ソレイユの丘「海と夕日の湯」
2008年03月20日
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早朝に目覚め家族をたたき起し、読書しているうちに寝入ってしまった。外へ出向くかっこうをしている女房にたたき起こされるともう午後一時である。
「これから温泉へ行ってくるわ」と言う。
「それじゃ気をつけてね」と応えたら、
「お父さん、ついていかなくていいの。お母さんは見かけが若いからくどかれるよ」と娘が脅す。
うるさいやつだ。それなら慰謝料を払わすに済むし、こっちがもらえるチャンスだ。
行き先を確めれば三浦半島の《荒崎》で、京浜急行の終点《三崎口》からバスで行けると応える。前回は横須賀の佐野天然温泉「のぼり雲」にひとりで出向いて自信を持ったようだ。地図で確めれば7kmもある。バスにしても半端じゃない。ガイドブックをうのみにして簡単に考えているのが女房である。それに騙されて到着するまでに悪路にはまったり所在がわからず何度夫婦げんかをしたことか。施設の詳細は合っていても経路が当てにならないものの典型が温泉ガイドだ。
インターネットで「ソレイユの丘」を確めれば、「長井海の手公園」という《農業体験型総合公園》とある。それも海軍基地跡だそうだ。その温浴施設を「海と夕日の湯」としている。三浦沖5km、水深300m付近を流れる《海洋深層水》を利用しミネラル十マイナスイオン効果があるとうたう。
「温泉じゃないよ、それでいいのか」と確めれば、
「夕日を眺めて風呂に入れば十分よ」とくったくのない女房の応えだ。
しかたないからクルマを運転すると言えばさっそくCDを用意するのにあきれた。給油と洗車を済まし、横浜横須賀道路と三浦縦貫道路を走れば片道40Kmで1時間もかからない。昨年3月に新設された専用道路もあって、国道134号の「ソレイユの丘入口」交差点もできた。昔は自衛隊駐屯地のある《林ロ一夕リ一》から三浦市に至る《荒崎交差点》の間は慢性渋滞でいらいらさせられたものだ。岬へ向う道路も狭くて気を遣ったが今回は広々とした取り付け道路である。
公園の周囲に無線塔が林立しているのも不気味である。フリー百科事典ウィキペデイアによれば、《公園となっているのは旧帝国海軍第二横須賀航空基地跡で、戦後は在日米軍の住宅、日本に返還された後は航空自衛隊航空無線標識所として利用されていた》そうだ。今もまわりは基地である。とんでもないところへ来たと思っていると「やっぱりクルマは便利ね」と女房は気にもしない。おまけに、「こんなアンテナがあったら無線もたっぷりできたでしょ」と言い出す始末である。ロクなアンテナが設置できずもやもやしてアマチュア無線にのめっていたのを思い出させやがって・・・。
入場は無料であるが1,500台収容の駐車場は1,000円もふんだくる。入浴料600円より高いのもしゃくだ。風が吹きさらすのにはまいったが子どもを連れて遊ぶのには十分の広さである。バーベキューや農業体験のほかに自転車やゴーカートなどの遊戯施設もたっぷりそろっている。そして無骨なアンテナ群とは反対方向に広い海を眺められるのも嬉しい。めったにカメラを使わない女房はピノキオ風のマスコットキャラクターを写す始末である。
温浴施設は休憩スペースは広いが脱衣所や浴室はそれほど広くない。スーパー銭湯や日帰り温泉を期待しないほうがいいだろう。でも、浴室は清潔に保たれているし、露天風呂も狭いながら景色も十分堪能できる。自慢の海洋深層水も肌を刺激しない。サウナ、腰掛け湯、寝湯もあるから設備は申し分ない。喫煙は休憩所の外のサンデッキに限られる。でも浴室に《3月から18時以後の入場は駐車料が無料》と掲示されているのも不親切だ。21時まで営業だから夜に出向けばよかった。そして忘れてならないのがバスの直行便の運行である。平日は9時から15時まで、土・日・祝日は9時から16時まであるがl時間に1本しかない時間帯のほうが多いことだ。ちなみに、三崎口から歩けば《ハイキング感覚で45分》とあるが登り下りもあることを忘れてはなるまい。国道134号の《ソレイユの丘入口》から歩いたら登り坂で20分はかかるだろう。直行便がないときは荒崎行のバスを使い、《漆山》下車でl0分のほうが楽である。
風呂はともあれひまつぶしに夫婦で散策するのも楽しい施設である。あいにく園内めぐりのチューチュートレインは終っていたが、射的場もあり若者でにぎわっていた。久しぶりにゴーカートに乗ったが、子ども向けなので足がのばせないのも窮屈で、ハンドルの振動がもろに肩に伝わるのも五十肩にはきつい。それでも相乗りする女房がごきげんだからアクセルを踏み込んでやった。ゴーカートはいつ乗ってもそんな元気をひきだす乗り物である。
何年かぶりの三浦半島だから城ケ島へ足をのばした。結婚前から女房と出向いてきたが行くたびに寂れている。着いたころは18時すぎで曰も落ちてほとんどの店が閉じている。開いていた食堂に入り刺し身がたっぷり並ぶ御膳を注文し、焼き物以外は女房に食べさせた。まぐろの看板が並ぶ店を無視してここまで来たのは女房にたらふく刺し身を食べさせるためだ。我ケ家は女房以外は刺し身や寿司は食べないからこういう機会しかないのである。
「やっぱりクルマのほうがいいわね」と言い出されるのも五十肩には煙たい。
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