沼津の大瀬崎
2005年03月13日


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目次
 ●大瀬崎に出向く
 ●ずぼらな店名とのんきな店長

         久連(くづら)からの富士山            大瀬崎(おせざき)の入り江
    
         大瀬崎はダイバーのメッカ           大瀬崎から沼津市街をズームアップ
    
        初めて立ち寄った喫茶店         アザセボラの店内から眺める

                        大瀬崎に出向く

 大瀬と書いて「おせ」と読む。沼津と戸田(へだ)との境にある岬で、昔から真水の池のある神社もあるが最近はダイビングの練習場として知られている。

 私が育った沼津の千本浜からは海の中に突き出て見える。沼津港から観光船も出て、夏は海水浴に出向く人も多かった。外海は潮の流れが速いが、入り江は波も穏やかで富士山もよく見える場所だ。

 沼津市内からクルマで大瀬に向かうのはかなり神経を使う。カーブが多く、すれ違い困難で見通しの悪い道が続くからだ。そのわりにワンボックス車が行き交うのもダイビングの愛好者が利用するからだろう。

 ドライブだけなら大瀬崎に立ち寄ることはない。途中の古宇から真城峠を経て戸田峠に抜ける山道を走った方が道幅も広く、すれ違いもしやすい。でも、海岸線や富士山にこだわれば忘れてはならぬ場所である。大瀬崎から井田トンネルに抜ける山道から眺める富士山の威容にひかれて私はクルマを走らせる。

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ズボラな店名とのんきな店長

 大瀬崎に出向いて山の中にある喫茶店に入った。店の名前しか記されず、商売気が欠ける。少し下には観光客目当てのケバケバしく色を塗りたくったり、見た目は立派な建物が多い。

 板を並べた階段を登ると入口が分からない店がある。いまどき珍しい引き戸だから思わず引き返そうと思った。それも癪なので店内に入るとすき間風が吹き込む。

 奥に進むと富士山がよく見える。木々の間に海も見えて写真の構図としても面白い。せっかくの景色をもっとアピールしてもよさそうなのにその気はないようだ。セルジオメンデスのボサノバや70年代初頭の曲が流れるのも古くさい。

 手作りのメニューを眺めると、「店長は昆虫好きのため殺虫剤等を撒いていない」とある。これじゃ家の子どもは近寄らないだろう。蚊が入ってきただけで大騒ぎするから二度と出向かないはずだ。

 店名の「アザセボラ」が気になって訊ねると字名の瀬洞をそのまま使ったという。ストーブの近くに座ってもすき間風が冷たい。店の内側に透明なビニールが貼ってあるが雑にくっつけたままだ。

 若い店長は商売気が欠けるものの話し掛ければ気さくな人柄である。景色も懇切丁寧な説明をする。ズボラでのんきは伊豆人の気質だろうか。私も三代前をたどれば近くの場所で育ったから似たようなものだろう。


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