ほったらかし温泉へ出向く
2007年07月28日
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「これから富士山へ行こうか」と夜中に言い出すと妻が真に受けて出かける準備を始める。「明日はどこの風呂へ出かけようか」と囁いたからだ。
午前1時に発って3時半に山梨市の「ほったらかし温泉」へ到着した。車内で寝ていた娘はボーとしている。いつものとおり真っ暗な道を山勘で走ったが道楽のためなら横浜から160kmの道も苦にならない。
日の出1時間前から始まるというので出向いたが舗装もされていない駐車場は横浜・品川・多摩・所沢のほかに三河や尾張小牧とまちまちだ。我が家と同様に「ほったらかし」とか「あっちの湯」や「こっちの湯」というアバウトな名前にひかれた。
そういえば昔、「ランプの宿」というありきたりな名前にひかれて奥能登へ出向いたこともある。
「ほったらかし温泉
あっちの湯・こっちの湯」は山梨市のフルーツセンターの先にある富士山が見える温泉だ。予想したとおりバラック建ての山小屋風温泉である。周りには山しかないから殺風景で温スパ慣れした人には不便で物足りない設備に映るだろう。
勘違いしてハイヒールで訪れた女性が「エッー、こんなところ! 」と絶叫するのもおかしい。山にそんなかっこうで来るのがまちがっている。富士山が風呂から真正面に見えるというから出向いたが盆地の空気が淀んでまったく見えない。
1時間ほど露天風呂で絶えたが無駄だった。反対側の大菩薩嶺はくっきり見えてもまったくの当て外れである。これじゃスバルラインで富士山五合目に出向いたほうが良かったと悔やんでもあとの祭だ。
ちなみに、この温泉は2つのアルカリ性源泉があり新源泉を「あっちの湯」、旧源泉を「こっちの湯」とわけている(入浴料は別々)。早朝から営業するのは「あっちの湯」だけで、「こっちの湯」は10時半からだそうだ。
ずぼらな名前のわりに洗い場や浴槽は奇麗に整備されている。入口はオンボロだけど入浴に支障はない。露天風呂はぬるめで浴槽は意外に浅い。のんびり入浴するにはこの程度で充分である。このところ奇麗な設備に慣れた妻子にはこういう施設も新鮮に映るようだ。でも、山に慣れない彼氏や彼女を連れていくのはやめるほうがいいだろう。
いくら待っても富士山が見えないから山梨市内の温泉めぐりに方針変更しても妻子は驚かない。持ち歩いたガイドブックには「はやぶさ温泉」、「花かげの湯」、「笛吹の湯」、「フルーツパーク富士屋ホテル」、「鼓川温泉」、「赤松の湯・ぷくぷく」、「正徳寺温泉初花」と目白押しだ。
市内地図にはこのほかにも「笛吹川温泉」、「岩下温泉」、「一之橋温泉」、「三富温泉」、「金峰温泉」、「川浦温泉」、「天科温泉」と温泉だらけである。すべてをまわりきれないから国道140号を広瀬ダムまで走ってからユーターンして牧丘地区に絞った。
武田信玄の菩提寺である恵林寺に近く、飲用もできる「はやぶさ温泉」は通り過ぎてから気づいて引き返したものの旅館風な作りに腰がひけて入りそびれた。庭が充分手入れされて落ち着いた雰囲気の温泉だから次回はぜひ立ち寄りたい。
「花かげの湯」と「鼓川温泉」は市営の厚生施設である。これも「山梨市牧丘に二つの美人の湯」というパンフレットに釣られて入った。妻子にぜひ変身して欲しいという希望が加わっての選択である。アルカリ性単純温泉はどこも同じように「美肌」になることをうたうが、「美人」と言い切るのは過大広告ではないか。
花かげの湯は源泉掛け流しはなく、循環式の浴槽だからちょっと気が抜けた。休息所が広い町中の温泉といったところである。清潔だけどどこか物足りない感じがした。鼓川温泉は山奥にあるが露天風呂は源泉掛け流しである。ぬめりがあって入浴もあきない。これは好みの問題である。いずれの温泉もかすかに硫黄の臭いがするが、山の麓の温泉はそういうものだろう。
今回は立ち寄れなかったが三富温泉も次回は訪れたいものだ。一人で歩いたことのある乾徳山にも近く、亥豚料理も懐かしい。三富村や牧丘町が合併した新生の山梨市には日帰り温泉がこんなにあるのかと驚いた次第である。