●横岳ロープウエイに乗る
先月のドライブで断念した北八ケ岳を目指して妻と出向いた。辛いことは避けても、高い場所から周りを眺めるのが夫婦そろって好きだ。横岳ロープウエイは七分で標高2200mまで登れ、縞枯れ現象を確かめることができるのが魅力である。
八ケ岳は、夏沢峠を境に南北に分けられ、赤岳や硫黄岳を始めとする岩山の多い「南八ケ岳」と天狗岳や蓼科岳を始めとする丸みを帯びた山容の「北八ケ岳」に区分される。でも、通常は南八ケ岳を八ケ岳と呼び、北八ケ岳は蓼科(たてしな)と呼ぶようだ。私は南八ケ岳の山々を何度か登ったが、北八ケ岳は天狗岳しかなじみがない。視界をさえぎられる森の中の歩行を若いころに嫌ったツケである。
日本ピラタス横岳ロープウエイ(*)は初めて乗った。山頂駅に着くと気温17度で肌寒いが日差しはきつい。妻を残して坪庭を30分ほど散策したが、起伏の多い遊歩道だから息切れする。かなたに見える南アルプスは雲に隠れて一部しか見えない。期待した高原植物はすでに枯れてしまい、熊笹の道を歩くのも憂鬱である。縞枯現象も近寄ってみると異様なだけで写真
集で見る印象とかけ離れていた。 *大人1人の往復1,800円
横岳ロープウエイ
坪庭の木道(横岳)
●ビーナスラインで美ケ原
白樺湖を経由して美ケ原に向かうビーナスラインは数年前から無料になった。前回(*)に家族で訪れたときは有料で、金の節約を図って帰路は松本に向かう林道を使ったばかりに、妻と息子はカーブの連続に耐えきれずクルマ酔いにかかる始末だった。私も足がつり、ただひとり元気だった娘が怯えきったドライブであった。
車山、霧ケ峰、和田峠、扉峠を経て美ケ原を目指すドライブはオートバイが多くて気を使った。対向車がいるのに強引に追い越しをかけるから気が気でない。車山から霧ケ峰までは箱根スカイラインに似たなだらかな尾根を巻く大きなカーブで見通しも良好なドライブウエイである。でも、和田峠から先は道幅も狭く、カーブの続く山岳道路だ。山道に慣れないクルマのもどかしい走行に閉口し、いらだちに耐えてようやく美ケ原に着いた。山道の走行はギアの選択に加えて道を譲るのも技術であるが、そうした気遣いをするドライバーが少なくなった。
観光地化した高原美術館に幻滅し、山本小屋に向かうと懐かしさがこみあげてくる。美ケ原は、私が初めて松本に出向いた場所であるとともに山歩きを始めるきっかけの場所である。沢登りや岩場の縦走も加わったが見通しのきく高原を散策するのが私は相変わらず好きだ。
山本小屋から美の塔まで周りの景色を眺めてのんびり歩くのも日差しが強くて辛かった。放牧されている牛を探して前回より足を延ばしたが暑がりな妻は呆れてついてこない。トンボが飛び回るのをビデオカメラで追うのもけっこう難しい。風になびくススキの原っぱに牛の群がのんびり草を喰むのも美ケ原の景色である。湧き水の溜りにオタマジャクシやメダカが泳ぐのものどかである。
*1999年9月2日に家族で日帰りでドライブした
高原美術館の野外オブジェ1
高原美術館の野外オブジェ2
高原の牛(山本小屋から歩く)
美の塔
テレビ塔の裏が松本方面
この写真はビデオカメラで撮ったものです。 |