもおかしかった。洋食が中心の店なのに蕎麦を出したりあれこれ工夫をする人だからだろう。
「そういえばギターを持ってきたんですね、弾いてくれませんか。今夜は宴会をしましょう」と主人に話しかけられて冷汗をかき、
「まだ人様に聞かせるような段階でないから」と退散するしかなかった。
 南さおりの『17才』のレコードを突然かける主人に驚き、篠山紀信との意外な結婚を持ち出すから、
「あの口ぶりは、きっとファンだったのね」と妻は呆れる。
 わたしもそういう歌があって口ずさむから笑えない。今度出向くときにはゴールデンカプスの『長い髪の少女』を弾いてみたいものである。Am、Dm、E7で弾けるからヘマはしないだろう。



【データ】
 8・16 日 晴れ 232km 22:10ー02:30 夜間走行 出発前に宿の予約、自宅で入浴、談合坂SAで給油、諏訪湖サービスエリアで仮眠、横羽線・首都高・中央道利用、ETC割引

 8・17 月 晴れ 158km 6:15ー17:45 上高地 嘉文次小屋往復【岩魚塩焼き】、H清水屋ホテル、I白骨温泉:公共風呂、J乗鞍高原:湯けむり館、(見物)●上高地温泉ホテル、●上高地アルペンホテル グリンデル泊、中央道ETC割引


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